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迷宮奇譚  作者: 山と名で四股
迷宮に挑みし者
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ラビリンス 5層

 シローは、アルの機能を使い危機的な状況を脱した事を喜ぶ事よりも、アルハナートを手に入れた事で広がるだろう自分のこれからを考えると興奮冷めやらない。


(アル。君は、俺の魔力とつながっていると言っていたけど、それだけで動く事ができるのか?)


『はい。マスターとのパスが繋がっている限り、必要な物はありません』


(索敵についてだが、ラビリンスにいる間、魔物の接近があった場合や俺が確認したい場合には、探知魔法で確認してもらっても良いか?)


『もちろんです。索敵についてですが、常時、探知魔法を発動するとマスターの魔力が持ちませんし、緊急時等に魔法でマスターをサポートすることが困難になりますので、定期的に索敵させていただきます』


(探知魔法はどのくらい遠くまで探知できるんだ?)


『はい。現在は、およそ30mくらいの範囲を索敵する事が可能でしょう。マスターの魔力が増加すれば、さらに遠くを探知する事も可能です。但し、隠形する魔物など一部の魔物は、探知魔法だけでは見つける事のできない場合もありますので注意してください』


 シローは、今後の事を考えながらアルに質問して確認していく。まず、シローが考えたのは、アルの収納機能を活かせば、これまでと違い奥へ向かっても食料の問題などがなく、多くの宝箱を回収しても持ち帰る事ができるようになることだ。

 以前、シローは、他の冒険者からラビリンス内で鎧を手に入れたが、あまりの大きさと重さに持ち帰るのを断念したと言う話を聞いていた。重い荷物を抱えて戦闘する事はできないし、持ち帰る事ができる荷物の重量にも限度があるのだ。


『マスター。次の角を曲がったところに魔物が探知されました。相手は、ジャイアントアントです』


(アルの補助魔法を見てみたい。倒す事は可能か?)


『ジャイアントアントは、火属性の魔法に弱いため火属性の初級魔法があれば倒せます。現在のマスターの魔力では、アルハナートも初級程度の魔法しか使用できませんが、それでも十分ジャイアントアントを倒す事は可能と思われます』


(わかった。試しにやってみてくれ。武器もないしな)


『了解しました』


 アルは、シローの斜め前方の位置からスーッと前に移動していき、角で制しすると発光する。アルハナートの球体の模様が浮き出るとアルの少し手前から炎の球体が出現する。

 出現した炎の球体は、出現すると同時に近寄りつつあったジャイアントアントに向かって射出される。


 ボン! と言う音が聞こえたと思うとすぐにジャイアントアントの身体が炎に包まれる。苦手属性と言うだけあって炎に包まれたジャイアントアントは、すぐに力尽き光となって消えていく。

 その後には、木製の宝箱が現れた。


(アル。罠がないか確認してくれ)


『了解しました。……罠はかかっていません』


 アルの報告を聞きシローは、安心して箱を開ける。中身は、鉄のショートソードだった。


(アルは、鑑定はできるのか?)


『残念ながら鑑定機能はありません』


(そうか。まあ鑑定魔法は、俺が持っているからいいか)


『マスターが、行使できる魔法は、大変希少なものです』


 アルハナートに言わせてもシローの鑑定魔法は、希少な物だとわかった。


(この剣を収納してもらっても良いか?)


『もちろんです』


 そう返事するとアルは、一瞬発光する。するとアルハナートの近くに黒い空間ができる。


『こちらに入れていただければ収納可能です。収納から出す場合は、出したい物をイメージいただければつかむ事が可能です』


 アルの説明どおりに黒い空間にショートソードを納めると黒い空間は、ゆっくりと閉じていった。この後もシローは、出口に到着するまでの間に数体の魔物を処理し、アルとの連携方法や機能を確認していく。

 ようやくラビリンスの入り口まで戻ってくるとすぐに外へ躍り出た。


「お、戻ったのかずいぶんと遅かったな。まあ、無事に戻ったんだからいいか」


 シローが周囲を見るとすでに日が沈み月が頭上に見えた。


「そうか。結構、中にいたんだな」


 シローは、入り口の兵士に挨拶を終えると宿屋へ向かう。アルは、すでに姿を消しており、誰にも気づかれる事なくシローの後をついてくる。シローは、ラビリンスの途中で、放置した背負い袋を探したが、見つからなかったため今は手ぶらだ。


