ギルドについてと別世界のような光景
護たち三人は冒険者ギルドに向かうためスラム街の道を歩きながら話をし……。
冒険者ギルドがある場所は町の南西側だ。この町の冒険者ギルドはスラム街の近くにある。
それにスラム街を通らないと冒険者ギルドにこれないのだ。
現在、護はルカメイシェルとモンガとスラムの街路を歩いている。
周囲をみながら街路を歩き護は嫌な気持ちになっていた。
「スラムか……最悪な光景だ。路上に寝ている者まで居るんだな」
「ああ……中には薬で、おかしくなってるヤツもいる」
「薬だって!? この世界にも薬害にあってる者たちがいるのか」
薬と聞き護は怒りが込み上げてきた。
「ってことは、マモルの世界にもあるのか?」
「ああ……だけど恐らく、この世界の物とは違うだろうがな。それに、ここまでは酷くない」
「酷い、か……確かにな。こんなになったのも国のせいだ。真面な稼ぎもねえし食うにも困り……病を治すにも医者や薬なんてねえ」
それを聞き護は不思議に思う。
「それって、この世界になのか? それとも、この国だけ?」
「いや……他は知らねえが。この町のスラムだけだ」
「そういう事か。ここだけ国では関与していない。そのため荒れ果て、みんな手を染めなくてもいいようなことまでも……」
この国を良くしたいとまで考えていないのだが護は、このスラムの酷い状態をなんとかできないのかと思っていた。
(俺にできることってあるのか? あったとしても目立つのは困るが。だけど、なんとかしたい。みているだけで、ツラくなる)
周囲を見渡し護は何もできない自分に対し苛立っている。
「でも近くにギルドがあるお陰で、なんとか生活できてる人もいるのニャ」
「なるほど……もしかして、ここを抜けないと冒険者ギルドに行けないのってスラムの人たちのためなのか?」
「スラムの連中のためってだけじゃねえぞ。この町のギルドは国に睨まれてるからな」
それを聞いて護は納得した。
「じゃあ国では冒険者ギルドを認めていないっていうのか?」
「そういう事だ。まあ国で管理してるギルドは他にあるんだがな」
「他にもあるって、どんなギルドなんだ?」
「よくは知らねえが……確か貿易ギルドだったはずだ」
貿易ギルドは、この国のみに存在する。それも普通の冒険者では登録できない。
依頼人は最低でも金を持っている平民までだ。上限は勿論ないだろう。
「貿易ギルドか。名前からして商業関係を主にやっているのか?」
「商業もだが冒険者ギルドのようなこともしている」
「そうなると……今、行こうとしている冒険者ギルドは闇ギルドってことか?」
そう言われルカメイシェルとモンガは首を傾げる。
「闇ギルドってなんだ?」
「聞いたことないニャ」
「ない……そうか。国の許可なく闇で経営しているギルドってことだ」
そういう事かとルカメイシェルとモンガは納得した。
「確かに、その言葉があっているな。だが、この国以外じゃ……ちゃんとしたギルドだぞ」
「そうなのニャ。ボクも他の国で冒険者の登録しているニャ」
「この国だけが真面じゃないってことか」
深い溜息をつき護は、ドレナアル城があるであろう方を向き睨んだ。
「そうかもしれんな。まあ正規の冒険者は今から行くギルドにくる」
「それが普通だ。そうなると……この国にある町や村って貿易ギルドだけで冒険者ギルドは、ここ以外ないのか?」
「一応はあるのニャ。でも殆ど目立たない場所に冒険者ギルドがあるニャ」
それを聞き護は、ホッとする。そう何かあった時に、この国にある他の町や村で依頼を受けられなかったら困るからだ。
「それなら問題ないな」
そう言い護は、ニヤリと笑みを浮かべる。
その後も三人は話をしながら冒険者ギルドへと向かった。
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少し歩くと護とルカメイシェルとモンガは、スラム街を抜け森の多い場所にでる。
そこは、まるで別世界のように緑が豊富で多種様々な木々や草木などが生い茂っていた。
それでも周囲は誰かが掃除などをしているのか綺麗に整備されている。
護は立ち止まり、この光景に感動していた。
「ここって本当に町の中なのか? 特にスラムを抜けて来たせいか……別世界にみえる」
「まあ、そうだろうな。この辺は冒険者ギルドが依頼をして冒険者に整備させてるからな」
「そういう依頼もあるのか。そんなに目立たない依頼が他にもあるといいが」
どんな依頼があるのかと思い護は、ワクワクしている。
「採取、掃除、お使い、討伐、メイドや執事とか。色んな仕事があるぜ。だが今は、どんな仕事があるのか分からねえがな」
「今も色々な仕事があるのニャ」
「そうなのか……楽しみだ。そういえば、ルカのやりたい仕事ってなんだ?」
ルカメイシェルのやりたいと思っている依頼のことが護は気になった。
「やりたい仕事というか……パーティーでしか受けられない依頼をやってみたいのニャ」
「そういう訳か……パーティーでしか受けられないか。凄く楽しみだ」
「それはいいが、その前に登録が先だぞ」
それを聞いた護は一気にやる気が落ち込んだ。
その状態のまま三人は冒険者ギルドの前まで来たのだった。
読んで頂きありがとうございます(*^-^*)
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