鈴城家の皆さんについて
さて、私がお仕えしている鈴城家の方々を僭越ながらご紹介させていただきます。
まずは、家長であらせられる鈴城信夫様。
歳は五十を過ぎたぐらいだとお伺いしております。すらっとした長身に黒髪を短く切られ涼しげな印象がございます。容姿については以前お伝えしましたように大変凛々しい……所謂美丈夫とでも申しましょうか。
ただ、お笑いが大変お好きで、テレビの前で
「わはっはっはっ!こいつらスンゲーいいわ!」と、手をパンパン叩きながら爆笑なさる姿はご近所の”ふぁんくらぶ”の方々にはとてもお見せ出来ません。百年の恋も冷めることでしょう。巷ではこういう方を残念イケメンと称すらしいです。私個人としてはもう少し、シャキッとしていただきたいと常々思っております。
続きまして私の主、奥様の香澄様。
大変小柄でお子が2人もいるとはとても思えない可憐な乙女という言葉が似合うお方です。
若様とお出かけされると、
「イッちゃんの彼女に間違えられちゃった♪私もまだいけるのね♪」
と照れながらも嬉しそうにご報告されるお姿は大変可愛らしく微笑ましく思えました。
ただ、その時旦那様の情けないお姿は笑いよりも涙を誘いましたが。息子に嫉妬するとは不甲斐無い。
ただ、奥様。1つだけ申したいことがあります。失敗の頻度を下げていただけないでしょうか?
私はキャットフードを口にしませんし、隣町からの帰宅方法なんて存じません────まぁ、後者の部分はそろそろ何とかなりそうですが。私、道を覚えた気がします。
さて、今度は先ほど少し出てきました若様方についてご紹介させていただきます。
まずはご長男の信一郎様。
現在大学生という身分とお伺いしております。
旦那様に似て、とても凛々しく男らしい美男子でございます。
とても気がつくお方で、奥様が私にキャットフードを出した時はいつも換えていただいております。お優しいです。
女共に大変おモテになられております。ただ、不思議なことに彼女を連れていらっしゃる所を見たことがございません。いつもお疲れなご様子なので私、少し心配でございます。
あぁ、奥様がおっしゃっていた”イッちゃん”は信一郎様のことでございます。
次男の信二様は奥様似の可憐で儚げな美少年でございます。
皆様、”ふぁんくらぶ”が存在しますが信二様のふぁんくらぶは男女共に在籍されていると耳にしております。奥様のご友人のお子様とお付き合いをされているとか。お2人でいらっしゃる所を見たことございますが、初々しくて微笑ましいご様子でした。ただ、ご友人の方のご様子が気になりました。ある意味信一郎様以上に不安を感じるお方です。私が守って差し上げます!
このように鈴城家の方々はとても見目麗しくいらっしゃり、そのような方々に仕える事ができる私は果報者でございます。