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迷宮奇譚  作者: 山と名で四股
迷宮に挑みし者
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ラビリンス 8層

 2層で手に入るアイテムは、1層とほとんど変化がなかった。まだシローは、鑑定していないが草の束や液体の入った瓶、鉄の短剣と胴のショートソード、本をすでに2層で手に入れている。

 短剣は、刃渡り30cm~40cmくらいの物、ショートソードは、50cm~70cmくらいあり胴や鉄でできている。普通のソロであれば持ち帰る事ができるアイテムの数や重量には限度があり、武器などの重たい物は3本くらいしか持ち帰る事は難しい。そのためせっかく宝箱が出ても持ち帰る事を断念する者も少ないない。シローは、アルハナートの収納機能を手に入れた事で、宝箱から入手したアイテムをすべて持ち帰る事ができる。


「アル。まだ収納は大丈夫か?」


 アルハナートから収納は、有限だと聞いているためシローは確認を取る。


『まだ、十分収納可能です』


「わかった。収納がいっぱいになる前には教えてくれよ」


『了解しました。収納が75%程度になった時にお伝えします』


 アルハナートに収納できる量を確認したシローは、2層の探索を再開する。途中で水分補給を兼ねて少し休憩を取ったが、順調に探索を進められている。

 突き当りにあった小部屋から引き換えし、分岐まで戻るとまだマッピングの済んでいない通路を進む。


『マスター。通路の先に魔物です』


 アルハナートの索敵報告を受けたシローは、剣を構え慎重に進む。確認できたのは、ヒュージスライムだが、先ほど倒したものと色が違う。


「アル! 稀少種か?」 


『はい。ヒュージスライムの稀少種です。弱点は火属性です』


「火の魔法剣を頼む」


 シローは、アルハナートにそう言うと頭上に剣をかまえる。アルハナートは指示どおり、その剣に火属性の魔法を付与する。2層に来てからアルハナートの補助魔法を色々と試行していたが、シローはこの魔法剣と強化魔法を主に使う事にしていた。

 魔法を付与されたショートソードの剣先には、炎が揺らめく。その剣を見る目もないスライムだが、あきらかに後ずさっていた。スライムは、炎を何らかの方法で感知しているのだろう。

 シローが、剣をかまえて走りだすとヒュージスライムは、粘液をシローに飛ばす。蟻の吐く蟻酸と同様にヒュージスライムのメイン攻撃だ。直線状に飛ばす酸や粘液は、1対1であればシローにとって回避は難しくない。粘液を避けるように横移動し、間合いを詰め、炎を纏ったショートソードを突き刺す。スライムは、斬るよりも突き刺し中から燃やす方が効果が高い。炎を身体の中につきいれられたヒュージスライムの稀少種は、しばらくもぞもぞとしていたが、やがて光となって消えていく。そこには、豪華な宝箱が残されている。


「さすがに稀少種は、宝箱も豪華だな」


シローは、アルハナートにいつもどおり周囲と宝箱の罠を確認させたが、魔物の接近はなく宝箱の罠もないようだ。安心してその豪華な箱を開けると中には、1冊の本が入っていた。


「本か……」


 シローは、箱から本を取り出すとアルハナートの収納に本を入れる。


「武器がよかったが、こればっかりは仕方ないな」


 稀少種を倒したので良い物がでるかと期待したが、少し期待外れだった。その後も魔物を倒しつつ2層の探索を続けると3層へ下りる階段がある部屋を見つけた。まだ2層のマッピングは半分も進んだかどうかと言ったところだが、運よく先へ進む階段を見つける事ができた。


「さて、せっかく3層へ進めるなら一度見ておくか」


 シローは、3層へ続く階段を下りる事を決める。シローが、情報を持っているのは、次の3層までのものが多い。パーティー等であれば3層まで進むのはそれほど難しくないから情報もそれだけ多いのだ。

