66 【メアイの視点】お茶会の続き
「あ、フイザー、テンヤさん。私、トイレに行ってくるよ」
「え~?なんでえ~~」
私がそう言うと、すぐにフイザーが嫌そうな顔をした。
・・・・・私がいないと何もできないの?
もう立派な大人なんだからやめてほしい・・・。
それに、このままだと何もできない。
なんとか、フイザーを説得し、アマノ王女の部屋を後にした。
そして、誰もいないのを確認して、廊下を駆け出し始めた。
トイレは目の前にある階段のすぐ隣にある。
が、私はトイレに入らずに、その速度のまま階段を駆け下りた。
本当の目的はトイレなんかじゃない。
・・・・・まだ間に合うのかな・・・・。
私は階段で二階について、先ほどの部屋の中に入った。
この部屋はいつも空いている。
そして、つい先ほどでは、この部屋のベランダで、テンヤさんとオリコとレルナ、アマノ王女がなぜだかのんびりお茶会をしていた。
もし、まだアマノ王女がまだ残っていたら・・・・・やりたいことがある。
「あ~あ、本当に身代わりの人がいるって便利だよ」
・・・・アマノ王女・・・。
私はとりあえず、壁に張り付いて話を聞くことにした。
いやなんでまだいるんだろう。
しかも、オリコとレルナとまだ会話してるし。
「明後日には、めでたくガリバー王子と結婚するし」
それは、アマノ王女では?
本当はテンヤさんはガリバー王子と結婚する運命ではない。
大体、王女じゃないし。
「あ~あ、こんな都合のいいこともあるのね、人生って」
・・・・これは誰が聞いても怒りそうな話だ・・・。
特にテンヤさん。アマノ王女と口論になりそうだ・・・。
まあ、テンヤさんの気持ちが分からないわけでもない。
だって相手は陰でワガママ王女で噂をされているアマノ王女なのだから。
「・・・ちょっと聞いてるの?オリレル?」
「え?あ・・聞いてます」
「き、聞いてますけど・・」
「全く・・・さっきからずっとボーっとしてるじゃない!どうかしちゃったの?」
・・・・・アマノ王女の話は終わりそうにない。
ずっとこのベランダで話していそうだ・・・。
誰かがここに戻ってくるという考えはないのだろうか?
「アマノ王女様」
私が、腕を組んでアマノ王女の目の前に現れると、アマノ王女は「はああ!!」と息をのんで立ち上がった。
というよりも、椅子を変な風にひっくり返した。
「ななななななななんでえ?!メ、メアイがいるのよお!!」
「帰ってきた。それだけよ」
しかし、オリレルの方は、私を見ずなぜだか一点の方向に視線が集中していた。
・・・・どうしたのだろう・・・。
「あの、テンヤはどうしたの?どこにいるの?」
「テンヤさんはあなたの元部屋だったところにいますけど」
アマノ王女はそれを聞くと、急に余裕そうにほほえみを浮かべた。
「あ~だったら、よかった。どうせ、私達はつかまりっこないから。ね、オリレル?・・・・」
アマノ王女はオリレルに答えるよう求めたが、・・・・固まってしまった。
さっきまでいたのに・・・オリレルはいなかった。
・・・・ああ、なるほど。会議が終わったのね。
「オ、オリレルはどこに行ったのよ?!!なんで?」
「だったら、戻ってきなさいよ。このお城に」
「嫌よ!!なんで急にその話になったのよ!関係ないでしょ!オリレルは!!」
・・・・これも一つの策だ。
まさかボツになったのに実行するなんて・・・・フイザーはやっぱり恐ろしくしつこい・・。
「じゃあ、あなたは侍女なしで生きていくのね。でももし、オリレルを取り戻したいのなら、明後日の王冠式に出てちょうだい」
「嫌よ!そんなのするわけないでじょ!!」
アマノ王女の声は悲鳴に近かった。
私は持っていた、明後日の時間のメモをベランダの机に置いた。
これをアマノ王女がどうするかは自由。
・・・・あ、そうだ。
「これ、お城の物だからいただくわ」
そう言って、私はティーセットをアマノ王女から没収して、ベランダを後にした。




