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3 全く、意味が分からない

前回、姫は数学の授業中に異世界へと飛ばされ

謎の癖あり侍従に振舞われた。

そしてその二日目-

「アマノ王女。アマノ王女!!」

ふいに誰かに起こされ、怒ろうと布団をとった。

「ちょ・・、」

そしてここは家じゃないことに気が付いた。

そうだ・・、異世界にいるんだ。

しょうがなく、ベットから飛び降りた。

「アマノ王女。王様が朝食を一緒に食べたい・・とのことです。」

メアイが何もなかったのかのようにふるまう。昨日は王様の侍従、キトワに飛び掛かって、ライオンみたいに襲っていたというのに。まるで全て嘘か夢のように感じる。

「分かりました。」

やっと、昨日晩御飯を食べていなかったことを思い出した。

ふいになぜか後ろにいたメアイが前に来た。おかしいとは思ったが、案内されているようなので黙ってついてきた。メアイは昨日ガシスに案内されたところと同じところを通った。

共同お風呂が左右から出てきたがメアイはその奥-気にもしなかったドアのほうへ通った。

ああ、なるほど。


通った瞬間、横が長い食卓が出てきた。一番近くの机のたての辺に玉座が置いてあり、そこには王様-ガシスが座っていた。


「おはよう、アマノ王女。」

「おはようございます。」

寝れば名前を呼んでくれると思っていたのに、普通に変わらなかった。

私は王と右に離れた1、2、3、4番目の席に座った。

そして謎に私の隣に次々と明らかに王族ではない人たちが座っていった。

それはエプロン姿だったり、ピエロみたいなかっこうだったり、様々。その中にはキトワとメアイも入っていた。ここでは・・・いやこの国(?)では侍従、侍女も一緒にご飯を食べる決まりなのだろうか?


と、キッチンから出てきた侍従が台車をガシスのところまで持ってきた。台車には小さいというのにびっしり何かが詰まっていた。

侍従はなにもない机にその何かを並べ始めた。多分、食べ物だろう。でも何か全く分からない。

「さて、アマノ王女、帰国を記念して・・・、」

ガシスはガラスでできたワイングラスを持っていた。他のみんなも持っている。

慌ててグラスを持った。

「乾杯!」

「「乾杯!!」」

さて、騒がしい空気が漂ってきた。みんなは目の前にある料理に手をかける。

ええっと・・・分からん食べ物ばっかり・・。お風呂で親近感がわいたのが嘘のよう。

「アマノ王女様あ。」

「へえ?」

横にふいに呼ばれた。その人は多分、侍女だろう。でもなぜ・・・・?

「覚えていますか?」

覚えてるわけ、ないやろおおおおお!

「・・・・そうですか・・・、やっぱり覚えていないですか・・。」

その人は悲しそうな顔をした。

「まあ、いいですが。改めて自己紹介しますね、私は侍女のピーリーです。」

「ああ、はい・・。」

この時ってどうリアクションしたらいい?喜ぶべき?怒るべき?

ここは・・・リアクション地獄だああああ!(泣)

「さて。改めて料理の紹介させていただきますね・・。」

おお、思っていることをしてくれる!


ということで。ピーリー、紹介のもと何とかみんなの食べ方に合わせることができた。

・・・ワイングラスに入った水は気持ち悪いが。

「何を言っております、アマノ王女様。」

「はい?」

「そのワイングラスの液体は最高級の国産のお酒ですよ。」

お酒?!

え、私、今酔っぱらってるかもってこと?!

「何を言っております、アマノ王女様。」

何も言ってないけど?さっきはともかく。

「このお酒は何十年もかけてこの国で発明された、酔っぱらわないお酒ですよ。

 そのうえ、脳にも被害はありません。」

「?」

ピーリーの最後に言った言葉が気になりすぎるんだが。


「トントントン」

朝食が終わり、部屋のベットに寝転がっていると誰かが三回ノックした。

「はい?」

「アマノ王女様。」

侍女、メアイがひょっこりとドアから出てきた。

「何ですか?」

「王様が王女様とお話したいと・・・。『王様の玉座』へおこし下さい。」

メアイは用件だけ話すと、部屋を出てった。

・・・・なんですと・・、また一人で行けと・・・・?!

どうする、今度は王様もいない・・・・。


私はしょうがなく部屋を出て行った。

とりあえず、地図を・・・。

「ああああ。」

やっぱり。この文字は変わらない。文字ばっかりで絵がない。

見にくすぎる・・・。

「ああ、もう忙しすぎるよお。王様のとこ行かなきゃいけない。」

荷物をたくさん持った侍従にすれ違った。

「あれ?」

三角帽子をかぶった目立つかっこう。朝食で分かった。そんなかっこうをしている侍従はただ一人・・。

「キトワ?」

キトワは気が付かずに早足で去っていった。

待って、そういえば「王様のとこ」って言ってたよね・・。

もしかしたら-。

「待ってっ」

それでもキトワは気が付かずに前へ進む。相当急いでいるらしい。

しょうがない、ついていこう。

・・・ストーカーになっちゃうけど。


それにしてもあまり他の人に(侍従、王族)会わない気がする。

「うわあ」

ついていけないほどキトワが早くなったわけではない。つい、足が止まった。

白い光沢のある半径型の部屋。といってもドアはない。天井にはいろんな色のステンドグラス。ステンドグラスがまた、光があたってキラキラ輝いている。

相変わらず、ど真ん中には赤い長いじゅうたんが敷かれている。

ここにはじゅうたんが常備されているのだろうか。

「アマノ。」

静かだったここが、ガシスの声で響いている。

少し暗い奥には玉座が置かれ、ひっそりとガシスが座っている。

ここか、「王様の玉座」は。

「きれいだろう。昔、アマノが文句しおったから整備したぞ。」

・・・・知らん・・。

「アマノ、話がある。もっと、近くに寄ってくれ。」

私はステンドグラスを目に焼き付けて、奥に進む。

「何ですか、話とは。」

「・・・・前から気になっておったが・・。」

ガシスは白いひげをなでた。


「変装のためだと思うが・・。そのアマノの服・・・は・・・?」

「あ、これですか?『制服』です。」

この国には「制服」がないのだろうか。絶対、あるはずだ。

「ふうううむ。『制服』・・はこの国、ゾルランでは・・。」

へえ。ここ「ゾルラン」って国だったんだ。やっと分かった。

「・・・なんですか?」

「・・・よくないというか。」

何だろう。こんなためらいがちに言うことはあるのだろうか?

