柊木のルンルン検死報告
外に出たら誰に聞かれているか分からないので、事件の話は出来ない。
実際この間のスライス事件も、捜査員達が、行きつけの食堂で事件について話しているのを、張り込んでいたネットジャーナリストや、警察マニアに聞かれていた為、流出していたことが内部調査で発覚し、その捜査員達は処分を受けている。
コンビニに向かって歩きながら、甘粕は霞の青白い顔を心配そうに覗き込んだ。
「大丈夫?ちゃんと眠れた?」
「ええ。大丈夫よ。」
「本とに?」
「うん。どうして?そんなに顔色悪いかしら?」
「うん…。」
「ごめんなさい。心配させて…。昨日から少し貧血気味なの。」
「そう…。辛くなんない内にちゃんと休んで。」
「はい。ありがとう。」
「あのー、霞さんはケーキ好き?」
「ええ。好きよ。」
聞いておきながら黙る甘粕を見上げ、少女の様にあどけない顔で聞いた。
「どこか美味しい所に連れて行ってくれるの?」
「さ、差し支えなければ…。」
「じゃあ、今度のお休みに。」
断られると思っていた甘粕は、心底ほっとした様な顔で笑って頷いた。
「話変わるけど、美雨ちゃんて、お仕事とかしてるとしたら、同業者?」
「まだ仕事じゃなくて、院生みたいだけど。どうして?」
「だって、夏目さんの席、聞きもしないで、迷う事も無く分かったみたいだったから。
デスクというのは、立場や性格が出る物だわ。夏目さんだけでなく、私や甘粕さんの席まで分かってたでしょう。
お弁当包みが、それぞれ色の違うギンガムチェックだったし、中身も甘粕さんのは更に多め。私のはちょっと少なめで可愛い感じにしてくれてたから。」
「うん。やっぱり犯罪心理学専攻してるんだって。夏目がここに急に決まったの、凄い羨ましがってたって言ってたよ。」
「ほお。ほお。でも、身体の事があるから、うちに来てもらうのは難しいかしらねえ。」
「そうだねって、霞さん、なんでそんなに美雨ちゃんの事知りたいの?」
甘粕が苦笑しながら聞くと、霞は真剣な顔できっぱり言った。
「おばちゃん根性!」
甘粕、絶句。
二人が買ってきたおにぎりやサンドイッチを食べ始めた所に、柊木がスキップしながら入って来た。
「お待ちかねの検死報告だあ!」
「い、今食べてんだよ、柊木…。」
「夜通し解体してたんだぜ!?聞いてくれよ!」
聞いて欲しいらしい。
あと10分も待てない様だ。仕方が無いので聞く事にした。
「じゃ、つまんねえトコから。二階の四畳半に詰め込まれてた毒殺群だが、死亡推定時刻は8月15日12時か13時の間。つまり一昨日の昼。心臓のみ抜き取られ群は、同日の14時から22時。15人順番にって感じ。詳細はこの通り。」
と、夏目に報告書を渡すので、夏目がホワイトボードに書き足して行く。
「そしてお楽しみの4人は、二階の内股と肝臓、心臓抜かれてる女性から日付が変わった8月16日午前12時。隣に寝かされてた歯を抜かれてた男性は午前1時から2時の間。一階の頭蓋骨の二人は、二の腕切られてる方が先。2時から4時の間。手首ブランブランが最後。午前3時から5時。」
「つまり、24時間もかけずに30人殺したってことか。」
「そーゆー事だな。ただ、日付が変わった夜中に殺してる群の仏さんから検出されたキシロカインは心臓のみ抜き取られ群の倍量だ。ほぼ同時に麻酔薬投与されたと見て間違いねえだろう。ただ、この毒殺群に関しちゃあ、キシロカインは検出されてねえ。有島の見立て通り、死因の青酸化合物をお茶に混ぜて飲ませてる。幸田の話だと、拭き取った跡があったらしいが、居間に10人分の吐瀉物があったそうだぜ。」
「つまり、毒殺群に関しては、殺害現場は全員居間か。んじゃ続けて。」
