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迷宮奇譚  作者: 山と名で四股
迷宮に挑みし者
28/59

ラビリンス 28層

 シロー達は、8層で十分な時間探索と戦闘を続け、ついに9層への挑戦を開始した。9層に現れる魔物は、8層に比べてもさらに凶悪と呼べるものばかりだ。

 シンプルだが、物理攻撃が凄まじいオーガロードや体長5mを越える巨大蛇ビックバイバー。ファントムの上位種ヘルファントムなどが、シローの行く手を阻む。それでもシローは、アルハナートとシーリーンと連携する事で、そんな強敵達を確実に倒していった。

 8層を越えたあたりから戦闘は、複合的な要素を含む。魔物の耐久力が高くなり、一撃で倒すと言う事が難しくなり、ある程度ダメージを与えてから止めを刺す必要があった。身体を再生させる魔物や魔法で回復させる魔物もおり、十分に工夫しないと長時間戦うはめになる。


『マスター。用意していた食糧や水の残量を計算したところそろそろラビリンスを出て補給する必要があります』


「そうか。もうそんなに時間が経つのか。確かにルーレリアンに籠ってから、かなりの日数が経過しているからな」


 自分の事ながらシローは、苦笑する。こんな危険な場所に半年近くも滞在する者など狂っていると言われても否定できない。シローは、元々異常な頻度でラビリンスに潜ってはいたが、今回はラビリンスで生活していると言っても過言ではない。

 ラビリンスの中での生活では、特に衛生面については、課題が大きかった。水は、食料より多めに樽などに入れて持ってきていたが、身体を洗ったりするために使うとあっと言うまになくなった。

 用意していたたくさんの着替えも我慢して着続けたが、血や汗がにじんでも頻繁に着替えるだけの量はない。シーリーンの服だけは、何で構成されているのか不明だが、返り血を浴びても元通りに再生する。そもそもシーリーンは、汗をかいたり排泄したりしないので汚れる事も少ない。


「ここの暮らしは、おおよそ人間らしい暮らしじゃないからな。それも覚悟の上だったが、地上に戻ったら変人呼ばわりされないようにしなくちゃだめだな」


『偽装はいかがしますか?』


「そうだな。地上に戻ったらアルの迷彩魔法で俺の装備は、皮鎧にしておいてくれ。武器は適当なショートソードでも持って歩くことにするよ。シーリーンは、そうだな……左手に手にいれたスモールシールドを固定して、武器は短剣を持たせておくか。シーリーンの腕輪は、目立たないように偽装してもらうか」


 アルは、完全に透過できるので見られる心配はないが、シーリーンはそうはいかない。一応戦士として見ているから武器も持っていないとおかしいだろう。


「もう少しルーレリアンを探索したかったが、ここまでにしよう。アル、俺の評価値はいくつにまであがった?」


『マスターの評価値は、561 魔力値 223 アルハナートの魔力値 172 シーリーンの魔力値 172です。先日マスターが、手に入れた聖魔法の魔法書の効果が大きく出ています』


 8層で見つけた希少種を倒し、入手した宝箱から手に入った魔法書は、価値の高い聖魔法の魔法書だった。聖魔法は、回復魔法と言われる事もあるが、怪我やダメージの回復、状態異状の回復、そしてアンデッドなどへの攻撃手段として使われる。王都でも売りに出る事はほとんどなく、一部の特権階級が独占していると言う話しすらある。

 シローが入手している魔法書は、火水風土と言う基本属性の物ではなく、その上位の氷雷炎聖と言う上級書ばかりだ。


「魔法書が手に入ったのうれいしいが、やはりクリスタルの入手が追いつかないな。あきらかに俺の魔力の方が成長が早い」


『クリスタルの入手には、限りがありますので仕方ないかと。一度、ヒルテインに戻られますか?』


「いや。色々考えていたんだが、俺は地上へ出たらそのまま王都に向かうつもりだ。理由は、いくつかあるんだが、まずアル達の魔力上限値を早く上げたい。そのためには、クリスタルをたくさん手に入れる必要があるが、自分たちだけでラビリンスから入手するにも限度があるだろう。だから王都で他の冒険者がラビリンスから持ち帰るクリスタルを買いたいんだ。もう一つは、ここで手に入れた武器や防具なんかを金にする手段だ。ヒルテインで売るには、目立ちすぎてすべて売るのは難しいが、王都なら店も多いだろうし大型のクランがたくさんあるから深い層で手に入る武器や防具を売ってもそれほど目立たないだろう。それに手に入れたマジックアイテムも換金したいしな」


 シローは、滅多に手に入れれないマジックアイテムである「マジックバック」を手に入れたが、すでにそれ以上の収納が可能なアルハナートがいるため売って金にする事を考えている。見つけたマジックバックは、以前ヒルデが使っていた物よりもさらに収納量が多い良品だ。ラビリンスの中で、魔物から現れる宝箱以外の設置されている宝箱には、古代文明のアーティファクトが納められている事があるのだ。


『了解しました』


「シーリーには、不自由かけるが、ここと違ってたくさんの人がいるから普通の戦士に偽装してほしい」


「はい。マスター。王都では、通常の戦士に偽装させていただきます。マスターの事は、またシローと呼んでかまいませんか?」


「ああ。そう呼んでくれ。一応ペアの冒険者って事で通すつもりだからな。スカウトもできる戦士の俺と戦士のシーリーって言うペア冒険者と周囲に説明するつもりだ。後、そうだな。俺達の実力は、5層あたりまで行ける事にしておくか。そのくらいが怪しまれないだろう」


『クリスタルを買う場合の理由はいかがしますか?』


「それも考えてある。魔法の研究に必要だと説明するつもりだ。王都には、実際にクリスタルを使って研究している奴もいると聞いているからな」


 この後もシロー達は、ルーレリアンを出てからの事について細かな打ち合わせを行う。王都近辺にある5つのラビリンスのどれに挑むかと言った話しやクリスタルをどこでどうやって購入するかなどについて相談する。


 そして、シロー達は、階層を上へ上へと戻り数か月ぶりに地上へと戻った。


「お、丁度いいなどうやら朝のようだぞ」


 長期間、朝も夜もない生活を送っていたシローだったが、ラビリンスを出るとそこに太陽があった。風があり、空気にも臭いがある事を思い出し、シローは大きく息を吸い込んだ。

 過酷なはずのラビリンスの生活に順応したシローだったが、やはり地上の空気を吸うと地上の良さを感じる。


「王都まで少し距離があるが、何とか食糧も足りるだろうから一気に向かうぞ」


 罠や魔物が現れるラビリンスの中を1日中歩き続ける事ができるだけの体力があるシローにとって王都への旅は、それほど苦痛にならない。

 




 

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