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公爵子息と夜の散歩1

扉を叩く音がした。

時計を見ると夜中の1時前だ。それも叩き方がとても遠慮深く、屋敷の召使いでは無いと直ぐにわかった。私の部屋の扉を叩く人間は限られているし、まずこの時間に扉を叩く時は屋敷が騒然としている筈だ。

何故か、それが誰だが分かっていた。

公爵子息だ。

急いで夜着を脱ぎ服を着た。

「何の用ですか?」

だから、自信持ってそう言い、思いっきり扉を開けるとやはり、そうだった。

私と目が合うと少し驚いていたが、それは一瞬で直ぐに微笑んだ。

だが、いつもの意地悪な笑みではなく、とても嬉しそうでなんだが胸がざわめいた。

「入ってもいいか?」

ぎこちなく聞く声と、動きで、部屋に入り扉を閉める姿に落ち着かなかった。

「良かった、起きていたんだな」

「その言葉、そのままお返しします。もう晩餐は終わったのですか?」

「いや、グラリンに変わって貰った。途中でニルギス夫人が入ってきて、お2人の攻撃にこれは無理だと白旗上げてきた」

肩を竦めながらも楽しい感情が分かり、ふわりとアルコールの匂いが鼻についた。

「お母様が、来たのですか?」

お母様は晩餐会の参加を断り、夜会やパーティーを開くホールで他の皆様の夕食の準備をしてしていて多忙だった筈だ。

「ニルギス子爵殿の様子を見に来たようだったが、キルギス子爵殿のあまりの様子に、私が変わります、と言ってワインを一気に三本も空けたんだ!それも、一切顔色も変わらず、口調も変わらないんだ。これは逃げるべきだろ?」

「確かに、ですね。お母様はお父様よりも豪酒です。それでは、お父様は潰れたのですか?」

あのお父様が?

「いや、そうではなくて、あまりの、その、追い詰めてくるというか、マニアックな話というか、つまり、スティールとそっくりと、言うか」

切れ切れの言葉と、言いにくそう顔で必死な言葉を探している公爵子息に、つい笑ってしまった。

「それだけ私達は農作物に必死なのですよ、それで、何の御用ですか?」

「いや、少しスティールと2人で話しをしたいな、と思ってな」

頭を掻きながら、酒の為赤くなった頬が余計に赤くなりながら、恥ずかしそうに笑いながら、目はかなり必死な様子だったから、少しならいいかな、と思った。

「庭に出ましょうか。この時間は召使いも少ないので、私の部屋でいつまでも2人でいたら変な風に思われても困ります」

私がそう言うと、嬉しそうに頷いた。

「そうだな。では、案内してくれ。さすがにここで2人は、なあ」

気まずそうに言うから、笑ってしまった。

「そこは分かっているんですね」

「当たり前だ。ここにはスティールのご両親がいるんだ。下手な事できるわけがないだろ。本来なら正式に挨拶をして、家同士の繋がりを持ってからが普通なんだが、スティールが、違う意味で秀でているからこういう事になったんだ。それはそれで俺側としては都合がいいんだが、違う意味で都合が悪いんだ!これではまるで俺が権力と、政治にしか興味無い見たいだろ!」

「あの、何言っているんですか?その通りじゃないですか?」

なんで、そんな怒って顔になって、次に悲しそうな顔になるんだ?

「結局、外に出るんですか、出ないんですか?」

「出るに決まってるだろ!」

なんでそんなに睨んでくるんだ?

「じゃあ行きましょう」

やっぱり、よく分からない人だなあ。なんでこの人はこんなに納得いかない、という顔しているの?

それに、正式な挨拶して家同士の繋がりを何で持つ必要があるの?

ブツブツと隣で、酔った勢いでも言うべきだったの、とか妙な事を言っている公爵子息を不思議に思いながら部屋を出た。



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