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【コミックス2巻発売中!】転生幼女は前世で助けた精霊たちに懐かれる  作者: えぞぎんぎつね
四章

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158 二日目の朝食

 次の日の朝。あたしたちは、一日ぶりに食堂に行った。


「あら、ダーウ、もう体はいいの?」

「ばう~ばう~」


 姉に声をかけられて、ダーウは嬉しそうに甘えにいく。


「ダーウは、昨日のお昼ぐらいにはげんきだった」

「寝ていたのは、念のためだもんね」

「夜には遊ぼうとするから大変だったのである」


 仕方ないので、ダーウには絵本を読んで寝かしつけたのだ。


「そう、ダーウは回復が早いのね」


 姉はダーウのことを優しく撫でる。その表情がいつもと違う気がした。


「むむ? ねえさま、つかれてる?」

「そんなことないわよ?」


 ダーウもそんなことを言っていた。そして、倒れたのだ。


 二泊三日の旅で疲れたうえに、父の名代として色々仕事をしているのだ。

 疲れないわけがない。


「ねえさまも、あとで昼寝しよ?」

「大丈夫。ありがとう」



 朝食時、あたしはパンを手でちぎって食べながら、マリオンに尋ねた。


「ねね、今日はなにするの?」

「いつも通りのお仕事ですよ。あ、ですが、今日は視察にも行きます」

「しさつ!? しさつってなにするの?」

「領地の様子を見て回るのです」

「みるだけであるか?」


 パリパリに焼いたウインナーを食べていたスイが尋ねる。


「見て説明を受けるのです。実際に見てみないとわからないことも多いですから」

「大変であるなー」


 スイはあたしのコップに魔法で水を入れてくれる。


「スイちゃんありがと、ほんとうまいな?」

「えへへ~」


 スイの水はとてもおいしいと伝えたら、スイはとても喜んでくれた。

 そして、食事のとき、いつも魔法で水をついでくれるのだ。


「リディアもスイの水を飲むのである!」

「ありがと。私も同行するのよ。ディディエ男爵の後ろにはヴァロア大公がいるって示さないと」

「そっかー。ねーさまも大変だな?」


 視察には領主が見て、状況を把握し、報告が正しいか調べるためだけに行う訳ではないらしい。

 領民に、主の姿を見せるという意味もあるようだ。


「視察には、うまにのっていく?」


 サラの領地は馬産地で、馬に乗る練習ができると聞いている。

 だからあたしは気になったのだ。


「馬車で行くの。乗馬はできるけど……あまり得意ではないから」

「私も得意ではありません」


 姉もマリオンも乗馬は得意ではないらしい。


「サラも、ママと一緒に視察にいく」

「あ、じゃあ、ルリアもいく!」

「サラとルリア様に同行していただけるのは、嬉しいのだけど……」


 マリオンは少し困った様子でダーウを見る。


「まだダーウは本調子ではないでしょう?」

「がふがふが……わふ?」


 肉の塊をバクバク食べていたダーウが顔をあげて、首をかしげた。


「そうですね。ルリアとダーウは今日は休んだ方が良いかもしれないわね」

「そっかー」

「ルリアちゃん。今日は家で大人しくるすばんしとく?」

「そだな? ダーウも休んだ方がいいかもだし?」

「わふう、がふがふ……わふばう! がうがふ」


 ダーウは「何して遊ぶ?」と言いながら、尻尾を振りつつ、肉を食べている。


「ダーウ、ごはんをたべるか、はなすかどっちかにしてな?」

「がふ? がふがふがふ」


 ダーウは食べることを優先することにしたようだ。


「ル、ルリアが……まともなことを……」

「ねーさま? どした?」

「ついこの前まで、しゃべりながら、両手にそれぞれパンと肉を握っていたルリアが……」

「そんなことしたことないが?」


 姉は誰かと間違えているに違いなかった。


「あ、マリオン。馬にのる練習していい?」

「サラも練習したい!」「ばうばう」


 ダーウまで練習したいと言っているが、ダーウは馬より大きいので乗れない。


「そうですね、ルリア様とサラのことお願いできますか?」


 マリオンは側にいた大公家の従者筆頭に尋ねた。


「お任せください、乗馬が得意な者もおりますので」

「ありがとう。ルリア様。サラ。従者の方の言うことを聞けますね?」

「きける!」「うん!」

「じゃあ、乗馬の練習しても良いです」

「やった~」「わーい」「ばうばう~」


 喜ぶ私たちに、姉が言う。


「ルリア、サラ。良かったわね」

「うん! ルリア、練習して馬にのれるようになったら視察についてく!」

「はい! サラも!」


 それから、いつ頃乗馬の練習をするか相談した。

 従者の人達も色々と忙しいのだ。


 まず従者二十人のうち七割の十四人は姉について行って護衛する。

 残りの六人は、あたし達と一緒に屋敷に残るのだが、彼らにも仕事がある。


 大公家との連絡もしないといけないし、行政的な業務もある。

 従者の中には、内政に精通した優秀なものもいるのだ。


 マリオンの助けになるよう、父がそういう者を選んだらしい。

 そんなことを兄と姉が、言っていた気がする。


「それじゃあ、お昼ご飯の後におしえてな?」

「よろしくお願いします」

「はい、ルリア様、サラ様。よろしくお願いいたします」


 あたしとサラはお昼ご飯の後、乗馬の練習をすることになった。

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― 新着の感想 ―
ダーウって馬よりでかいのか…
更新お疲れ様です ……うん、食べながら話すのは行儀の良くないことですね もしかして例の毒はお姉さんが既に?? 次回も更新を楽しみにしています
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