「はいよ。次は二階六畳間の心臓のみ抜かれてた群な。男5人、女10人。レイプなどの痕跡一切無し。胸かっ捌いて心臓掴んでグイッとこう引っ張ってだな、はさみで血管ちょん切ると、そんな感じ。一応、医療メス使ってるようだ。殺し方に違いは無え。みんな一緒。心臓抜き取ってる間の失血死だ。次行っていい?」
「んー、みんな質問は?」
全員首を横に振った。
「いっていいよ。」
「へいへい。お次はちょっとお楽しみな、心臓と肝臓に内股の肉か歯ってやつな。共に失血死。歯のほうは心臓引っこ抜いてる時にはもう息は無かった。腹かっ捌いて、先に肝臓抜いたみてえで、その時に死んでる。内股の肉取られてる方はちょっと違う。無関係の傷がこの女性の場合、首にあったんだが、ここかなり深く切ってて、自己血で窒息して死んでる。」
内股の肉を取られている被害者は、24歳の女性で、ほくろが示す星座はおおぐま座で、大きな星座の4つの内の一つだ。
「メスとは違うもので切られてたんですか。」
「おう。すげえな甘粕。なんか中華包丁みてえなもんで叩き切ってる感じよ。次の手首ブランブランと同じだ。」
「他のガイシャでも、メス以外で憎しみがこもっているような切られ方をしてる人は居ます?」
「おお、ごめん。心臓抜き取られてる内の…。」
柊木はホワイトボードの被害者の部分に赤丸を付けて行った。
「この四人は中華包丁みてえなので切られてる。内股の仏さんや手首ブランブランの仏さんと全く同じ刃物だ。でも、切った人間は違うな。力の入れ方も角度も加重も全部違う。同じ人間が切ったとはちと思えねえ。」
「ーもしかしたら、該当する星座の名前を付けられてる人が切ったのかもしれないな…。」
「そうね。私もそう思ったわ。」
柊木が丸を付けた4人は、南十字、コンパス、カメレオン、とびうおと、大きさ的には小さい部類だが、目撃された5〜6人という人数からすると、内股の肉のおおぐま座に手首ブランブランの太陽系、1人が1人ずつ切ったとすれば、丁度6人となる。
先生というのが太陽系ーつまりSystema Solareだとしたら、先生以外は、この星座の5人が住んでいたと推測出来る。
「続けていい?甘粕。」
「ああ、すいません。どうぞ。」
「そして史上最高の頭蓋骨抜き群だあ。二の腕切られてる方は、まだ肝臓と腎臓間違えちまったりしてるな。間違えて腎臓引っ張ってる内に失血死。
肝臓をやっとこさ抜いて、心臓引っこ抜いて、頭蓋骨に取りかかってる。手首ブランブランの方は、手首の傷の時の生体反応はありだ。
どうも全ての仏さんに共通して、ほくろの上の傷が一番最初だな。
で、この仏さんも肝臓抜いて、心臓抜いてって、大分手慣れた感は出て来てはいるな。
肝臓も先の三つでやっと分かってきたのか、この仏さんのだけは、間違えてねえよ。
腹かっ捌いて、手え突っ込んでグイグイとこう…。」
身振り手振りで、情感たっぷりに説明するものだから、全員流石に目を伏せ、食べるのを止めてしまった。お手伝い班など、涙目で青い顔をしている。特に芥川など吐くんじゃないかという顔色の悪さだ。
「食えよ~。俺はさっき検死しながら食ったから、遠慮すんな。」
「ひ、柊木…、よく食えるな、あんなトコで…。」
「またまた~。太宰だって平気だろ~?」
「平気じゃねえやい!だから仲間にすんなっつーの!もう、早く先言え!」
「へいへい。んな感じで、手首の出血もかなりだったから、肝臓の途中で死んでんな。」
「柊木、ついでだから、もう一回殺された順番言ってみて。」
「おう。一番最初は毒殺群の上村ミヨ以外だ。
恐らく時間差は無え。
全員同時に服毒させてる。
それと同時に他の抜き取られ群全員に麻酔薬を投与。
一昨日の昼に毒殺群が死亡。
