佐藤圭吾(仮名)さんへのインタビュー。
いえ、こちらこそです。紗奈さんにインタビューして頂けるなんて光栄です。いつも動画みてて綺麗な人だなあって。あっ自己紹介? えっと、時田圭吾です。仮名ですけど。
そうそう、確かに聴きました。時間で言うと深夜の二時くらいだったかな。森のなかで、突然歌声が聴こえました。あっ勿論人の声じゃないって事はすぐに分かりました。でも、あまりにも綺麗な歌声だったのでそれが鳥の鳴き声だって最初は分かりませんでした。ええ、俺はその時二十一歳でしたけど、少なくともその二十一年間で聴いたこともないような鳴き声でしたよ。
当時僕たちは新潟県と長野県の県境にある、吹岩トンネルに訪れていました。俗に言う心霊スポットですね。真夜中に訪れると、トンネルの先で女の幽霊がみえるっていう。夏です。なんか、なにもしなくても暑いですし寒くなりたいなあって仲間と話してて、それで行きました。でもトンネルでは幽霊はみえなくて、なんか拍子抜けしちゃって。その時俺たちは男二人、女二人で訪れていたんで、これで帰るのもなあって事でトンネルのすぐ傍の路肩に車を停めて、懐中電灯ひとつで森に入っていくことにしました。五分も歩けば真っ暗になりました。ほんとになにもみえなくて、おまけに山道で足元が不安定なのもあって、変な浮遊感っていうんですんかね。全方位どこまでも続く闇の中を、ふわふわと浮かんでいるような心地になりました。それで、俺は、ふいに死んだらこんな感じなのかなって思ったんです。あの鳥の鳴き声が聴こえたのは、そのすぐ後です。
で、これは怖くなって急いで車に戻ってから分かった事なんですけど、あの鳥の鳴き声を聴いた時、俺を含めた全員の身体が一瞬金縛りにあったみたいに動かなくなりました。




