32 休憩
「で、どうなったんですか?」
「もう、疲れた」
「え?」
メアイは、そう言って、森の芝生に寝転んでしまった。
今、たった少ししか聞いていないというのに。
そして続きが気になるというのに・・。
「続き、聞きたいですっ」
「無理よ。それ言っても。私にとってはこれを話すことさえ精神的に疲れるのに」
「精神的に疲れるのは私の方なんですけど」
少なくとも、その活動は国内。
で、私は国外で、しかも苦手だという走ることばかり要求。
しかも、追いかけられる人、速い・・・。
それでも逃げられる私はすごいわあ・・。
「だって牢屋の話なんてだるいわよ。もう二度と入りたくありませんっ!」
まあ、それでもさすがに牢屋は・・。
なにかを盗んだとかだったらまだ分かるけど、盗み聞きと、王女を逃げさせるのを手伝っただけで・・牢屋・・・。
実際、私王女じゃないけど。
「でも、私、話したじゃないですかっ!あれでも精神的に疲れるんですけど」
「あなたは、逃げて疲れてるだけでしょ?」
ズキっ
なにかが胸に刺さった気がする。
「そう、簡単に言いますけど、私運動とか走ることとか苦手なんですよっ!
ドッチボールではすぐ当てられるし、サッカーをやってもボールをどっかに飛ばして失敗ばかり。水泳はクロールをやっているつもりでも、全然前に進まなくてみんなに『おぼれてる』って笑われるし。
もっと悲惨なのは持久走。自分ではベストタイムのつもりでも、みんなに比べたら、ビリレベルだし」
メアイはぽかんと、私を見上げた。
・・・・・いつのまにか私は立っていたのだ。
「・・・・しょうがないわ、続き話してあげる」
メアイはきっと私の言葉の中で分からなかった言葉もきっとあるだろう。
しかし、それは聞かないで、また話を進めた・・・。