心臓のみ抜き取り群が15時から22時まで続き、4時間後の夜中から心臓と肝臓の群、頭蓋骨群と続き、早朝5時に終了。
上村ミヨの死亡推定時刻は5時半と。」
朝6時に迎えの車に5〜6人の男が保冷ケースを2つ持って、車に乗り込む姿が目撃されている。
ゴミをまとめ、後片付けをし立ち去ったと思われる。
上村ミヨは、恐らく犯行の一部始終を騒ぎ立てもせず、黙認していた。
それなのに、何故殺す事にしたのか。そのまま仲間に入れる事を避けたのは何故なのか。
海蛇座のほくろがメスで簡単に切られていたということは、唯一名前の分かっているHydraの大西という男は、先程の推測が成り立てば、この場には居らず、別の場所で活動を支えているということになる。
つまり本部が別にあるという事だ。
だとしたら、上村ミヨを連れて行く事も出来たのに、それをしなかったのは、一体何故なのか。
なぜ、罪の意識を感じながらも、上村ミヨを殺したのか。
「太宰、まだ話終わってねえんだよ。」
「そ、そうだな…。」
全員悲しそうに続きを聞く。
「で、肝臓と心臓抜き取った後、首を鉈の様なもんで落として、頑張って毛髪だの皮だの剥ぎ取って頭蓋骨だけ取ったと。
あと、腐乱死体の方は、心臓のみ抜き取り群と同じだ。
キシロカイン投与後に、胸かっ捌いて、心臓引っこ抜いてる。
死亡推定日は土ん中が2ヶ月前。床下が1ヶ月前。じゃ、俺寝る。」
「了解。ご苦労さん。」
柊木と入れ違いに、先程の大量のゴミ袋の中身を持って幸田がやって来た。
一応戻してくれと言ってあったので、一つ一つビニール袋に入った状態で、ちゃんと整理したまま戻してくれた。
「まず6人分の血糊べったりのヤッケ上下だが、ホームセンターなんかで売られてる量産品。
毛髪や汗が付着してたんで採取しといた。
DNAにヒット無し。つまり前は無し。
例の不気味な名刺もガイシャ以外の指紋は採れたが、これもヒット無し。
えー、続きまして家ん中だだが、もう指紋の量が半端じゃねえが、名刺の男の指紋は無し。
ヤッケに付いてた6人分の指紋と…えー、90人分あった。」
「証拠残しまくりだな。ゴミ収集日に合わせたのは何なんだ。」
夏目が呟くと霞が答えた。
「犯人は几帳面なだけで、これを犯罪だとは思ってないのかもしれないわ。正当化してる。だから隠さない。でも発見された時、無駄な物が散らばっているのは嫌。私達にしてみたら、内臓とかがちらばっている方が汚いけど、そういう事は考えない。犯人達にとって無駄な物は散らかして置きたくないだけ。そういう事ではないかしら。ね?甘粕さん。」
「うん。俺もそう思う。」
「なるほど…。確かに几帳面といえばそうなのかもな。系統立ててガイシャを置いたり。」
夏目が納得して、幸田も頷いた。
「うん。確かにそう言われてみりゃ納得が行くな。
全員ビニールシートの上に寝かせてからやってるしな。
しかもなんか並べ方が等間隔。
内臓とか散らばってっから分かりづれえが、変なトコ几帳面てのは納得が行くぜ。
あ、ビニールシートも、ホームセンターで売ってる建築用の量産品な。
あれだけの数だから、一応都内のホームセンターに当たってみちゃいるが、あんま当てにしないでくれ。
家の中は、ああ見えて一応掃除はしてあって、床なんかに毛髪の類いは落ちてなかった。
あと台所の湯のみ。片方に微量だが青酸化合物が付着。
毒殺群に使われた物と一緒だ。
食器棚の中のグラス10個からも同様に検出された。
あ、柊木の奴、上村ミヨの検死報告言ったか?」
「いや。他の毒殺群と同じじゃねえの?」
「同じじゃねえのよ。やっぱアイツつまんねえから忘れたんだな。」
幸田が話そうとした所で、柊木が韋駄天走りで戻って来た。
