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屋敷での会議3

「では私も、お父様同様この件はお断り致します」

「何を言う?そこに書いてあるのだから、キルギス子爵殿の同意は貰っている」

自信満々のガルマン侯爵様に、私も自信満々に答えた。

「そんな嘘には引っかかりません。農作物の出荷に関する取引は直ぐに決める事は有り得ません。まだ、小さな店に卸すならともかく、北部という巨大な取引相手なら、時間もお金も、そして相手も慎重に決めなければいけません。それにお父様の性格なら、絶対に今回の取引は受けません」

断言すると、ガルマン侯爵様は、不機嫌そうに私を睨んできた。

が、直ぐに大声で笑いだした。

「がっはははは!これはこれは、キルギス子爵殿の言う通りだ。残念だ。令嬢が引っかかってくれればその通りになったのに」

悔しそうだけれど、なんだがイタズラが失敗したような楽しさがあった。

「何故断ったのですか?明らかに儲かる話でしょう?スティールと話をしていて思いましたが、領地で作った大事な農作物を無駄なく売りたい、という気持ちを感じました。侯爵殿の提案を受け入れるべきでしょう?」

公爵子息が至極当然の質問をお父様にした。

「公爵子息の仰る通りです。だが、今回の物資で選ばれた農地はある程度選抜されたのでしょう?」

「勿論です。ハンリバ男爵が薦めてくれたとは言え、幾つか候補の中から選抜しました。作物に関しては良質な物ばかりを用意して貰っていました。ですが、今回ハンリバ男爵の横領が発覚しましたので、その農地を統括している領主ももしかしたら仲間なのかもしれません」

アトラス様が神妙に答えてくれた。

言わんとしている事が、わかった。

不正が発覚すれば当然その農地は外され、違う農地をまた、選ばなければならない。

「そうですか。だが、悪いのは領主とハンリバ男爵であって、農作物を必死に作っている農民に罪はありません。もし私が全てを受け入れれば、これまで農作物を収めていた農民達はどうなりますか?北部の物資の為に作っていた特別な野菜が全て売れもせず残り、金も入らない。それも、横領という罪での、取引の打ち切り。そんな農作物を誰が買います。・・・本当に農作物を作るのは簡単ではありません」

お父様の切なくも心苦しい気持ちが、小さくなる声に全てが入混じり胸が痛くなった。

風評被害。

自分達がどれだけ必死にいいものを作っても、その品物を売りさばく業者が悪どい事をすれば、終わりだ。

今回ハンリバ男爵の横領が表沙汰になれば、アトラス様の言うように領主もグルと分かれば、より、その農地で育って農作物は悪く言われるだろう。

品物は対した事は無い、コネで選ばれた野菜。

値段だけ高い、品質の悪い野菜。

そんな噂が立てば一気に値段は下がり、誰も買わなくなる。

そうなれば領民達の生活は苦しくなり、悲惨な結果となるだろう。だが、それは負の連鎖の始まりともなる。

農作物を販売するにはいくつもの業者や商人を通して、人の手に届くのだ。

農作物に必要な肥料にしてもそうだ。

そこに手数料、という金が動く。

それがとまる。

金の流れが止まれば、


人の命もとまる。


事業が大きくなれば成程、被害も大きくなる。

事業を家業としているなら当然の節理であり、常識だ。

だからこそ安易に物事を決めるべきでは無い。

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