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勇者パァムは戦わない  作者: トトホシ


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【SIDE B】スターのソーメン

「マ王がいるところ、どこだと思う」


 高い木の上からあたりを見渡して、パァムが見える範囲にはいねぇなと言って、ぢゅーんと高い鳴き声を上げた。


 あのマ王が地表に長くいることなんてまずないだろう。そもそも古今東西魔王のいるところといったらだいたい洞窟の奥深くか地下の最下層か高い塔のてっぺんだ。地上で寝そべっていることはまずない。


「この星にそれほど高い塔はありません。だとしたらマ王が隠れるのはやはり地下……ダンジョンということになるでしょう。そこにはまだ、マ王のルナーを吸ったネギたちが残っているはずです。それを食べて力を取り戻そうとしていると考えるのが自然でしょうね」

「生ネギばりばり食ってんのかな。くせぇだろうな」


 そよちゃんとパァムが緊張感なくわははと笑う。セバスもタマネギなら生のサラダがうまいとぬかす。振り向いた先ではゼゼが大切そうにビール瓶を撫でている。


「あ、ところでボンド」


 笑いを止めて、そよちゃんがふわりと飛んできて俺の肩に舞い降りた。


「どうしたの」

「あのね、ちょっと聞いて欲しいことがあって……」


 チュッパチャプスを片手にそよちゃんが俺の耳に嘴を寄せた。小話かな。そよそよちゃんの小話は面白いんだよな。地球に帰ったらモチネタにしよう。


 そう考えながらいつ帰ることが出来るのか分からない俺の旅路は続いてく。


 うんこからの復活を諦めたかどうかはわからないが、セバスは復讐を心に誓ったようだった。

 マ王は自らが眠っていたダンジョンに戻っているだろうと踏んで、我々のパーティー一行は当初何も知らずに五階までしかないと思って挑んだダンジョン、つまりかつてマ王が眠っていたとされるダンジョンの最奥へと潜ることになった。


「準備はできたか!?」


 廃墟とした街の店で使えそうな道具をかき集め、ダンジョンに突入する準備を万端に整えた。

 一度ダンジョンに潜ったら、マ王を倒すまで出てこないという覚悟を誰もが持っている。そのため装備は強固に、食料も豊富に、睡眠も十分に、娯楽もほどほどに、というコンセプトの元準備を進めた。


 それぞれ装備品を探しに散って行った一同が予定時刻にラーメン屋前に集い、互いの姿を見て頷き合った。

 だが、完璧だと思った装備にリーダーであるパァムが俺の背中を指さし声を荒らげた。


「おいっ、ボンドっ、リュックから顔を出しているそれはなんだっ」


 俺は姿勢を正して敬礼をした。


「はっ、これは雀のぬいぐるみであります!」

「そんなものダンジョンに必要かっ!」

「ふかふかでありますっ!」

「ふむ! 所々で癒されそう! ならよし! では次、そよそよ!」

「はいでありますっ」

「そのチュッパチャピス! ダンジョンに必要か! いったい何本持った! リュックから棒がはみ出てハリネズミみたいになっているではないかっ」

「はいっ、これは防御にもなるでありますっ」

「そうか! ならよし! では次、ゼゼ!」

「はっ」

「ビール持ちすぎダァ! しかも台車デェ!」

「これは自分のルネの源であります!」

「ではその背中にある野球のスタジアムでビールの売り子が背負っているビールサーバー的な何かは何だァ!」

「まさしくそれであります! 直接ホースから飲めるであります!」

「お前もうプロだな! よし次セバス」

「はっ!」

「ラーメンどんぶりを頭にかぶるのはやめろぉ!」

「これはラーフェンの形見の兜であります!」

「兜じゃねぇ~」

「途中で水をくむのにも役に立つであります!」

「なるほど! それならよし!」


 皆きちんと考えているな。これならマ王を倒せるだろう。なんて素晴らしいパーティーだ。


「で、パァム」


 俺はパァムの尾羽を掴んだ。


「んあ? しっぽ掴むなっての」


 ぷいっとターンして、指から逃れた尾羽をふりふりしパァムが俺を睨んだ。


「お前はなんなんだ、そのソーメンは」

「ソーメン?」

「スター錦野みたいな袖の下につけたソーメンだよ」

「これはチャームを倍増させるための衣装だよ」


 赤い服を来たパァムがふりふりと体を振って、袖の下で揺れる幾多の紐……いわゆるソーメンの動きをチェックする。


「そっか。それならよし!」

「うむ、ではいくぞ!」


 ソーメンをゆらゆらさせて、パァムが漆黒の闇の続くダンジョンの入り口を指差した。


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