4 嫌です
・・・・・・・・・え?
「そうですよねえ!力作です、王様に褒められて光栄です!」
フイザーが胸を張って自慢をする。
「・・があ、王様・・・あたしの薬飲んでください!全く前なんか自分で-、」
「アマノ、きれいだ。別人だよ。」
ガシスはフイザーの説教を無視し、私に近づく。でもガシスが進み出た分、私は後ろに下がる。
怖い・・・。それになんでいきなりナンパ的なことを言い出すの・・・?
誰かあ・・・助けて・・・意味が分からない・・・。
「ちょっっっと!!」
思いっきり大きな声が聞こえた。この部屋だから実際より大きく聞こえるのだが。
「聞いてます?王様!ちゃんと聞いてください!これだから全くもー、」
フイザーは王様に近づいた。
「何やってるんですか!!意味が分かりません、しっかりしてください!ガシス!」
フイザーは王様と私を突き放した。怒り狂っているが。
「フイザー、ガシスと呼ぶなと言ってるだろう!」
「ひどいですよ、あたしの説教聞かないで王様たるものが、迷惑することするなんて・・
ガシス、それでも王様ですか?!」
なに?なに・・・?謎に喧嘩になってるし、意味が分からない・・・。
私はこうなるはずなかったのに・・・ただバカ真面目に数学の授業を受けてただけなのに・・・。
「え・・・あの・・・?」
「あら、アマノ王女大丈夫よ、守ってあげるから。」
フイザーは振り向いて私の方をガン見した。
「あの・・・そうじゃなくて・・・」
「何よ、文句でもあるの?」
フイザーが怪訝な顔をした。
なんかどんどん話が進んで独りぼっち・・・。
「意味が分かりません、私が変わったとか例のあれがなんなのかも。
誰か訳を話してください!」
フイザーとガシスが顔を見合った。
何だよ、全く。私が手に負えない子みたいに私を見て・・!
「そういえば、フイザー。」
「はい、なんですか王様。」
「アマノ王女に自分の姿を見せたか?」
「・・・・あ、見せてません。忘れてました。」
は?意味不明。
ガシスは奥から大きな姿見を持ってきた。
その中に映っていたのは。
「え?」
私は大きな丸眼鏡をつけて、少し長めの暗い黒髪をみつあみにしておさげにしている。そして使い慣れた制服をきて黄ばんだ白い靴下と靴を履いていた、はずなのに。
そこに映っていたのは、お姫様。
黒髪をウエーブにして丸目が大きくなっている。そしてシンプルな白いドレスを着ている。足には白鳥の羽のような白いハイヒール。
そのうえ、ところどころメイクが施されていた。
「どうだ、アマノ王女。生まれ変わった感想は?」
生まれ変わったも何も・・・嫌だ。
「あの・・・私に何をしたんですかっ?!」
フイザーが姿見に映りこんできた。何とも自信に満ち溢れ、生意気な調子で。
「何って、メイクを施したの。」
それは分かってる。
「それにね、あなたー、」
私の肩に手をかけ体重をかけてくる。
「他のとこ行って、庶民になったから元に戻したの。ほら、私に感謝しなさい。」
庶民・・・・感謝っ????
んなわけない、許さん!
私はフイザーの手を払いのけ、フイザーに怒りの目を向けた。
「感謝?するわけないでしょ?!そもそも私あんたの言う庶民なんだからっ!
私、ただ数学の授業受けてただけなんだから!あんたの国の王女だった覚えはない!」
「アマノ王女様??!」
フイザーとガシスは後ろに引きずり始めた。私がズキズキ前に踏み込んでるから。
「いい?それにガシスにはもう言った。」
「おい、アマノ。『ガシス』って言うな!前も言っー、」
「それにねええ!私はアマノじゃないの、天野 姫なのっ!
私の人生汚さないでよおお!」
「ちょ、アマノ王女ー、」
フイザーの声を無視し、アマノ王女の部屋へとかけてく。
やっぱり、コンタクトはごろごろするし、イライラする。
全くもう。ここの国は嫌いだ、なんだよ勝手に私を変えるなんて。
今度は私の頭を改造する気なのかしら。
ベットに飛び込むしかすべはない。
「アマノ王女様、昼ご飯が準備でき-、」
メアイが言い切らなかったのは私の後姿を見たからだろう。
もう、そんな時間になるのか・・・。
「・・・アマノ王女様、昼ご飯、持ってきますね・・。」
「ありがとう、メアイ・・。」
「いいえ。」
メアイは静かに部屋を去っていった。
できるだけ今日は一人にしてもらいたい。
嫌だ、なぜ私が姫らしくしなきゃいけないなんて・・。
確かにきれい。いいとは思うが。
あれが私。なぜ・・・なぜ・・・・。