「ごめ~ん!上村ミヨだけ違うんだよお~!」
「おう。どう違うんだ。」
「上村ミヨは一回麻酔薬投与されてんだ。一時間程度で醒める量な。で、その後眠ったまんま青酸カリ飲まされてる。咽喉に擦過傷があったから、多分管かなんか入れて注ぎ込んだかんじだな。で死亡。」
「なんだそれは、甘粕。」
「ーもう想像でしかありませんが、星座のほくろが目当てな訳ですから、他の毒殺群は裸にして、無いと分かり毒殺したが、上村ミヨの場合は星座のほくろがあるとホシ側が思い込んでいた、あるいは上村ミヨがそう言っていたか。それで信じ込んでいたので、確認もせず麻酔薬を投与したが、いざ裸にしてみたら無かったので殺したーのかと思いますが…。霞さんどう?」
「私もそう思います。殺した理由は罰なのか口封じなのかは判別付きかねますが、罰だとしたら、いくらお世話になっていたとしても、あんなに丁寧に安置しないでしょう。殺したくなかったし、何か特別な思いがあったように思います。」
幸田と柊木が去ると、太宰が言った。
「じゃあ、そろそろプロファイリングに入ろうか。甘粕、やってみなさい。霞ちゃん、補足お願い。」
「はい。」
「じゃ、始めて。甘粕。」
若干ためらいがちに甘粕が話し始めた。
「え~…。ホシは新興宗教集団。
太陽系システマソラーレの名を持つ首謀者を頭に、星座の名の通りに88人の部下が居ると思われます。
太陽系と星座を掌中に収め、全能の力を得る気かと。
その為に星座の配置のほくろを持つ人々を殺し、星座を切り、その心臓を体内に入れていると思われます。
彼らは本気で星座の配置のほくろを持つ人間にはパワーがあると信じています。
また、その内臓を食する事で体の不調が治る事を提唱し、それを餌に星座のほくろのある人物を勧誘していると思われます。
近所の主婦に見てもらえる条件が、体にほくろのある事と言ったのでも分かるように、ほくろの無い人間には興味はありません。
今のところ、星座のほくろがあったと思われるのは28人。
腐乱死体の方は確認出来ていませんが、心臓を取られている事からあったものと思われます。
あと60人分の星座のほくろが必要です。
全て揃うまで犯行は止めません。
一体化し、最強になって何をしようとしているのかは今のところ不明です。
今回の場合、なんらかの形で勧誘に成功した上村ミヨを協力者とし、上村ミヨ宅で一連の犯行を行った所を見ると、本部であるアジトは手狭なのか、あるいはアジトは汚したくないのか、何らかの理由でアジトは犯行に不向きだという事と思います。
今回の大量虐殺に至る前の腐乱死体の9人は、数的にまだ隠せる量だったという事と、上村ミヨを信じ込ませておく為にも心臓が必要だったという事でしょう。
今回の犯行は人数が集まった所で全員治療の為とか納得が行く事を言い、全裸にさせ、ほくろを確認し、毒殺群以外を星座によってそれぞれの部屋に誘導し、内臓等を抜く群は麻酔薬を。
ほくろの無い人はそのまま薬と称して青酸カリを飲ませ、殺害し、二階の四畳半に放り込み、順番に作業に移った。全ての作業が終わり、首謀者ーつまり先生と呼ばれていた人物だけが、上村ミヨと朝食を摂り、他の弟子達が片付けている間に上村ミヨを眠らせてほくろを確認。
なんの確証もありませんが、上村ミヨが生前『宇宙と一体化する。』と言っていた事から、これは全て同意の元に行われ、上村ミヨは望んで内臓を差し出すつもりだったのではないでしょうか。
ところが、ほくろが無かった。
仕方なく毒殺。
ホシは、殺しているという感覚は無いのかもしれません。
一体化して、自分の中で生き続けると思っている。
上村ミヨは、それに賛同してくれた数少ない理解者でもあった。
