表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

君の響き

「お待たせー!浴衣かわいい!!」



麻里と私の元に、遥香が走ってくる。今日は女バス2年組で学校の近くの夏祭りに来た。



黄色を基調とした浴衣を着ている私。麻里は赤メインのパステルカラーの浴衣。そして遥香は…白と黒のかっこいい浴衣がよく似合っている。



「若菜の浴衣、なんかエネルギッシュだね。」



そんな話をしながら屋台通りを歩いていると、後ろから声をかけられた。



「おっ!篠原じゃん」



後ろを向くと、この前話に登場したばかりの尚都くんがいた。私と尚都くんはクラスメイト、しかも隣の席で仲がいい。



「おー尚都くん!久しぶりな気がする」



「夏休み入ってから会ってねえもんな」



「尚都じゃん!今日もイケメンだねー」



「遥香だー久しぶりー。そんな…お前にイケメンなんて言われたくねえよ…」



遥香のサバサバした性格は男女関係なくモテる。遥香と尚都くんは確か、1年のとき同じクラスだったっけな。



尚都くんの横にいた男子と麻里はしゃべっている。



「あっ、こいつ有田隆弘。俺の幼なじみ。」



「麻里ちゃんとは委員会で一緒の班で、仲良いんだ。ちなみに野球部!よろしくな」



有田くんは坊主頭で目がクリクリしていてなんだかかわいい。とても気さくでいい人そうだ。



有田くんも尚都くんの幼なじみってことは、河野くんとも幼なじみってことだよね…。この幼なじみ軍団、なかなかの美形軍団だな…。



「じゃあ河野くんとも一緒なんだね」



気がついたら口に出していた。私と河野くんの繋がりって、よく考えたらとてつもなく薄い。



「あー、竜樹は今日は…」



有田くんが言った瞬間に、ドーンと大きな音が舞台から聞こえてきた。



太鼓の音だった。



「今日そういや地元の太鼓チームが叩くとか書いてたね」



麻里が言った。私たち5人は舞台がよく見えるスペースに移動した。



「まあ、俺らこれを見にきたんだけど」



「え?そうなの?」



「うん。俺らの地元の太鼓チームだから。」



「なるほど…かっこいいねー」



有田くん、とっても話しやすくていい子。



太鼓チームが先ほどの大きな音を鳴らした太鼓の周りにゾロゾロと集まってきた。それぞれの位置につく。



って、えっ?!?!



「あっ、そうそう、さっき太鼓に遮られたけど、今日竜樹は…」



「あの、1番中心の大きな太鼓叩いてるのって…」



「そ。竜樹だよ。」



河野くんはそこにいた。さっきの始まりの音を叩いたのは紛れもなく河野くんたった。



そして太鼓チームは、叩き始めた。



地面に響き渡る、太鼓の音。心にも頭にもドシドシ響いてくるその音。連携がかっこよすぎた。でも間違いない。1番うまいのは河野くんだ。



「あいつ、ホント音楽バカだよな」



尚都くんが言う。吹部のエースで、太鼓も叩けて。確かに音楽バカのその一言が正しい気がする。



「ピアノも指揮もギターもできるしな」



「音楽バカ通り越して音楽の天才だよな」



いや、音楽に強すぎない?



「あんな身長あるのに…スポーツに引っ張りだこだろうに…」



思わず呟いてしまった。4人に笑われたのは言うまでもなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