北部物資について3
「では、説明をさせて頂きます」
お茶がすぐさまいれなおされ、何故かイグニス様が私の前にとても多くの菓子が用意してくれて、不憫だと言わんばかりに私を見て去っていった。
「まず先にハンリバ子爵様の解任についてはお手元の資料に記載はしておりません。何故なら、横領が発覚致しましたので、証拠の資料は別に用意してります。イグニス、アトラスとガルマン侯爵様、ニルギス子爵、スティールに渡してくれ」
「はい」
何故お前を呼び捨てなんだ!?
と、まだお父様に目で睨まれたが、
私が聞きたいです、
と急いで首を振ったら、困惑し顔で左に座る公爵子息に戻した。
だって、私は迷惑している。
イグニス様が静かに資料を配っていたが、また、憐れみの顔でお菓子の方を目配せしてきた。
首を傾げてしまった。
何言いたいのだろう?
でもこれは、食べろ、という事だよね?
だって、この間私が好んで食べていたお菓子と、他にも美味しそうなお菓子が並んでいる。公爵子息がわざわざ準備してれた、と思って間違いない。
それなら、頂きましょう。
何故私が呼ばれたのは分からないが、どう考えても私が役に立つ所はないだろう。さて、どれにしようかな。
「・・・成程な。これは、解任されて当然だな。しかし、何故今更気付いた。この資料を見る限り、あいつはこの物資事業が始まってから直ぐに横領を始めているな」
チョコを1つとり、パクリ。
うん、美味しい。
ホワイトチョコだったが、中にビターチョコが入っていて、甘みと苦味が混ざり絶妙だ。
「仰る通りです。実は私が気づいたのは、助言があったからです」
次はクッキーを、パクリ。
うん、これも美味しい。
中にキャラメルが入ってる。
「助言、とは?」
次はどうしようかなぁ。とりあえずお茶を飲もう。
「ガルマン侯爵様の薦めて下さった、ハンリバ子爵、いやもう罪人ですからチャールと呼び捨てで宜しいですね。チャールは確かに農作物に詳しい方だった」
ふう。
これも変わった味のお茶だな。シトラスの香りがして、とても美味しくて、後味さっぱりだ。
さて口の中がさっぱりした所で、次はマカロン?それともゼリー?マフィン?
迷うな。
「その通りだ。北部で最も農作物に関して事業を手広くやり、詳しい奴だ。だからこそ引き抜き連れてきたんだ」
本当はスコーンが食べたいが、この空気でジャムやクリームを塗りながら食べるのは、さすがに場違いだろう。
後でお土産で貰おうっと。
「そこ、です。私も農作物をたけている、という実績を見て全てを任せていた」
うーん。それなら、
ナッツがたっぷりのっているタルトに行きましょう。
うん美味しい。様々なナッツの香ばしさと味が口に広がりながら、タルト生地も邪魔しない。
「だが、違いました」
幸せぇ。
「違う、とは?」
さて、次は、なにいこうかなあ。
「農作物を扱う、とはふたつの意味があると、教えられました。ひとつは、農作物を種から植え、実がなるまでの育成期間を統べるもの。もうひとつは、」
では、ゼリーにいきましょう。
家で食べるゼリーはとは違うな。生のオレンジがゴロッと入ってるけど、どこのオレンジ何だろう?今の季節だけど、この鮮やかな色はこの国のものではないような気がする。
「出来た農作物を流通を統べるもの」
「そう言うことか!!あいつは流通に長けていたが、農作物を植え、育て事などなかった!!」
この味は、この国のものじゃない。でも、ちゃんとみずみすしさが残っているということは、ちゃんと季節の物を使ってる。
それも、この味は、
「美味しいか?」
「うん、凄く美味しい!これは、ガナル国の東方で植えられているオレンジですね。今年は、特に天候が良くて甘みと酸味が合わさったいい出来栄えだと聞いていたから、凄く食べてみたかったんです。確かに去年のよりも今年の方が、甘みが強いです。でも色は去年の皮の色の良かったです。いや、もしかしたら、運搬時に布などで光を遮断していなかったのもかしれません。ほら、こ・・こ・・あ、れ?」
えーと、私は何を答えているんだ?
お父様の青白い顔での、余計な事を!とバシバシと私を目で攻撃し、
やったな、的な得意気な顔の公爵子息と、
やってしまいましたね、的なアトラス王子とイグニス様の憐れみの顔に、
さあ、と血の気が引いた。




