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7 領主の処遇

 領主のソイゲント男爵が、私達に戦争を仕掛けてきた。

 さて、どうしようかな?


 う~ん、報復で暗殺するのは簡単なんだけど、貴族ほど高い身分の者が死ぬと、何か予想外の影響が出そうで怖い。

 たとえば領の運営が滞って、民の生活に影響が出るとか……。

 

 まあ、現状でも、魔物の群れの襲撃に対して何もしてくれなかったというのもあり、「領主なんていなくてもいいかな……」と、思わないでもないんだけど、いなくなったらなったで、領主の跡目争いで内乱……なんてことも有り得ない話では無い。


 ……領主に「女体化」をかけて、私の傀儡(かいらい)にする……っていうのは、周囲から見ても別人になってしまうから、領主の座を維持できるとは思えないし無理だよねぇ……。

 それじゃあ、男爵家の女性を操って領主の後継ぎにする……というのは、領主の家族構成なんて調べないと分からないから適任も判断できないし、今はそんな悠長なことをしている暇も無い。


 そもそも女性が領主になるのって、結構難しいんじゃないかな……。

 この世界、まだ男尊女卑が激しいもの。

 クリーセェ様も、それで苦労していそうだ。


 はぁ……いっそ領主に直接会ってから、決めようかな?


「はーい、遊びに来たでーす!」


「あっ、カプリちゃん、ようやく来た。

 これから引っ越しする予定なんだけど、手伝ってくれる?

 ランガスタ伯爵領って、ちょっと遠い所だから、カプリちゃんの転移魔法に頼らせてほしいんだ」


「おー引っ越しですか、いーですよー」


「あ、その前に用事があるから、それも手伝ってくれる?」


「マルルのお願いなら、なんでも聞きますよー。

 でも、美味しいディナーが食べたいでーす!」


「分かったよ。

 ティティ、お願いね」


『かしこまりました』


 それじゃあティティの料理ができるまでに、片付けようかな。

 朝飯前ならぬ夕飯前だ。




 え~と領主は、町長の屋敷に滞在しているんだっけ?

 しかし町長の屋敷に行ってみると、「万能感知」で察知できた人の気配が明らかに少ない。

 領主なのだから、護衛や召し使いを、十数人以上伴っているはずだ。

 実際、あの晩餐会の場では、10人近い騎士が領主の護衛に付いていたのを私は見ている。

 それらの人間の気配がまったく無いのだ。


 どれ……最近「透明化」と「気配隠蔽」のスキルを組み合わせて生み出した、「完全隠蔽」を使って町長の屋敷の敷地内に忍び込んでみよう。

 ふむ……領主が乗ってきたはずの馬車が無いな。

 馬もいない。


 ……襲撃の失敗を悟って、逃げたか!

 ちっ、屋敷から拉致して、じっくりと話し合おう(・・・・・)と思っていたのに……。

 逃げるくらいなら、最初から喧嘩なんて売らないでよ……。


 仕方がない、取りあえず追うか。

 私は一旦家に戻って、待機させていたカプリちゃんと合流する。


「カプリちゃん、ちょっと背中に乗せて運んでくれるかな?

 空からの方が捜しやすいと思うんだ」


「いいですよー」


「グゥ!」


『ん!』


 おや? クルルとキララが駆け寄ってきた。 


「二人も行きたいの?

 いいよ、行こう」


 それから私達は町の外へ転移し、竜の姿になったカプリちゃんの背中に乗って出発する。

 町の中から上位竜が飛び立ったら、大騒ぎになるからね。


 そして上空から道を辿って、領主を追う。

 領主が普段住んでいる領都へと続く道は、数十km先まで一本道らしいから、カプリちゃんの速度ならばすぐに追いつくはずだし、見失うということも有り得ないだろう。

 転移魔法でも使われてしまえば別だけど、馬車や数十人の人間を、同時に長距離転移させるのは、私でもまだ魔力不足になって無理だから、その可能性は考えなくてもいい。


 お、見えてきた。

 三台の馬車と、馬に乗った騎士の隊列が見える。

 領主が乗っている馬車は、真ん中の豪華な装飾がしてあるのかな?

 貴族の体裁もあるんだろうけれど、こうやって特定されやすいのって、防犯上どうなんだろうねぇ……。

 私がその気になれば、魔法を撃ち込んでそれで終わりだ。


 まあ、そんなに簡単に終わらせるつもりはないけれど。


「カプリちゃん、あの列の背後で道を塞いでいて。

 私達は、前から仕掛けるから」


『はーい』


 私達は「空中浮揚」で、ゆっくりと隊列の先頭に降り立った。


「何者だ!

 ソイゲント男爵閣下の、馬車と知っての狼藉か!?

 その行く手を阻むとは、万死に値するぞ!!」


「勿論知っていますよ。

 領主様に用があるので、出してください」


「無礼者がっ!!」


 騎士や兵士が剣を抜くが──、


「ガオオオォォォォォォォォォォォォォォ──っ!!」


「ひっ……!?」


 私の背後で巨大化したクルルが、後ろ足で立ち上がって吠える。

 それを見た騎士達は、(ひる)んで硬直した。

 更に──、


「うわっ、キラービー!?

 大きいっ……!!」


 キララが大きな羽音を立てて、隊列を囲むように飛び回った。

 羽音だけでもかなりの威嚇効果があるけど、飛ぶスピードもかなりのものだ。

 彼らには複数のキララがいるかのごとく、錯覚しているかもしれない。


「用があるのは領主様だけだから、死にたくない人はそのまま動かない方がいいよ?」


 ……いかんな、悪役みたいなセリフだ。

 まあ、彼らから見れば、今の私達はテロリストそのものなんだろうけれどさ。

 いつも応援ありがとうございます。

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