不思議なカメラ使い方:その1
「なーに、心配することはない。一文無しに金など請求せぬぞ」
ひ、酷い。だけど一文無しはあってるから何も言い返せない。
「そんなことよりもこれを受け取るのじゃ」
「え? で、でも……」
「受け取らないとなるとさっき小学生を性的に見つめいていたと通報するぞい」
「ありがとうございます! おばあさん!」
「ふぇふぇふぇ。人間素直が一番じゃ」
くぅー……何で俺は初対面のおばあさんに脅されんといかんのだ。
まあ、いいや。カメラをよく見てみよう。
形は20cmの正方形で、レンズもついており、ただシャッターがある右上の部分が赤、黄、青、とボタンがついている。逆の左上にも黒いボタンがていている。
「説明するよりもまずは実践じゃ。とりあえずあのOLを赤いボタンで撮ってみ」
「は、はぁ……」
おばあさんの勢いにも負けてきた俺は、黒いスーツにタイトスカートを履いて、後ろ姿でカツカツとハイヒールを鳴らしながら歩いてるOLにカメラを向けた。
そして赤いボタンを押した。
「はい、撮りました……って、え」
なんと下から写真が現像されてきた。早いな、と思いつつその写真を見ると、後ろ姿で撮ったはずなのに、正面で写ってるOLが写し出されていた。
「どういうことですか?」
「そのカメラの力じゃよ。赤いボタンはどんな向きから撮っても、正面から撮ったようになるんじゃ」
「す、凄い機能ですね」
いつの間にそんなに科学が発展していたんだ。
そんな驚いているとおばあさんが再び笑った。
「ふぇふぇふぇ。まだ驚くには早いぞ。今の写真をそのカメラの上から入れてみよ」
「上? あ、これか」
カメラの上には写真を入れる穴があった。
入れてみるか。
すると、写真はほどなく入ってしまった。
「よしよし、それではお主。自分に向かって黄色のシャッターを教えてみよ」
「は、はい」
もう疑うこともなく自分に向けてカメラの黄色のシャッターを押した。
「まぶしっ!」
意外にフラッシュが強すぎて目を閉じてしまった。