30 お話の続き(姫)
〈前回のあらすじ〉
森で金でできた、三角形の建物。姫は気になって、建物の階段をのぼる第一歩目を踏み出していると、その瞬間に何者かに襲われる。
しかし、それはお城にいるはずの侍女、メアイだった・・・。
そして、姫はメアイに自分のこれまでのことを話していく。
「まさか、ミスターの店長、ベンジャミンには会ってないでしょうね?」
へえ、店長、ベンジャミンっていう名前なんだ。
感心しながら、私はさらりと言った。
「会いました」
「はああああああ?!」
メアイは今日一番の声を出した。
「何してるのっ!ベンに会ったらもう終わりよおっ!!ベンは町一番のゴシップ好きで有名なんだからっ!」
へえ、やっぱりゾルランにも噂好きの人がいるんだね・・。
それはどの世界も共通・・・。
そう思うと、なんか悲しくなってくる・・・。
「でも、しょうがないですか。あの時、店には店長しかいなかったんだから」
「・・・・アンダラ、サボりあがったな・・・」
「アンダラ?」
アンダラとは一体誰のことだろうか?
しかし、なぜだかメアイはその答えを教えてくれなかった。
「で、どうなったの?その後」
「ミスターでストール、コート、ワイドパンツを買いm」
「ワイドパンツ?!!なんでそんな高級品買おうなんて思ったのよおっ!」
メアイは話している途中に割り込んできた。
しかも、ずっとすごい声で叫んでる。
・・・・人の話は最後まで聞こうよ~・・・。
「・・・・私の世界では、あの手元のお金で買える値段だったから、ワイドパンツは」
「あら、あなたの世界にもあるのね、ワイドパンツは」
メアイはそれを聞いて一気に冷静になった。
・・・・今日はメアイ、感情的だなあ・・。
「そして、買おうとして、たまたま足りたもんだから、満足気で出したら、さすがに怪しまれちゃって・・
ついには、私の顔がアマノ王女そっくりで、それでアマノ王女だと誤解してしまって・・」
メアイは「はあ」とため息をついて、頭を横に揺らしながら、頭を抱えた。
「やれやれ・・・」だとか、「やっちまったよ・・・」といった心情だろう・・。
メアイは何も言わなかったので私は話を進めた。
「それで、店長と追いかけっこになって・・・でも気づいたらすごい量の野次馬も追いかけてきて・・」
「ベンは町のリーダー的存在だものねえ・・」
「そして、最後の力を振り絞り、私は逃げ切りました」
「それで?」
なんだか急にメアイのテンションが下がった気がする。
それと、・・・すごく呆れられてる・・。
「そしたら、いつの間にか森の入口に立っていました。ここで立ち尽くしても意味がないと思って、中に進みました」
「うん」
ここで初めてメアイがあいづちを打った。
でも、それはただ、言うことが何もないからだと思う。
「広場で新しい服に着替え、それからまた進み、りすに導かれて、川へきて、水を飲んでいたら、音楽が聞こえてきて、気になって行ってみると、そこはきんきらきんの建物で、足を踏み出そうとしたら、メアイに
襲われて、今となるわけです」
「・・・・そうだったの」
もう、しゃべっている間はメアイは何も言わなかった。
そして、メアイには絶望の他、何も感じられなかった。
しょうがないじゃないか・・・これでも一生懸命逃げていたんだから・・・。
だって、何の告知もなく、異世界に呼ばれたら、誰だってこうなってしまうと思うが。
私はアマノ王女と違って、逃げて隠れるのが不得意なんです!
しばらくの間、メアイと私の間には沈黙が流れていた。
「・・・そういえば、なんでメアイはここにいるんですか?」
「私?」
「はい・・」
「・・・・私なんかしょうもないから」
メアイは私以外のどこかを見つめながら、語り始めた・・・・。