 きちんと役割分担したパーティーなどであれば、戦闘職が複数おり1体や2体の魔物が現れても問題なく倒せるし、スカウトやポーターがパーティーにいれば罠の回避や3層までの食糧などを確保できるためだ。


 階段を下りるとそこは、これまでの2層と少し雰囲気が違う。壁の素材や明るさなども1層2層に比べると微妙に違いがあるがわかる。


「なんだか少し寒いような気がするな」


『気温に変化はありません』


「ああ。噂で3層には、ゴーストが出ると聞いたからだよ」


 シローは、笑うように言うが、物理攻撃無効のゴーストは、魔法使いなどがいないと倒すことはできない厄介な魔物と言える。しかし、アルハナートを連れたシローにとっては、それも脅威とはならない。

 シローは、3層をある程度マッピングし、戻る計画を立てる。


「今、外は、夜か?」


『はい。夕食時は過ぎていますね』


「そうか。なら少しここで休息をとって初のラビリンス宿泊だな」


 シローは、アルハナートと相談していた方法で、夕食をとると横になれるような場所を探す。たまたま3層に入ってすぐに見つけた小部屋には、釣天井の罠が仕掛けられていたが、罠を解除すればちょうどよいスペースになった。


 収納から寝袋を取り出したシローは、アルハナートに探知警戒を任せ。自身には、透過をかけてもらう。これで、周囲からシローとアルハナートを見つける事はできない。

 シローは、慣れないラビリンス内での宿泊になかなか寝付けなかったが、終日歩き、魔物と何度も戦った疲れもあってゆっくりと目を閉じた。


『マスター。探知に反応があります。魔物ではなく冒険者のようですがいかがしますか?』


 シローは、どれほど眠ったからわからないが、アルハナートの声が脳裏に届き静かに目を開ける。


(冒険者?)


『はい。近くに冒険者が近づいてきます。人数は……3名です』


(このままここにいると見つかるか?)


『相手が探知魔法を使えば見つかる可能性があります。探知魔法が使われなければ回避は可能だと思われます』


 このままここで隠れて過ごすか、姿を見せて応対するべきかをシローは考える。しかし、シローが、その答えを出し切るまでに3人の冒険者が、息を切らせながらシロー達がいる小部屋に侵入してきた。今更姿を現せばいらぬ疑いや詮索を覚悟しなければならないため、シローは小部屋の奥で隠れるように過ごす事を決める。


(このまま姿を隠す。何があっても対応できるようにしておいてくれ)


『了解しました』


 部屋に入ってきた3人の冒険者は、戦士風の男が2人とポーターだろう男が1人だ。スカウトや魔法使いがいなければシローが見つかる可能性は低いので、シローは内心ほっとした。


「こ、ここまでくればいいだろう」


 はあはあと両手を膝にあて息も絶え絶えに仲間にそう言ったのは、ポーターの男だ。


「しかし、まさかこんな事になるとはな」


 戦士風の男のうち丸い盾を左手にもった男が答える。


「ああ。これで俺達ホークウインドも終わりだ。隊長たちもあれじゃ助からないだろうしな」


 戦士風の男で背中に長剣を背負う男が、ホークウインドと言うクラン名を出し、シローはその話しに集中する。


「お前らは、どうするつもりだ?」


「この後か? もうホークウインドも終わりだって言うならクランの資産を俺達で分配して解散ってとこだな」


 丸い盾の戦士が聞き、長剣の戦士が答える。


「俺はそれでかまわないぜ。新しいクランを探すだけだ」


 ポーターの男が賛同する。


「なら。ここから出たらラビリンス内で、あったことをギルドに伝えて解散。ギルドに預けてあるクランの資産を分配でいいな?」


 丸い盾の男が確認すると2人が頷く。


「これで10年続いたホークウインドも終わりだな。いつか最後は来ると思っていたが……」


「だが、相手があれじゃ他のクランだってどうにもならないだろうよ」


「ああ。まったくだ。あんな化け物はどうしようもないぜ」


「バジリスクの稀少種。ジェイドバジリスクか……二度と見たくはないな」




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