18 倉庫?!
リディアはいつも姿を消す、キッチンに進んだ。
一度ちゅうちょしたが、カウンターに入ってリディアについていった。
キッチンに・・いや、「レビィリディ」にまさか数時間で中の風景を見るとは思わなかった。
「わ」
左に位置する、キッチンに目を止めた。
キッチンは現実世界のものと、それほど変わらなかった。上に取り付けられている小さな棚が少し開いていて、山ずみの皿がちらりと見えた。そして、流しにはたくさんの食器が詰め込まれ、ところどころにさびが
見える。
・・・・・・汚い。
本当にリディアの言う通り、汚い。なぜ、自覚しながら直さないんだろう・・・?
しかしリディアはそんな私にお構いなし。ズンズンと突き進んでいる。
キッチンを通った後、リディアは曲がらず、真ん前の小さなドアに手をかけた。
「へえ」
ドアが開けると、少しコンクリートの道が挟まれていて、その奥には大きな倉庫があった。
その倉庫にドアは無く、中が丸出しだった。
中にはキッチン同様にたくさんのものが詰め込まれている。
『ま、いいや。とりあえず詰め込んじゃえ』
この倉庫からリディアの声が聞こえてきそうだ。
これは全て、ゴミ・・・?
「今日はとりあえずここに寝てもらってもいい?」
「あ・・・はあ・・・」
「じゃ、よろしく~」
さっきとはテンションをあげて、ちゃっかり固まっている私を置いて去ろうとする、リディア。
「あ、あのっ」
「ん?」
そんなリディアを慌てて、止める。
「この倉庫以外で、寝るところってありますか?」
「う~ん・・・・ないね、ごめんねこんなところに寝かせることになっちゃて」
リディアは考え込んだが、きっぱりと言い切り、なぜだか私を気遣った。
気遣いできるんなら、ここの掃除やってよ・・・・・
リディアはそんな私の気持ちを知るわけでもなく、すっと立ち去った。
「はあ・・・」
イメージと違う・・・、最低でもわらでしょ、わら・・!
これはわらの上で寝るよりも、きつい・・・
ただでさえ、汚い庶民の服がもっと汚くなりそう・・・
しかしもう外はすっかり暗い。
ここの掃除をしたら、朝になってしまう。
「しょうがないよね・・・」
ゴミ山は三つ、どんどん上がる形でできていた。
しかもそれはテレビとかで「ゴミ屋敷」と紹介されそうなぐらい汚い。
私はしょうがなく、ゴミ山を階段として使い、ゴミ山のてっぺんにのぼった。
しかし、頭が天井に届きそうだ。
「はあ・・・」
さっきと同じようなため息をついて、ゴミに寝っ転がった。
ゴミはわらの代わりにちっともなってない。
むしろ、カサカサのわらの方が幸運だ。
ゴミがごつごつしていて、しかも寒い・・・。
わらなら、余ったわらを体の上にのせて寒さをしのぐこともできるけれど、これはゴミだ。
ゴミを体の上にのせるなんて汚すぎる。
とうてい、ここの生活ではお風呂はできないだろうから、体をきれいにすることもできない。
「寒い・・・・」
私は毛布をしかず、枕もおかず、初めてゴミの上で寝た。