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小田からの贈り物

嘘つきの僕

作者: 小田虹里
掲載日:2025/04/01

はじまりは、偽りだったかもしれない。


何の取り柄もない僕を、好きだと言ってくれるキミ。

その言葉を、素直に受け取ることはできなかった。


冷やかしか、興味本位か。

その程度にしか思えない。


それでもキミからの告白を受けたのは、少しばかりでも僕が。

キミの言葉を「信じたい」と、願ってしまったからかもしれない。


淡い願いを抱くのは、愚かで脆い。

弱さの具現化だ。


そう自身を否定するのに、キミといる時間は悪くなかった。


どこまでが本当で、どこまでが偽りなのか。

自分の感情すら、把握できない。


願いが叶うなら、こんな皮肉屋の自分を捨てたい。

周りのように、世渡り上手になりたい。

僕を見捨てなかったキミにとって、「プラス」な人間になりたい。


それを口にしたとき、キミは笑った。

嘲笑うのではなく、優しく、慈愛に満ちた微笑みで。


「ありのままの、あなたでいい」


そう告げて、静かに手をとる。

その手はとても、温かかった。


騙されている?

いつか、「あれは嘘」と嗤われる?


いや、今はそんなことどうでもいい。

キミの言葉が嘘であれ、僕が今涙を溜めているのは事実だ。

僕はずっと、誰かに認めて欲しかったんだ。

そんなことにも気付けないでいて、僕は馬鹿だ。


虚しい嘘で固めた自分なんて、何の意味もない。

苦しいだけだ。


それなら優しい嘘でもいい。

僕に安らぎを与えてくれる、キミの手を取りたい。


すぐには信じられないけれども、いつか。

キミの言葉の全てを受け止められたならば。

僕はどれだけ、幸せものだろう。


嘘からはじまった恋が、ホンモノに変わる。

そのとき僕は、初めて「人間らしさ」を得られるのかもしれない。


他者を信じることは怖いけど、前に進むには独りでは叶わない。

まずはキミを信じてみよう。


キミが僕の、嘘を破る。

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