69 最悪の目覚ましと侍女
「ドンドンドンっ!おい!起きろ!アマノ!ドンドンドンっ!」
・・・・うるさいなあ・・・こんな朝に聴くものじゃないよ、これは・・・。
最悪の目覚まし・・・。
しょうがなく、私は寝たいのを我慢してドアを開けた。
「おい、アマノ!」
そこには普通よりも倍大きいハンマーを持ったガシスがいた。
・・・・・ハンマー?
え?何、ついに私の命を狙い始めた?・・・怖いんですけど・・・。
「やっと、起きたかアマノ。さ、朝食と庶民の悩みを解決するぞ」
いやいや、もっと寝たいんですけど・・・。
しかも起こし方おかしいし・・・。
まあ、前みたいに私の部屋に勝手にあがらなくなったのは良かったけど、私が言ってるのはこういうのじゃないんだって・・・・。
レイチェルとかメアイとか侍女を通して起こしてよ・・・。
なんのためにあなたは侍女を雇ってるの?
それに王様なんだからこんなことしてる場合じゃないでしょ・・・。
「おい、アマノ、聞いてるのか?早く着替えろ、ドレスに!」
「はあああ」
ため息をつきながら、私は勢いよくドアを閉めた。
あの後、無事にお風呂に入って就寝につくことができたが、まさか今日がこんな風に始まるなんて・・・。
もう朝からご機嫌は斜めだ。
ドレスに着替え、昨日通ったばかりのお風呂場を通り過ぎ、朝食会場に向かった。
会場はいつにもまして大忙しだった。
いつもは座っている侍女や侍従も今日ばかりはいない人が多かった。
「そりゃあ、初日ですからね。誰もが張り切ってますよ」
「そうですね・・・・・・ん?」
・・・・・えっと、普通に返事しちゃったけど・・・この人はもしかして・・・。
「・・・なんですか?そんなに驚かなくてもいいじゃないですか」
「ピーリー・・・・ですよね?」
「ええ。そうですけど?」
ピーリーは平然と答えた。
・・・・魔法の廊下で急に変なことを言い出して、急に消えたというのに・・・。
なんかあの日の続きって感じがしない・・・。
「・・・ええっと、あなた本当にピーリーですか?」
「ええ。何をおっしゃってるんですか?アマノ王女様」
・・・・アマノ王女様・・・。
あの日の続きだったら、アマノ王女なんて言わないはず。
だって、『あなたは私の娘ですか?』って聞いてきたもの・・・・。
・・・・どういうこと?何が起きているの?
「・・・・ええっと、あなたはお料理の紹介をしてくれましたよね?」
「・・・・い、いいえ!な、何をおっしゃってるんですか?それにアマノ王女様は私と一度も話したことはないはずですよ。王女様が私の名前を知っているだけでも驚きです・・・」
・・・・そ、そんな・・・・。
そんなはずない・・・・。
だ、だって覚えてるもの・・・一番初めの朝食の時にピーリーが最初に名前を申し出て、知らない料理の紹介をしてくれたこと・・・。
それについ最近、再会を果たして魔法の廊下であんなことがあったこと・・・。
「ま、魔法の廊下でお話したことは覚えていますか?」
「いいえ!魔法の廊下・・・・そんなものが存在していたことにも驚きです・・・お城の噂では聞いたことがありますが・・・」
・・・・え?ど、どういうこと?
じゃあ、この目の前の人が私の知ってるピーリーじゃないってこと?
いや・・・・・そもそもピーリーだと思っていた人がピーリーじゃない・・・とか?
・・・・どういうこと?
もう、朝から頭使わせないでほしいのに・・・・・・・。




