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22 二度目の夜

更新、遅くなりました!

「そうか、テンヤ ヒメか・・・。」

リディアは頬に手を当てて、そう言った。ゾルランで私の名前をすんなりと認めたのは、アマノ王女の侍女、メアイの次の二番目である。

「でもなんで、ガシスはヒメをさらったの?」

ガ、ガシス・・。

リディアはガシスを「王様」と呼ばないらしい。

「わ・・私の名前って天野あまのひめとも読めるから、勘違いして・・・。そもそもテンヤと読むのはとても珍しいけど」

「ああ、なるほど」

ただ、それだけだった。

もう、それっきりその話題は出ないで、私は閉店間際の「レヴィリディ」の店内に連れてかれた。

一応、キッチンの横に食卓が置いてあるが、あまり使いたくないらしい。

「レヴィリディ」の店内にお客さんは一人もいなかった。モーニングの賑わいがまるで嘘のようだ。

私はカウンターの六つある席の中の右から二番目の席に座った。

昨日は右から三番目の席に座っていた。

「好きなのを食べて」

「はい・・・」

好きなの、と言われても文字だけではどんなものか、やっぱり分からない。

文字だけではまずそうなものばかり。

結局、私はチヂミリンを選ぶこととなってしまった。


そのチヂミリンはやはりしっかり鉄板に入れられて、やってきた。

私はまた、スプーンともいえないもので一口、チヂミリンを口の中へ運んだ。

・・・・・まずいとも何とも言えない。

しかし、すっかりチヂミリンが慣れてしまって、案外「この味、この味♪」とテンションがあがっている自分にびっくりしている。

「はあ・・・」

なんとか完食し、(これはまだ慣れない)マズイ水を飲んで、ため息をついた。

・・・そういえば、リディアはどこだろう・・。

料理を出してから、リディアを見かけていない。

キッチンで何かやっていると思ったのだが、それにしてはあまりにも長いのでさすがにソワソワし始めた。

「まあ、びっくりした!倉庫、きれいになったね・・・・すごいね、ヒメ」

リディアが私の元にやってきた。

どうやら、倉庫をずっと見ていたらしい。

「リディア、『ヒメ』って呼ぶのやめてもらえます?

 もし、誰かが聞いていて、王女だと勘違いして王様に知らせてしまったら、またお城行きになってしまいます・・・『天野(テンヤ)』って呼んでください」

リディアは「分かったよ」と言ってちらりと私の手元にある鉄板を見てこれまたびっくりしたようだ。

「テンヤ、もう完食できるようになったのかい?!」

「まあ・・・そうですね」

「でも、テンヤ・・チヂミリンだけでなく、他の食べ物も試してみたら、どうだい?ここ、ゾルランはチヂミリンだけでなく、たくさん料理があるからね」

「そうですね」

そう・・言ってはみたが、やっぱり試す気にはなれなかった。


私はこの夜、キレイになった倉庫で寝た。

ベット、シーツの代わりのカーテン、ミニ窓に付いたカーテン、そして掃除した後から出てきた茶色のシンプル机。たったこの4点でスッキリだった。

・・・・・ただ、外の庭は入らないものを入れた袋であふれかえってるけど・・。


3日目の朝。

リディアはまた今日も「モーニング」を実施。やっぱり、「レヴィリディ」の店内には(まあ外にもだけど)人がたくさんいた。ただ、昨日と変わったことと言ったら、リディアがモーニングをやって、あまりの

忙しさに朝ごはんをくれなかったこと。

別に普段の生活でも朝は抜いても平気だったから、別にいいけど。

それにここはやっぱりご飯が・・・ね。

「あーあ、暇だなあ」

倉庫のベットでゴロゴロ横に転がりながらつぶやいた。

今日はそもそも朝ごはんくれなかったから、暇な時間が増えるし。それに勉強道具だって城生活ではまああったけど、ここは町だからあるわけない。シンプル机の引き出しにはなあんにも入ってないし。

日記とか面白いもの、入ってるかなあって期待してたのに・・・プチ裏切り。

本当の私の世界なら、漫画とか、ゲームとか、小説とか、テレビとか、スマホとかで暇なんか簡単につぶせるのに・・・、いやその前に勉強した~い・・・。

暇。

暇、暇、暇、暇、暇、暇暇暇暇暇暇暇暇っ~~~!何百回も言えちゃうくらい、暇だ。

暇でおぼれそう。

ベットでゴロゴロ転がるだけなんか、つまんな~い!

ここは、衣食住だけなのか?なんて、つまらない!

まさか、過去の私は今の私がこんなこと、思うなんて思わないだろうなあ。

ああ、数学の授業にもどしてくれ~

そもそもその原因となったアマノ王女はどこなの?何してるの?

この生活、いつまで続けるんだろう?いつまで続くんだろう?まさか、一生だなんて冗談だよね?

こんな生活、長くは持たない。

こんな城下町はさあ・・・つまんない。

その時、ハッとした。

「私そういえば、城下町の全部、見てない」

護衛から追われ、このリディアの家・・・倉庫か・・・に置かせてもらって、城下町の探索なんて全然しなかった。どうせ、この生活ずっと続くんだから、楽しい方を選んだ方がいい。

ここでベットでゴロゴロ、暇でおぼれそうになるより、ずっといい。


そう決心すると、私はもう、リディアに一直線だった。




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