27 森はたいくつ
今週から、しっかり土曜か日曜更新になります!!
森ってつまんないや・・・。
私は木をかけ分けながら、そう思った。
かきわけてもかきわけても目の前には木がたくさん。
緑を見ると目の癒しにはなるけど、さすがにこれはもう見飽きた。
と、いうかのんきに「ああっ、この木とってもきれ~~いっ!!」とか思っている場合ではない。
そもそもここにはピクニックをするためにきたわけではないのだ。
食料はないし、水が飲めるような川もない。
「はあ・・・・」
一人、ため息をついて、手を止めた。
もちろん、木と木が密集しているこの場所では、休憩するべきではないと思うが・・・・
この木は無限?!っと思ってしまうほど、キリがない。
「なんでこんなこと、するはめになったの・・・・?」
なんで?
・・・・思い当たることがない・・・。
だって、私は勉強を一生懸命やって、自分に誇りを持って学校生活を送っていただけだもん。
それなのに、こんな面倒なことに巻き込まれて・・・・。
「帰りたいよ」
もしここに現世界に戻れるドアとか、穴とかがあったら、入りたい、戻りたい。
もう何日も数学をやっていない。
もう何日も勉強をしていない。
なんで私は逃げてばかりなの?運動神経悪いから、鍛えるためのキャンプ?
なんで私はアマノ王女のワガママに従わないとイケないの?
最初から王女なんてなりたくなかったし・・・自由奔放やって・・・・。
そして私はどうやったら、戻ったらいいのだろう・・・。
このまま、ここで暮らすの?
この森でずっと木をかき分けて、逃げるの?
嫌だよ、きっと私はここで生き延びれない・・・・食べ物もないし、飲み物もないし。
これこそ、サバイバルだと思う。
・・・・・アマノ王女、会ったら許さないんだから・・・・。
チチチチ
「何?」
なんだか、鳴き声が聞こえた気がする。
辺りを見渡してみるが、もう真っ暗なので全く見えなかった。
「・・・・・夜か・・・」
夜になっていたのに気が付かなかった・・・。ずっと木をかき分けたから・・
「いたっ」
なにかが頭に当たった。それをしゃがんで、確認した。
「・・・・・ドングリ?」
目のかすかな輪郭とその手触りがドングリそのものだった。
「なんでドングリなんか・・・」
チチチ
再び、その鳴き声が聞こえた。
「あれはリス?」
一回目は分からなかったが、あれはリスの鳴き声だった。
私は上を見上げた。
小さくて、尻尾のモフモフ感、出っ歯の白い歯・・・・それはやっぱりリスだった。
チチチチッ
それはだんだん遠ざかってく。
「ああっ、待ってよ」
私は慌ててリスを追いかけた。
なんでかは知らない・・・・でもなんだか追いかけないとイケないという気がした。
私はリスの鳴き声を頼りに追いかけた。
もちろん、木をかけ分けながら。