その為、生かしておいてほくろが無かったと真実を告げるのが、残酷に思えて殺したのかもしれません。
そして全ての片付けを終えて弟子達と退去。
犯行中のキシロカインの量の調整、医療用メス、上村ミヨ殺害時の管の使用などから、医療従事者は居ると思われます。
ただ柊木先生も素人とおっしゃっていましたし、いわゆる外科医や内科医などの医師では無く、看護師や麻酔医などではないかと思われます。
名刺の大西は、ほくろの持ち主の調達とアジトの管理。
また、殺害されていない、消えた訪問者に関しては正直よく分かりません。
教団の維持運営に役に立つと認定され、星座の名前をもらっているだろうくらいでしょうか。」
「霞ちゃん、どう?」
「そうですね。いい感じです。では、首謀者の人物像をどうぞ。甘粕さん。」
「ー言わないと駄目?」
「駄目でしょう。早く。」
「はい…。首謀者はカリスマ性があり、また洞察力に優れています。
少し話を聞いただけでも相手が何を考え、何に悩んでいるのか分かる才能があり、また仕草などからどこが痛むなども見分けられます。
まあ、これはほんのちょっとしたコツを掴めば誰でも分かる事ですが。
人間、痛い所には自然と手が行くものですし、顔色の悪さからも体調が悪いというのは分かります。
東洋医学では黒ずんでいる箇所で悪い所が分かるとも言われていますから。
心臓や肝臓を治療に使う所から見ても、ホシは東洋医学に長けていそうです。
また、お年寄りでも信用して一緒に住まわせてしまう位ですから、一見柔和な人の良さそうな人物に見えるでしょう。
物腰も柔らかで、優しく丁寧です。
しかし全宇宙を掌中に収めるという目的から考えると、相当な野心家で、その為にはなんの躊躇も無く、人体を切り刻める残虐性も持ち合わせています。
上村ミヨに対する情を考慮すると、両親には愛されず、祖母に育てられた、あるいは年長の年老いた女性には良くしてもらった経験があると思われます。
性格は几帳面。何事も揃っているのが好きで、乱雑、雑多は好みません。
この様な奇想天外な野望を抱いた事からも、また犯行を一切隠そうとしない所からも、自己愛パーソナリティ障害が疑われます。
恐らく学生時代は成績もほどほどで、目立たない存在で、どちらかといえば、虐げられていた可能性が高く、権力を欲していることから、逆に権力に弱く、抑圧されてきたのでしょう。
父親には絶対服従であったかもしれません。
年齢は大多数の人間に信用してもらえる事、88人の信者を集めた準備期間を考慮し、40代前半から50代といったところではないかと思います。」
「ちゃんと出来てるじゃないの、甘粕さん。」
「すごいっす…。甘粕さん…。」
芥川が羨望の眼差しの上、目を潤ませている。
「全くだなあ。課長が甘粕かわいがってた理由が今更ながらに分かった気がしますよ。」
そう言った内田を芥川がジト目で睨んで、口を尖らせて言った。
「だから言ったじゃないすか。甘粕さんは凄い人だって。」
「ごめんごめん。頭いいし、よく気が回るってのは分かってたし、俺は甘粕虐めてねえだろう?」
「まあそうっすけど…。」
芥川をなだめるように肩を叩いて、太宰が言った。
「本とよ。これだけのネタでよく出来ました。じゃ、内さん達は、ガイシャの周辺の人達に、今のプロファイリング元に聞き込み開始してくれる?所轄には応援頼んでおくから。」
内田達は機嫌良く返事をした。
「俺と甘粕は遺留品からヒント探そう。どこでどう勧誘されたのか。夏目と霞ちゃんは動きがあるまでたっぷり寝なさい。」
「えー!」
「だって、課長、私昨夜…。」
「いいから!霞ちゃん顔色悪いよ。それにこのヤマ、そうそう簡単に終わらん。長丁場は覚悟しておかんと。ほれほれ。」




