移動屋台のおでん屋の親父です、見た目人間じゃない客も来ます、でも客だからおでんを煮込みます
おでん屋の親父の第二弾です。
今日も親父はおでん屋の移動屋台を開いている。
いろんな客が来るが中には見た目が人間じゃない客もいる。
「親父、はんぺん」
「はいよ」
はんぺんを皿にのせて客に渡すがその客は見た目が人間ではなかった。
「はあ~、今日もデズゲード様からのお叱りを受けて参ったな~」
角の生えた鬼のような顔をした客がはんぺんを食べる。
「だよな、また失敗したってのもあるけどさ」
隣では大きな一つ目の客が飲んでいる。
「でも我々だって頑張ってはいるぞ」
その隣では機械のような身体をした客がちくわを食べている。
「頑張っても結果が出なければ意味ないでしょ」
その隣では女生だと思う海の生物のような姿をした客がたまごを食べている。
「確かに結果は大事だが、我々も決して手を抜いているわけではない、デズゲード様ももう少し部下への思いやりが欲しいものだ」
その隣では骸骨のような姿をした客がだいこんを食べている。
(この客達、人間じゃないよな、まあ、客だから見た目なんてどうでも良いか)
五人の客を見てそんな事を思いながら親父はおでんを煮込む。
「大体デズゲード様は俺達だけじゃなくて他の奴等にも厳しすぎなんだよ」
鬼の客が台を叩きながら言う。
「確かにそうだ、口を開けばいつも怒ってばかりで嫌になってくる」
一つ目の客も頷いて同意する。
(パワハラ上司って奴か)
会話を聞きながら親父はおでんを煮込む。
「確かにそうだ、部下達だって一生懸命やってるんだ」
「そうよ、私のかわいい部下達だって頑張ったのに負けたからってきつく当たって、だったら自分がやりなさいよ」
機械の客と海の生物の客が飲みながら愚痴を言う。
(まあいるな、上の立場だからって好き勝手やる上司とか下の奴等の事をよく見ない上司とか、そんなのが上司だと嫌だよな)
客達に同意しながら親父はおでんを煮込む。
「大体よぉ、俺達や部下達が弱いからだとか言うけどさ、ぶっちゃけ相手がどんどん強くなっていってるんだよ」
「それ俺も思った、あいつら毎日わけわからないくらいパワーアップしてるよな」
「おまけに完全に舐めた戦い方してるし」
「それな、私も思ったあいつらすぐに倒せるくせに、なめプして最後の方で最強の技とか出してさ、私のかわいい部下達も精神的に参ってたわよ」
(部下の人達も大変なんだな、俺だったらそんな事されたら仕事行くのも嫌になるな)
そう思い親父はおでんを煮込む。
「その辺にしておけ、いつどこで聞かれてるかわからないぞ」
「確かに」
「あの方側近がいるんだよな」
「どこかで聞かれて報告されたらたまらないわね」
(この人達も大変だな、人かどうかわからないが一番気になるのは)
『親父、ジュースおかわり』
「はいよ」
(こんな見た目してるのに酒じゃなくてジュース飲むんだよなぁ、これが世に言うギャップって奴か)
そんな事を思いながら親父は全員分のジュースを出しておでんを煮込むのだった。
読んでいただきありがとうございます。
第三弾も思いついたから書こうと思います。