急にガシスは手を鳴らした。

「フイザー!」

「はああい!なんでしょおう!」

なぜか伸ばして言う人がささっと出てきた。

フイザーはこの王宮で珍しく、黒いTシャツ、ジーンズを着ていた女だった。多分、この王宮の中で一番現代っぽいと思う。

「フイザー、イメ-。待てよ。フイザー!」

「何でしょう!待っていますよ、王様!」

近距離だというのにガシス達は声を張り上げる。

「はあ・・。フイザー。ドレスを着ろ、と言ってるじゃないか!

 なぜ、ドレスを着ない?」

「何を言っています!あたしは王様の言いたいことがわかってるんです。

 このかっこうしてないと、集中できないんですよ!ほら!」

フイザーはTシャツ・・ではなく、メイク道具をガシスに見せつけていた。

ど、どういうこと・・・・?!

「ああ、なるほど。」

どこが?

「分かっているようだ。言わなくてもよさそうだ。フイザー、いつものを。」

「はい!かしこまりましたっ!」

フイザーはビシッと右手を斜めにし、眉毛の上付近に置いて、決めポーズ。

はあ?ええ?

あの二人は何の話をしている?まともな、話をしていない気がする。

つ、ついていけない・・・。

「さあ、アマノ王女。付いてきてください!」

フイザーは回れ右をして、この部屋に背中を向けた。

私は頭が混乱している中、しょうがなくフイザーについていった。


「ここです。」

そこは「王様の玉座」と2番目の右のドアだった。フイザーは手慣れた様子でドアを鍵で開ける。

その部屋は鏡がたくさんあり、座るところが鏡のかずぶんあった。

まあ、楽屋みたいなもんだった。

「アマノ王女。好きなところをお座りください。」

何だろう。この強制感。嫌な予感しかない。

私はど真ん中の席を選んだ。

「ああ!失礼します。」

フイザーは鏡全てに黒い布をかけた。

何?何だろう。

「ああああ!」

なぜか私の丸眼鏡を取られた。み、見えないい!

「我慢してください!ほら、コンタクト!」

この世界にはコンタクトレンズがあるんだ・・・。でも好きじゃない・・。

コンタクトに仕方なく手をかけ-、

「いたあああ!」

おさげにしている髪の毛を引っ張られた。この髪の毛はおさげをしてもぐちゃぐちゃなので痛いのがしっかり感じる。

「もう、我慢して下さい!」

もう、嫌ああ!乱暴にしないでっ!

何をしているかは分からないがやめてほしい。

「アマノ王女っ!」

フイザーは私を子犬みたいに手を鳴らして呼んだ。

「何ですか!」

いすが360度回るのでフイザーに向いた。

「!!」

なぜかフイザーに詰め寄られ、口の中に何か分からない液体を飲まされた。

なんでよ・・・もう・・・。





「アマノ王女・・。アマノ王女!」

「は、はい?!」

フイザーに起こされた。私は寝ていたらしい。あの時から記憶が・・・ない。

「できました。」

何がだろう。

「さ!」

またフイザーは手を鳴らした。手を鳴らすことが癖らしい。

「また王様のとこに行きましょう。」

え、え?

フイザーは説明することなくずんずん前に行く。

「何をやっています、アマノ王女!ちんたらやってないで行きましょう!」

私はしょうがなくフイザーについていった。

誰か・・・教えてえ・・・・。


「王様っ!」

フイザーの声が響く。ガシスは全く動いていないようだった。まるで銅像みたいに。

「なんだ、フイザー。」

「王様っ・・・!忘れてしまったのですかあっ?!最近忘れっぽいですよ!

ちゃんとボケ防止のあたしの薬、飲んでますう?」

なんだって?フイザーは薬剤師だったの?

「はて・・・、ボケ防止の薬とは・・・?」

「はあああああああああああ?」

フイザーは思いっきり大きなため息をついた。

怖い・・・。

怖すぎてその前を通ろうとしていたキトワ・・・、静かに去ってったし・・・。

「まあいいですよっ!後でお説教させていただきますっ!

 そして例のあれで良くなったアマノ王女でええす!」

フイザーはなぜか手でキラキラ感を出し、何気に私を通りにくくしてる・・・。

でもまだ「例のあれ」の意味が分からない。

「あのお!アマノ王女、早く通ってもらえませんか?あたしの演出無駄になるんですけど・・・?」

「あ、はあ、はい!」

急いで赤いじゅうたんを通ったー。

「いたあっ!」

トテンと、前に転んでしまった。

なんだよ、ここ。じゅうたん不良品だなあー。

「ってあれ・・・?」

おかしい。

私の制服は?なんで私すっごい暑苦しいドレス着てるの?スカート、嫌いなのにー。


私が立ち上がって、じゅうたんの砂をドレスから払って王様から一言。

「きれいだー、アマノ王女。」



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