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DOG LIFE  作者: MIYABI
第1章 犬、始めました
2/21

Ep1-1 トンネルを抜けると、そこは森だった

話が長くなりそうだったので、途中で区切っています

 気が付くと、何かやわらかくて生暖かいものに包まれていた。

 と、いうか圧迫されていた。

 くるしっ!!


 『・・・から・・・・だ・・・・うごかな・・・・・・・・』


 余りに圧迫されているために声も出せない。というか、生暖かい物体が徐々に冷たくなってくることに不安を覚える。

 というか息ができない?というか、呼吸ができていない??

 あれっ?これはもしかして『カベノナカ』状態?


 この時点で自分が死んだことをすっかり忘れていた。


 -くすくす-

 -そのままだと、君、しんじゃうよ?-


 突然、声が聞こえてくる。鈴の音が響く、そういった印象だろうか?


 『?、??』


 誰っ?というか、どこから聞こえてる・・・・・ってそれよりも、やばいっ!!息がっ!!

 なんかお尻のあたりで、もぞもぞする?もしかしてこの声はお尻の方から??


 -そのまま死なれちゃうのもったいないから少しアドバイスしてあげよう-

 -そのまま頭の方に向かって全力で進むといいよ?-


 言われたとたんに、なぜかお尻の方で何とも言えない感触がほとばしる

 『うひゃあっ!!』

 感覚は消えることなく持続的に、かつ今まで感じたことのないようなむずがゆさを与える。

 何かやばいっ!!

 色々やばいっ!!

 謎の声は怪しさ満点ではあるが、現状を打破するために信じてみよう。というか、信じないとどうすればいいのかわからない、が正解ではあるが。

 正直に言うとからに力が入らない。が、そうも言ってられない為、できる限り全力でもがいてみる。

 あ、少し動ける。

 少し動けると俄然やる気を見せ始める生存本能。

 『うご・・・・・・・・・・・・・・・・けっ!!・・・・・・・』

 ずりっずりっ

 どのくらい進んだのか、どのくらいの時間がかかったのか。

 徐々に意識はもうろうとしてくる。

 その間も、お尻に妙な感覚があり、何かに引っ張られる感覚が続くが気にしていられない。

 きっとここから出れば理由がわかるだろう。

 もう少し、もう少し。

 突如、頭が何かに引っ掛かり全身が止ま事となる。

 『この、うごけっ!!』

 頭を押し続けると、徐々に引っかかっている部分から頭の先が出て、

 っとそこで感じたのは外気。

 もう少しだっ!!

 最期の力を振り絞り、全力で前に進む。

 ずりりっ!!

 例えるとそんな音だろうか。突然、引っ掛かりがなくなり外へと放り出される。

全身は何らかの粘液状のものでずぶぬれで、何となく鉄のにおいが充満している。

 相変わらずお尻の間隔は消えることはない。(変な趣味に目覚めたわけじゃないよ?)

 けはっけはっ

 久しぶりの外気を胸いっぱいに吸い込んでみる。

 ここはどこだろう。鉄の臭い以外に、森を連想するような匂いが充満しているような気が。

 粘液状の物体のせいで目が開けずらい。

 顔をぬぐおうとして手を伸ばしてみるとおかしいことに気が付く。

 あれっ?手が届かない??

 どんなに手を目いっぱい伸ばしてみても、せいぜい頬を触る程度?

 気持ち悪いが、無理やり目を開けてみる。幸いなことに目が痛くなることはなかった。ならば次に行うのは現状の確認だろうか。

 体を覗き込んでみてもなぜか体が見えない?

 周りを見てみる、なぜか暗闇に包まれている。若干の月明りで見えるのは森?

 後ろを見てみる、なぜか犬の死体が落ちている。ちょうど股間にあたる部位からだろうか?粘液状の物体が、何かが這いずったように続いており・・・・・

 ・・・・・・自分の方まで続いている。

 ・・・・・・・・・・

 犬の死体と自分との間に、もう一匹、子犬らしきものが見える。らしきものっというのは、なぜか見える範囲で頭が見えないので体だけを見て判断したのだが。

 ・・・・・・・・・・・・・

 落ちつけ自分。

 よく考えてみよう。

 最期の記憶は

 っと、ここで自分は死亡したことに気が付いた。となると今の自分は?

 生まれ変わったの?そんなことが現実にあり得るだろうか?

 ・・・・・しかも・・・・・・・・・犬?

 夢?


 -くすくすくす-

 -思ったよりも冷静だね~-


 誰っ??

 あわてて周りを見てみるが、影も形も見当たらない。

 幻聴?自分が死ぬリアルな夢をみる上に、どこからともなく声が聞こえる危ない人にジョブチェンジ?

 もしくは心霊現象?こわっ!!


 -失礼だね-

 -せっかくさっきアドバイスをあげたのにお礼もなしかい?-


 やばい、やばい、やばい

 自分の置かれている状況がわからないうえに、どこからともなく声が聞こえる。

 右に左に体を動かしてみても、見えるものは闇ばかり。

 しかも、何かに縫いとめられているかのようにその場から逃げだすこともできない。


 -むむぅ-

 -まあ、君のもともとの年齢を考えるとそんなものかもしれないねぇ-

 -見えないから余計の不安かな?-

 -仕方ないから、少し焦点をさげてみるか-


 何のこと?

 というか、逃げたいのに逃げられない。どうしよう。

 自分は人間だったのか?犬なのか?

 自分の記憶があまりにも今の状況とかけ離れすぎて、自分で自分が信じられない。

 よくわからないけど、人間だった記憶は犬の見ていた夢だったのだろうか?

 わからない、自分の事なのに何もわからない。どうしていいのかわからない。

 パニックに陥り、今にも暴走しそうな気分を落ち着けるように、穏やかに声が響く。


 -大丈夫-

 -どんな姿かたちをしていても、君は君であることに間違いはない-


 俺が俺である?


 -そう-

 -それが君の願い-

 -君の希望-

 -君の祈り-

 -君の強い望みが、君が君であるまま、再び君を世界に送り出したのさ-


 声、そのものに気分を落ち着ける作用でもあったのか。その声が聞こえるたびに、その声がしみ込んでくるたびに、自分の心が徐々に落ち着いていくのがわかった。

 ある程度、落ち着いてきたことに気が付いているかのごとく、声の主は一つの依頼を口にした。


 -姿が見えないと不便だろう?-

 -君に見えるようになろうと思うんだけど、残念なことに僕は決まった形を持たないんだ-

 -君のイメージを投影させてもらうよ?-


 そうして自分の目の前の中空に


 天使があらわれた

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