24 ミスターの男の人
「あんさん、すごい人なんね・・・・これで赤字は一週間は回避できる」
まあ、そりゃあそうだろう。319,112ビルドものお金(日本円にすると671,769円)、持っている農民のひとなんてなかなかいない。
しっかし・・・。
メアイはすごいなあ・・・こんなにお金を持たせて・・。
「ところで、関係はないがあんさん、どうやってお金を手に入れたんだい?」
「はい?」
ああ、めんどくさい。
こんな場面はこれで初めてだが、面倒くさい。いちいち、嘘の説明をしないといけない。即興で。
だって、「私はここの世界に入り込んだものですが、お城の侍女にお金を持たされました~」な~んて言えるわけない。信じてもらえるわけない。そして誤解されて、またお城行き。
「いや、そりゃあもちろん、働いてお金を稼ぎましたけど」
「そうなのかい・・・・にしてはすごいねえ・・・魔法みたいだねえ」
「???」
この人、いきなり何を言うのだろうか?
当ったり前のことを平然と言っているのに「魔法みたい」って。
まるで私の心の中を見透かされたようで・・・・
この男の人、怖い・・・・・変なこといわないでおこう・・・と思ったとたんに手汗が出てきた。
「それがどうしたんですか・・・?」
怖いが聞いてみた。
「あんさん、どう見ても十代だろ?十代が頑張って頑張って働いても三万ビルドも及ばない。
頑張っても950ビルド(日本円にすると2000円)しか稼げないはずだ」
へ?
なんか急に探偵になった気がする。
でも、それはあくまでも基準の話で、何とかすればこんな事実、ごまかせる。
「たくさん仕事をして稼いだんです。それは基準の話であって、十代だろうが年は関係ないと思います」
そう言って、「さようなら」と商品を全て手にもって店を後にしようと、背中を向けた。
「・・・・・・おい?ちょっと待てよ」
つい、後ろを向いてしまった。なんでだよ、もう!!!
「あんさん、アマノ王女に似てへんか?ほら」
アマノ王女・・・。
ついにこの男はその言葉を発してしまったか・・・最大の弱点、それは私がアマノ王女に似ていること
ああ!なんで忘れちゃったんだろ、もう後ろ向かなかなきゃよかったのに!!!
そして、その男の人は、奥から、茶色い古臭いポスターを見せてきた。
それは
『アマノ王女を探しています。見つけたら、知らせてください』
という、よくありがちな人探しのポスターだった。
ってえ・・・?
そのど真ん中にはアマノ王女の写真がドーンと大きく出ていた。
こんなの、あったの?
きっと私が逃亡した後に王様かキトワまたはお城の人が作ったんだ・・・。
知らなかった・・。
「・・アマノ王女に似てるってよく言われるんで・・」
そして、またクルリと回り、背を向けた。
「あんた、アマノ王女なんやろ??その少し前の金貨は城の者の印やで?今は、銀貨なんや」
やばい・・これはやばい。
本能的に分かった。多分逃げないとだめだ。なんで、勉強の成果を発揮するときより、苦手分野の運動ばかり使うのだろう・・・
「あんた、王様に知らせたるで?そしてらこんなぶらぶらさせへんから!!」
いや、私はその人が言葉を言い切る前にもう、走り出したので、その男の人も私の後を走って追いかけ始めた。
なんで・・なんでよおおおお・・・私なんにも悪いことしてないのに・・本物のアマノ王女、追いかけてよ!
ま、いまだ行方不明なんだけども。
つい、走りながらまた後ろを向いた。
すると、その男の人、一人だけだったのに、その後にたくさん人が追いかけてる!!
多分、野次馬だ・・野次馬だあああああ。
もう、なんで?なんでこんなことになるの???
私はしょうがなく、おりゃあああああと最後の力を振り絞って走っていった。
しかし、私は後ろを見ることをやめることができなかった。
「ううぇえもう無理だ・・」
私はついに地面にねそべった。もうここでまた走れ!って言われたら終わり。不可能。
しかし、もうその時にはあの男の人も野次馬もいなくなっていた。
ふう・・よかった・・・逃げきれた・・。
「でも」
ここはどこだ???
なんにも考えずただひたすら走ったけどその後のことは考えていなかった。
迷子??!
でも、確か真っ直ぐ走ってったから、一応戻ることはできるかもしれないが。
でも戻ったら、絶対掴まる。
だから・・・・
「前に進むしかないのか・・・・」
「はあ」とためいきをついて、改めて目の前の景色を見る。
目の前には
木木木木木木木木木木木木木!!!
それもクリスマスに飾れるクリスマスツリーにできそうな針葉樹。
当たったら、痛そうだなあ・・・とげとげしてるから。
うん、多分これは森だね。
でもどうしてゾルランに森があるのだろう?
お城で町を見下ろした時も、「レヴィリディ」で生活した時も(二泊三日だったけどね)こんな森見えなかった。そもそもゾルランに森が存在していることも夢にも思わなかった。
しかしこのまま突っ立ていては町のみんなに次第に追いつかれるだろう。
私は狭い木と木の間を手で押さえて進み始めた。
・・・・・なんか忘れているような・・・・。




