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【コミックス2巻発売中!】転生幼女は前世で助けた精霊たちに懐かれる  作者: えぞぎんぎつね
三章 五歳 王宮編

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143 解決

  ◇◇◇◇


 王と王太子が合流した後、ルリアとサラ、スイと守護獣たちは王の私室へと向かった。

 ルリアたちを見送った後、王は近衛騎士達に向かって言う。


「そなたたちの中には、あの狐仮面の正体に気づいた者もいるだろう」


 近衛騎士の大半は気づいていた。

 あの方はヴァロア大公家の末娘ルリア・ファルネーゼ様だ。

 背格好が同じだし、声も同じだ。大きな犬を連れているという噂の通りだった。


「だが、口外してはならぬ。狐仮面は正体を隠しているのだからな」

「御意」


 王がそういった理由も、近衛騎士達は理解できた。

 あれほどの力があると知られれば、悪用しようとするものが必ず現われるだろう。


 魔法も、治癒魔法も解呪の能力も、全てがあり得ないほどの水準だった。

 この目で見なければ、信じられなかっただろう。


「そのうえで頼む。もし、狐仮面が窮地に陥るようなことがあれば、助けてやって欲しい」


 王がそういうと、近衛騎士たちは跪く。


「陛下。狐仮面様がいらっしゃらなければ、我らも無事ではすまなかったでしょう」


 近衛騎士達は狐仮面は命の恩人だと語る。


「命に替えましても、お助けすることを誓います」

「ありがとう」

 王にお礼を言われて、近衛騎士たちは驚いた。



  ◇◇◇◇


 王と王太子は後始末で忙しいらしいので、あたしたちは王の私室へと向かった。

 あたしとサラ、スイとダーウ達も一緒だ。

 ちなみにコンラートは王太子宮に戻っていった。


「うまいうまい」

「ばうばう」


 王の私室には沢山のお菓子が用意されていたので、バクバク食べた。

 ダーウもうまいうまいと食べている。


「やっぱり、魔法を使うと、おなかがへるのだなぁ」「ばう~」

「ルリアちゃん? さっきおやつに毒が入ってたのに、こわくないの?」

「ないよ? だってくさくないもんな? ダーウ」

「ばう~」


 サラだけでなくスイも警戒しているようで、まだ食べていない。


「ほんとに大丈夫であるか?」

「うん。だいじょうぶだよ!」「ばうばう」

「そっか、ならば、スイも……うまいのである!」

「なーうまいな? サラちゃんもたべよ」

「う、うん。あ、おいしい」

「サラちゃんも動いたからお腹すいたでしょ」

「すいた」


 一度食べ始めると、サラもバクバク食べる。やはりお腹が空いていたようだ。


「キャロとコルコ、ロアも食べるといい」

「きゅ~」「こここ」「りゃありゃ」

「ミアには精霊力をあげよう」

「…………」


 おやつを沢山食べてお腹いっぱいになると眠くなってくる。


「ふわ~おひるねしよ」

『それがいいのだ! ルリア様は力を使いすぎたから寝た方が良いのだ!』

「クロもそうおもうか……」


 そして、あたしとサラは、横になったダーウの背中で眠ったのだった。


  ◇◇◇◇


 ルリアたちが昼寝を始めてから三十分後、

「ルリア!」

 王の私室にルリアの父、グラーフとアマーリア、それにマリオンが飛び込んできた。


「……二人とも寝てるのか」

 グラーフはルリアたちの無事な姿を見て胸をなで下ろし、

「よかったです」

 マリオンはサラをぎゅっと抱きしめた。


「よく眠っているわね」

 アマーリアはルリアを抱きあげる。


「んみゅ? ごはんか?」

「そうね、帰ったら御飯にしましょうね」

「うん」


 一瞬目覚めたルリアは、すぐにまた眠った。


「……陛下から連絡が来たときは肝が冷えたぞ」

 そういって、グラーフはダーウを撫でる。


「ばう」

 ダーウはグラーフの手をベロベロ舐めた。


「ダーウ、キャロ、コルコもルリアを守ってくれたんだろう? ありがとう」

「ばう」「きゅ」「こ」

「水竜公も……」

「もうたべられないのである~」

 スイは仰向けで眠っていた。


 そして、グラーフたちはルリアたちを連れて屋敷へと戻る。

 ルリアはアマーリアが、サラはマリオンが抱っこして、スイはグラーフが背負って馬車まで運ぶ。

 馬車の中でマリオンがグラーフに尋ねた。


「これからどうなるのでしょう? 内乱が起こるのでしょうか?」

「それは大丈夫だ。今頃、ナルバチア大公の城は落ちているはずだ」


 王が兵を動かして敗北が必至になったので、クーデターを起こしたのだ。

 宰相も、ナルバチア大公が捕縛されれば、裏で繋がっていることがばれることを恐れた。

 それゆえに、宰相はクーデターに賛同したのだ。


 それに「北の沼地の魔女」に関しても、追い詰めつつある。

 壊滅するのは時間の問題だ。


「今回のクーデターは窮鼠が猫を噛もうとしたものだ」


 窮鼠(ナルバチア大公)はいいところまで、()を追い詰めた。

 王が死んでいれば、情勢は大きく動いただろう。


「内乱に至らなかったのは、陛下と兄上が無事だったからだ」

 つまり、内乱を防いだのは、ルリアたちの功績である。


「本当にたいした娘達だ」

 グラーフは愛娘の頭を優しく撫でた。


「……ぜんぶたべていいのか?」

 ルリアは寝言を呟いて、よだれを垂らした。

今回の話で三章はおわりです

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― 新着の感想 ―
>>近衛 やっぱりいい人たちでしたですね。これからもルリアの力になってあげてください >>お昼寝 親御さん達は冷や汗ものだというのに…… これは楽しい楽しい教育の時間が待っているのですね
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