 宿屋についたシローが、宿屋の中に入るとアリヒアがシローを見つけて駆けつけてくる。


「なによ! 心配したじゃない!」


「わ、悪かったよ。ちょっとラビリンスの中で色々あってやっと戻ってきたんだ」


 シローの声に少しほっとしたのか、アリヒアもようやく落ち着きを取り戻す。


「ま、まあ無事に戻ったんだからこれ以上あれこれ言うつもりはないわ。お腹空いたでしょ。ちゃんととってあるから食べると良いわ」


「ああ。今日は、昼も食べてないからな腹も減ったよ」


 アリヒアは、取り置いていた食事を温めシローのテーブルに運び、いつもどおり向かい側の席についた。


「あと。朝聞いていた王都の件だけど。どうやら王都のラビリンスが改変したようね」


 ラビリンスの改変とは、いつ起こるかわかっていないラビリンス内の構造変化を言う。せっかくマップを完成させていても一度改変が起これば、すべての道順が変わってしまい意味をなさなくなるのだ。

 どのような仕組みでなぜその改変が起こるのかは、いまだにわかっていない。


(アル。ラビリンスの中の構造が変わる原因を知っているか?)


『回答に制限がかかっていますので、回答可能な範囲で返答します。改変とマスターが呼んでいる事象は、ラビリンスごとに条件が設定されており、その条件を満たすと改変と言う現象がおきます。改変は、通常2週間ほど経過すると完了します』


「そうか。王都のラビリンスが改変したからホークウインドもこのラビリンスに来たってことだな。ちょうど、今日ダンジョン入り口の名簿にクランの名前が書いてあったな」


「ええ。数日籠れるだけの準備をしていたとクランのメンバーが言っていたそうよ」


「俺も覚悟して潜ってみるかな。やはり、奥へ行けばそれなりの物も手に入るだろうしな」


「ちょっと……ソロで奥まで行くのって簡単じゃないのでしょう? あなたが強くても厳しいと思うわ」


「工夫すれば無理じゃないはずだ」


「でも……」


「いや。無理するつもりはない。力をつけて少しずつ用意して挑むってだけだ。今すぐ行動に出るほど勇気もないよ」


「ならいいけど」


「さあ。さすがに疲れたから少し休むよ。食事とか色々ありがとな。約束どおり明日はお礼するよ」


「本当? じゃあ楽しみにしているわ」


 シローは、アリヒアに礼を言うと自室へ戻るため階段を上る。自室の鍵を開けてベッドに腰かけると


(アル。周囲に人がいないか確認してくれ)


『了解しました。……周囲に人はおりません』


(よし。収納からアイテムを出したい)


『了解しました』


 アルナハートが返事するとシローの前に黒い空間が現れる。シローがその空間に手を入れ次々とアイテムを取り出していった。

 鉄のショートソード1本、本1冊、草2束、皮鎧1つ。これまで、防具はかさばり重いので放置してきていたが、収納機能を得たからには、放置するのは惜しいと持ち帰った。


「さて、鑑定するか」


 シローは、呼吸を整えると集中を始める。集中状態へ移行したシローは、鑑定作業を開始した。初めに手に取ったのは、ショートソードだ。


「まずは……鉄のショートソード+1 呪いなしか。武器を失ったからしばらくはこれで我慢だな」


 シローは、ショートソードを横におくと、皮鎧の鑑定を始める。


「お! 夢衣の皮鎧+1だな。夢衣となると魔法耐性か。これは今使っている皮鎧よりもいいな」


 皮鎧は、シローが着慣れている装備で、軽くて動きやすいわりに防御力もあるのでシローは気にいっていた。金属鎧は、丈夫だが重いと満足に動く事もできない。長い距離を歩くラビリンスでは金属鎧はあまり着たいと思わないのだ。


その後の鑑定で、月夜草2束を確認し、最後に本の鑑定を始める。


「さて……何々、タロイモの育て方か」


『植物の育成指南書ですね』


 アルの説明ではっきりするが、相変わらず趣味系の本が多い。


「なあ、アル。魔法書とかはラビリンス内では、珍しいのか?」


『はい。魔法書は、希少ですので滅多に手に入らないでしょう。ただ、ラビリンスの深層へ近づけば入手する機会は増えるでしょう』


 アルの説明で確信したが、ある程度深い階層までいかなければよい物は手に入らないようだ。




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