その目眩から始まる
世界は1つではない。突然そんな事を言われても理解できないであろうが、無理も無い
世界は辛くて、悲しくて自分の分身の世界を作り出した。そこに世界は辛さを半分押し込んで
これはそんな世界に招かれた、ある種不運な青年の話
そうそれは黄昏時の世界の話・・・・
俺こと新藤彰は、日々まるで幽霊のようにふわふわと生きていた
この世はつまらない、そう思う時は多々ある。それについては自分でその度に何、中二病になってんだと自分でツッコミを入れるというしょーもない事をすることになるのだが
別に自慢している訳ではないが、自分は身体能力や頭はいいと思っている、何やっても
それなりに出来てしまうせいか熱中する事も無い
そんないつもの日常をたんたんと過ごしていたある日、俺はあの世界に巻き込まれた・・
〜〜〜自分の世界が変わる1時間前〜〜〜〜〜〜
学校の校舎裏、俺は呼び出されていた。別に不良となにかし合うつもりはない・・多分
家に帰る際、靴箱を開いたら手紙が入れられていたのだ。
そこには、この後後者裏に来てと女の子らしい字で書かれていた
ここに来る事になった原因を思い出しながら彰はグランドの方からこちらに向かってくる
女の子に気がつく。
「あれは誰だろ?」
女の子が彰の前に立ち止まる。端から見ても顔が赤くなり、高揚しているのがわかる
どうもこの娘が手紙の主らしい
少女は深く深呼吸をして顔をあげた
「先輩!好きです。私とつき合ってください。」
やはり、告白だった彰は10秒ほど困ったように黙っていた。
「ごめんな、君の気持ちには答えられない」
「なんでですか!先輩今つき合っている人いないじゃないですか!」
「そうだけどね、でも好きでもない人とつき合えないから・・・それに俺にも好きな人がいるから」
彰はそういいもう一度君の気持ちには答えられないと言う
少女は瞳に涙を溜め、走り去って行くーーーーーー真っ赤な夕日を背に浴びながら・・
その場に残された青年は一言帰ろうと呟いてその場を立ち去ろうとする。
ーーーーーーーが、突然頭痛が彰を襲う
「あっ!・・っが!!!」
言葉も出せないほどの頭痛、彰は目眩に耐えられず地面に倒れる
ドスッーー倒れたその瞬間世界が一回転したように彰は感じた
そして頭痛は収まった・・彰に少しの違和感を残して
「なん・・だったんだ?今の」
彰は立ち上がり、服の砂を払い落としながら校門の方に向かう
「ーーーーーなっ!!!」
彰は立ち止まった。それもそのはずいつもならこの時間帯校門は生徒で溢れかえっているはずなのに、人一人もいない
「なんだこれは!?」
気がつくと人だけではなく、虫の鳴き声もしない、空を見渡しても鳥がいない
「何なんだこれは・・・」
彰は職員室に向かって走った。この時間帯なら教師がいるはずだ
しかしそこにも人はいなかった
まるで夢の中のようだったが頬を抓ってもただ痛いだけ
ここは現実だ!でもそれならこの世界は何なんだ?
まるで、彰だけが世界にいるみたいだ・・・この世界に取り残されたみたいだ
「なんなんだこれはーーーーーーーーー!!!」