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勝者の四人

ドレナアル城の中庭で生死を賭けたバトルが行われ勝者は決まり……。

 ここはドレナアル城の中庭。周囲には血の匂いが漂っている。

 そう死体が至る所に転がっているからだ。


 ここから護が逃げたあと召喚された者同士の命を賭けた戦いは開始された。

 開始前に神官ワイゼは逃げないように結界を張る。そして開始と同時に騎士や兵士たちと城の中に避難した。


 開始された中庭では……。

 この状況から逃げ出そうとする者。

 現状に対応できず絶望で動けなくなる者。

 能力を使おうと試みるも扱いきれない者。

 その者たちは何もできず強者に瞬殺される。

 中には絶望し自死する者もいた。


 現在アレだけ居た者たちが四人に減り互いに決着できずにいる。

 それをみて神官ワイゼは騎士と兵士たちを引き連れ中庭に赴いた。


「もういいでしょう。思ったよりも残った人数が少ないわね」


 そう言い神官ワイゼは結界を解く。

 その声を聞き四人は戦いをやめ神官ワイゼの方を向いた。


「男性は二人、女性が二人ですか。そうそう城の中で話をしましょう」


 それを聞いた騎士の一人が四人を城の中へ連れて行く。

 行ったのを確認した神官ワイゼは、ここに残った騎士たちと兵士たちに死んでいる異世界の者たちの人数を確認させる。これは書物に記録するためだ。

 その間、神官ワイゼは周囲の光景をみながら微笑んでいた。


(これで私の名声が上がるわ。ですが他国の神官も異世界の者を召喚していないわよね?――……)


 そうこう思考を巡らせていると騎士たちと兵士たちは各自分担し数えた物を合わせて紙に記載し神官ワイゼに渡す。


「四十五人……ですか。変ですわ……召喚した人数は五十だったはず」


 そう神官ワイゼは五十人も召喚していたのだ。


「この状況下で逃げ出す者がいたって云うの? いえ、そんなことあり得ない……恐らく召喚される際に途中で消滅したのよね」


 単純な脳で良かった。

 その後、神官ワイゼは兵士たちに死体の後始末を言い渡し騎士たちと共に城の中へと向かう。


 ✦✧✦✧✦


 そして、ここは城内にある謁見の間だ。

 玉座には国王であるセイドルデア・T・ドレナアルが腰かけ眼前に居る四人の異世界の者をみていた。

 そこに神官ワイゼが入室してくると一礼し国王セイドルデアの横に並んだ。

 反対側には大臣アルセファルマ・ライセスシナがいる。しかし機嫌がよくなく、ムスッとしていて可愛い容姿も台無しだ。


 そうそう国王セイドルデアが二十七歳、大臣アルセファルマは二十五歳で若い。

 ああ、そうだった! これでも神官ワイゼは二十三歳だ。年齢よりも老けてみえる。

 なぜこんなにも年齢層が若いのだろう。そういえば周囲に居る騎士や兵士も年齢層が低いようだ。


「ワイゼ……成功したようだな」

「はい、勿論でございますわ。この私に失敗なんて言葉は存在しませんもの」

「成功して良かったな。だけど、あんなに異世界の者を召喚し……殺して心が痛まないのか?」


 キッと神官ワイゼを睨み大臣アルセファルマは苛立ちを抑えきれないでいる。


「喧嘩は、あとでやれ! 異世界の勇者さま方が目の前に居るのだぞ」


 そう言われ二人は申し訳ないと思い俯いた。


「すまぬな。待たせてしまって――……」


 そう謝罪したあと国王セイドルデアは名乗り、そのあとから大臣アルセファルマと神官ワイゼが順に挨拶し自己紹介をする。


「ご丁寧にありがとうございます」


 三つ編みで眼鏡をかけた巨乳の女性は会釈をしたあと笑みを浮かべた。

 体の至る所に他人の血痕が付着していて可愛いのにもったいないようだ。


 この女性は(ひびき)鈴音(りんね)、二十歳で大学生。能力は、あとで語ろう。


「凄い報奨金とか出るのかなぁ」


 髪を後ろで縛っている糸目の男性は、ニコニコと笑い神官ワイゼへ視線を向ける。

 この男性の体には、そんなに血が付いていない。だが両手に異常なほどの血を付着させていた。


 この男性は覚見矢(かくみや)刀祢(とおや)、二十二歳でアニメショップの店員だ。こちらも今は能力を伏せておく。


「凄いですのお。本当に王さまが目の前に居るのですう」


 オレンジ色に髪を染めて可愛いリボンの黒いカチューシャをしている女性は目を輝かせ興奮している。

 コスプレなのだろうゴスロリ風の服の至る所に血が大量に付いて勿体ないようだ。


 この女性は喜瀬(きせ)果菜(かな)、二十三歳である。見た目は、どうみても十五歳にしかみえない。いや、それよりも若くみえる。

 そうそう能力はあとで語ります。


「それよりも魔竜王を討伐したら本当に元の世界に帰してくれるんですよね?」


 クイッと眼鏡を上げると男性は国王セイドルデアを見据える。グレーの学生服が血で染まっていた。匂いが嫌なのか時折、鼻を塞いでいる。

 そういえば学生服が護と同じだ。


 この男性は鏡針(かがみばり)勝晶(かつあき)、十八歳。護と同じ年ってことは同級生だ。知り合いなのかな?

 まあ能力と共にあとで分かるだろう。


「うむ、あとのことはワイゼに話を聞くと良いだろう」


 そう言い国王セイドルデアは眼前の四人を見据えた。

 その後、国王セイドルデアは大臣アルセファルマと共に退出する。

 残った神官ワイゼは四人と共に謁見の間から別室へ向かった。

読んで頂きありがとうございます( ̄^ ̄)ゞ


では次話もよろしくお願いします(*'▽'*)

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