物品交換所での出来事
ルカメイシェルは物品交換所に来たのだが……。
ここはライクスチアの中央よりも北側付近だ。この辺には沢山の商業施設が建ち並んでいる。人の数も多く色々な種族が街路を行き交っていた。
この街路をルカメイシェルは歩き目当ての建物の前で立ちどまる。
「着いたのニャ!」
そう言うと建物の中に入っていった。
因みに、この建物は物品交換所である。
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建物の中に入ったルカメイシェルは厳つい顔の男性が居るカウンターの前まできた。
「おっ! ルカ、久しぶりじゃねえか」
この厳つい顔の男性は物品交換所の店主である。
名前はモンガ・モレットと言い三十五歳だ。
それと店は一人でやっていけるほど暇なので店番を雇っていない。
まあこれだけ大きな町になると物が揃っているため、ワザワザ交換にくる者なんていないに等しいから仕方ないのだろう。
「モンガさん、お久しぶりニャ」
そう言いルカメイシェルは、ドンと魔物が入っている袋を台の上に置いた。
「ルカが魔物の交換たあ珍しいじゃねえか。お前が倒したのか?」
「ううん……僕じゃなくて頼まれたのニャ」
「って言うと、ギルドの依頼か何かか?」
そう問われルカメイシェルは首を横に振る。
「今日知り合った冒険者さんの代わりに持ってきたんだニャ」
「ほう……なんで自分で交換しにこねえんだ?」
「え、えーっと……あまり目立ちたくないみたいなのニャ」
なんて応えていいのかと困ってしまいルカメイシェルは苦笑し額から汗がタラリと落ちた。
「訳ありってことか。指名手配をされているとかか?」
「違うけど……それに近いかもニャ」
「ハア? なんだそりゃ。意味が分からねえぞ。そもそも……そうだとしたって顔を隠してくればいいだけだ」
ルカメイシェルは返答に困ってしまう。
「そう言われても無理なのニャ」
「引きこもりって訳じゃねえだろうし……相当、訳ありみてえだな」
「うん……でも服装を変えれば大丈夫だと思うのニャ」
それを聞きモンガの頭の上に疑問符が浮かんだ。
「ソイツは何もんだ? どこぞのお偉いさんなら自分で買えるだろうし。全く理解できねえぞ」
「言えないって言ってるニャ」
「そうか……服を調達すれば、ソイツと逢うことはできるのか?」
あまりにもルカメイシェルが言わないせいで余計に気になりモンガは、どうしても逢いたくなったようである。
「んー……どうだろう? 多分、逢うぐらいなら大丈夫だと思うのニャ。でも聞いてみないと分からないのニャァ」
「そうか……じゃあ、こうしよう。ソイツと逢って何者か分かったとしても口外しねえ。それでも無理そうか?」
「だから聞いてみないと分からないのニャ」
「分かった! 服と装備はオレが倉庫から持ってくる。それもタダだ。勿論、交換に持って来た魔物は全て高値で買い取る」
中々モンガが諦めてくれないため、ルカメイシェルは「分かったのニャ」と仕方なく言い頷いた。
その後モンガは約束の通り倉庫から適当な服と装備一式を持ってくる。
「今倉庫にある装備の中で一番いい物を見繕ってきた。服とかは男か女か分からなかったから両方だ」
「凄い装備なのニャ。それと服も騎士用みたいニャァ。女性用の方を欲しいのニャ」
「構わねえが……ソイツは男なのか?」
そう聞かれルカメイシェルは、コクッと頷いた。
「そうなのニャ。わーい! あとで着替えようニャァ」
そのあとモンガはルカメイシェルが持って来た袋の中から魔物を取り出し目を輝かせる。
「コリャア、スゲー! 相当な腕利きの冒険者みてえだな。低級冒険者じゃ、この赤薔薇兎や菫猫を倒すことなんてできねえぞ」
「そうなのかニャ。そういえば、もっと魔物の死骸を持ってたのニャァ」
「そうなるってえと……余計に逢いたくなってきたぞ。待ってろ! オレの方から、ソイツに逢いに行くぜ」
かなりモンガは興奮している。今までこれほどの冒険者に逢ったことがなかったから余計にだ。
「んー……ついて来てもいいけど入る前に聞かないと」
「ああ、それでも構わねえ」
それを聞きルカメイシェルは「じゃあ行くのニャ」と言い女性用の服を持った。
かたやモンガは魔物の数を帳簿に記入し計算したあと金庫から金を取り数え始める。
「赤薔薇兎が三体で三千メルだが三万メルにする。菫猫は二体で四千メルだが四万メル。まあ、ドッチも相場通り書いておくつもりだ」
「凄いのニャ! いきなり金持ちになったニャ」
「この金はルカ、お前んじゃねえぞ。それにオレが、ソイツに直接わたす」
そう言われルカメイシェルは分かってると思いつつも口に出せず苦笑するしかなかった。
「さてと……必要なもんは、このぐれえだな」
装備一式と服などを大きな袋に入れるとモンガは担いだ。
その後モンガはルカメイシェルと外にでる。そして扉に鍵をかけた。
そのあと【クローズ】と書かれた板についている鎖を扉に設置されているフックにかける。
それを終えると二人は護の待つルカメイシェルの家に向かったのだった。
(大丈夫なのかニャ? まあマモルは優しいから訳を話せば分かってくれるのニャァ)
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