表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/25

水瀬雪子(仮名)さんへのインタビュー

──あなたの妹さんは、今から約八年前に長野県の山中で行方不明になったそうですね。当時の状況を教えて頂けますか?


 はい。妹は、大学の山岳サークルに入っていて、その日もサークルのメンバー六人で山に登っていました。登頂ルートはそれ程険しいものではないと聞いていましたし、標高自体も高いところまでは行かないから日が暮れる前には降りてこれると聞いていたので正直心配していませんでした。といっても冬の山は舐めてはいけないという事ぐらいは私も知っていたので、夕飯の用意をしながら「今どこらへん?」「もう降りてきた?」などとLINEを送るくらいには気にかけていました。でも、妹は帰ってこなかった。一緒に登頂したメンバーも誰一人。


──当時の記事は、私も拝見させて頂きました。確か、遭難されたと。


 ええ。でも、私はそうではないと思っています。


──その理由を教えて頂けますか?


 まずひとつに一緒に登頂したメンバーの内の二人がGPS発信器を鞄に入れていた為、山頂に到達してからある程度のところまでは後に下山ルートを追うことが出来たのですが、それは妹から聞かされていたものとはかけ離れたルートでした。ええ、それは分かっています。勿論天候にも左右されますし、雪やメンバーの体調次第でルートを変更することはこれまでにも何度かありましたから。でも、ここまで乖離する事は無かった。


 それに、この二人のリュックは後に雪山に投げ捨てられるかたちで発見されています。おかしいとは思いませんか? 雪山は過酷です。リュックにはその過酷さに打ち勝つ為の備品が入っています。ええ、ある種命綱と言ってもいいかもしれません。それを投げ出すとは到底思えないのです。私だって動物に襲われて逃げたのかもしれないとも考えました。妹のリュックもその辺りに……と。だから私は何年もかけてその辺りを歩き回りました。みつけたのは、一昨年の事です。新潟県と長野県の県境から数十キロの地点。不可思議さんは、紗南村(さなみむら)という村はご存知ですか? 名前に南とついていますが、豪雪地帯にある村です。人口は約六十人。妹のリュックは、そこから更に一キロ南にある森に囲まれた洋館の手前でみつかりました。


──洋館?


 はい、もしかしたら妹はそこにいるかもと尋ねてみましたがすでに空き家になっていて、聞くところによると八年前までは女性が一人で住まれていたらしいです。でも、その女性もある日を境に煙のように消えてしまったらしいです。私は、なにか強烈な違和感を覚えました。妹のリュックがみつかったすぐ傍にある洋館の女性も、私の妹も、行方不明になったのは八年前です。とても無関係だとは思えませんでした。ですが、手掛かりをそこで失い、私にはどうすることも出来なくなっておりました。


──あの、何故私にメールを送ってくれたのでしょう? 確かあなたは、小夜啼鳥(さよなきどり)の事でお話があります、とそう文面には書かれておりました。今の話との繋がりが私にはよく分かりませんでした。


 私の妹は、連絡が途絶える数時間前、それに関するメールを私によこしてきたからです。えっと、携帯があるのでその文面を読み上げますね。


 ねえお姉ちゃん、小夜啼鳥って知ってる? すっごく綺麗な声で鳴く鳥なんだよ。今度お姉ちゃんにも聞かせてあげたいなあ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