能力測定
護はルカメイシェルのお陰で緊張が解けて……。
このままじゃルカメイシェルとモンガの前で更に醜態を晒してしまうと思い護は余計に胃が痛くなってきた。
(マズい……こんなんじゃルカに完璧きらわれる。どうしたらいい? その前に既に軽蔑されているかも)
最悪の展開しか頭に浮かばず護は自問自答を繰り返している。
そんな護のことをルカメイシェルは心配に思っていた。
(マモル、ボクのせいなのニャ。目立ちたくないって言ってたのに誘ったから……)
自分のせいだと思いルカメイシェルは護に何かしてあげたいと考える。と同時に体が勝手に動いて護に抱きついていた。
「へッ?」
突然のことで護は何が起きたのか分からず変な声を上げる。
「ごめん……マモル。ボクのせいなのニャ。ここに連れてこなければ体調が悪くならなかったのニャ」
「ルカ……違う、お前のせいじゃない。それに……少し落ち着いた。心配してくれて、ありがとうな」
ルカのお陰で護の緊張と不安は何時の間にか消えていた。
「もう大丈夫なのニャ?」
「ああ……ルカに勇気をもらえたから、もう心配ない」
「それなら良かったのニャ」
護の体調が戻りルカメイシェルは喜んだ。
その様子をみていたモンガは只々呆れている。
「楽しそうですわね。何かあったのですか?」
そう言いながらシェスルナは奥の方からカウンターへと向かってきた。
その声を聞き三人はシェスルナへ視線を向ける。
「いえ、たいしたことじゃ」
護は苦笑した。
「そうなのですね。そうそう……」
カウンターの上に持って来た能力の測定する魔道具をシェスルナは置いた。そのあと冒険者カードを護に渡す。
受け取った護は冒険者カードをみる。
「測定する前に幾つか説明をしておくわね」
そう言いシェスルナは説明し始める。
先ずは冒険者ランクについてだ。
白い星→黒い星→赤い星→黄色い星→青い星→銀色の星→虹色の星
そして一番低いランクが白で最高ランクが虹色だ。この能力ランクは能力を測定した時に分かる。
次の説明はパーティーランクだ。パーティーのランクは依頼を熟して上げて行く仕組みである。
星D→星C→星B→星A→星S→星SS
星Dが最低ランクで一番高いランクが星SSだ。
普通であれば、そのランク以上の依頼は受けられない。
但し例外として青い星以上の冒険者がパーティーに一人でも居れば二ランク上までの依頼なら受けられる。
その説明を食い入るように護は聞いていた。
(段々冒険者って感じになってきた。あとは能力だけだな)
ドキドキしながら護は、シェスルナの説明を聞き冒険者カードをみている。
「この冒険者カードを能力測定魔道具の挿入口にさし込めばいいんだな」
不安になりながらも護は冒険者カードを挿入した。
(まるで俺の居た世界のシステムに似ている)
そう護が思っているとシェスルナは専用のペンを使い測定する魔道具に設置されている板に何やら書き込んでいるようである。
そう先程、護が書類に記載した事柄を書き写しているのだ。
この世界なりに良い方へ発展しているようである。
(もしかして意外と発展している世界なのか? そうなると他の場所も見て歩きたい)
そう護が考えていると、シェスルナは設置されている板に全て書き終えていた。
「あとは能力を測定するだけですね」
「この白い魔星石に触れれば能力が測定できる」
魔星石とは星の形をした特殊な魔力を含んだ魔石だ。
因みに、この魔星石は特殊な魔力を含んでいるがそれだけでは使えないのである。
そう魔星石に呪術を施さないと使えないのだ。
という事は、この白い魔星石も能力が測定できるように呪術を施されていることになる。
恐る恐る護は設置されている白い魔星石へ手を伸ばした。しかし魔星石に触れられず、スレスレの所で手が止まる。
「マモル?」
そうなった理由を知っているルカメイシェルは護の手を掴んだ。そしてギュッと握り微笑み護をみつめる。
「ルカ!?」
ハッと我に返った護は、コクッと頷きルカメイシェルを見据えた。その後、魔星石に触れる。
ピカッと魔星石は発光し魔法陣が浮かび上がった。
それと同時に魔法陣は大きくなり護の体をスリ抜け往復する。そのあと魔法陣は縮小し魔星石まで戻り消えた。
「……」
護は絶句する。
「これって……」
設置されている魔星石をみたルカメイシェルは、ホエーっと目を丸くしていた。
「コリャ……スゲエー!!」
護の能力の色をみてモンガは興奮している。
「初期測定で虹色の星……こんなの初めてだわ。本当に冒険者になるのは初めてなのですか?」
「も、勿論です。でも、まさか……ハハハ……」
なんて返答していいか分からず護は困ってしまい笑って誤魔化した。
そんな護に対してシェスルナは怪訝に思い魔道具に設置されている板の方へ目線を向ける。
「確かに冒険者登録は初めてのようですね。もしや何処かで鍛錬をされたのでしょうか?」
「鍛錬と云うか……恐らく旅をしていたからだと」
それを聞きシェスルナは、なるほどと納得する。
その後、護はなんとか冒険者の登録を終えた。
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