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12 遺跡のダンジョン

 遺跡の前には5匹のゴブリンがいた。

 見張りかな?

 

 でも、カプリちゃんが近くに着陸しても気付かないとか、見張りの意味があるのだろうか?

 まあまだ昼だし、陽光が苦手なゴブリン達が居眠りしているのも、仕方がないのかもしれないけれど……。

 

 でもこれで、敵の残党がここに逃げ込んだのは確定だと思う。

 ただ、我が感知のスキルでは、遺跡の中はよく分からなかった。

 なんというか、気配が渦巻いていているというか……。

 たぶん狭い所に、沢山の魔物がひしめいているからだと思うけど、何か強い存在がいるからだという可能性もあるね……。


 それはさておき、これから遺跡に突入する訳だけど……、


「あれは私にやらせください、ご主人!」


 ラヴェンダが、見張りの排除を申し出た。

 私にいいところ見せたいようだ。


「うん、じゃあ任せるね」


「はい、それでは!」


 ラヴェンダは腰のベルトに差していた投げナイフを抜き、ゴブリン目掛けて投げつける。

 彼女は「投擲」と「即死突き」のスキルを持っているから、そのナイフはゴブリンの(ひたい)に突き刺さり、そのまま一撃で倒してしまった。


 そしてそのナイフは勝手にゴブリンの額から抜け、次の標的に向かって飛ぶ。

 なにあれ、ナイフを遠隔操作しているの!?

 あ、ラヴェンダの指や腕が、何かを操るように動いているね。

 それに彼女の指先から、何か細いものが──ああ、これは「操糸」のスキルか。

 糸を魔力で操る術だとは思っていたけど、こういう使い方をするんだ。


 ほどなくして、見張りのゴブリンは全滅した。

 さすが「暗殺術」のギフト持ちのラヴェンダ。

 実にいい仕事をする。

 敵にすると怖いけど、仲間だと心強い。

 

 その本人だけど、私の方をみて凄いどや顔だ。

 ああ、褒めて欲しそう……。


「はーい、よくやったねー!」


「きゅーん」

 

 私はラヴェンダの頭を、ワシャワシャと撫でてあげる。

 そしてこういう時は、クルルとカプリちゃんも撫でて欲しがるだろうな……と思っていたら、やっぱり頭を向けてきた。


 よーし、ついでだ。

 みんな撫でてあげよう。

 え、キララも?

 はいはい。


 ……こういうことをしている場合じゃ、ないような気もするんだけどなぁ……。


 さて、みんなの頭を一通り撫でたら、遺跡に突入する。

 入り口をくぐると広間があり、そこには数百人は入れそうだった。

 しかしここでは、魔物の姿は見当たらない。


 う~ん、もっと魔物がひしめいていると思ったんだけど……。

 だけどここにくるまでの道中でも、100匹以上の魔物が力尽きていたのを見たし、帰還できた魔物は意外と多くなかったのかもしれないな……。

 ここへ辿り着いた生き残りがいるとしたら、もっと奥なのかな?


「カプリちゃん、この前に憶えてもらった、お姉ちゃんの気配は分かる?」


「う~ん、色々と気配が混ざっていて、ちょっと分からないでーす」


 そうか……「万能感知」のスキルを持つ彼女でも、限度があるか……。

 そもそもカプリちゃんは大雑把な性格だし、大きな力をを精密に運用できているかというと、微妙なところがあるからなぁ……。 


「そう……。

 それなら、近くにいる敵の存在を感知できる?」


 オークやゴブリンがお姉ちゃんの居場所を知っているとは思えないけれど、邪魔な気配を消して行けば、お姉ちゃんの居場所は特定しやすくなるだろう。

 地道な作業だけど、今はそれしか手段が無いかな?。


「それならば、分かりますよー!

 こっちでーす!」


 と、カプリちゃんは、遺跡の奥へと進んでいくが──、


「あっ、そっちは──」


 ラヴェンダが何かを言いかけたその瞬間、


「ホワ──イっっっっ!?」


 カプリちゃんの足下にある床が開いて、そこに生じた穴に彼女は吸い込まれていった。


「罠があるって、言おうとしたのですが……」


「ええぇ……罠があるの?

 じゃあ、ラヴェンダに調べてもらいながら、進むしかないね」


「はい、お任せを!

 冒険者をやっていた時、こういうのを見つけるは得意だったんですよ!」


 なお、(ドラゴン)のカプリちゃんが、落とし穴程度でどうにかなるとは思っていないので、心配はしていない。

 事実、いつの間にかしれっと戻ってきていたし……。


 ただ、私達がその罠にひっかかった場合、致命的なダメージを受ける可能性があるので、慎重に進む必要がある。

 ここはラヴェンダ頼みになるね……。


「あちらから魔物の臭いがするので、こちらだと思います」


 ラヴェンダは犬型獣人だから、臭いを追跡することもできる。

 私はそこにも期待したい。


「ねえ、お姉ちゃんの匂いを、嗅ぎ分けられる?

 姉妹(しまい)だから、私と似ているなんてことはないかなぁ?」


「ご主人と?

 じゃあ、参考までにご主人の匂いを、()いでもいいですか?」


「え……まあいいけど」


「では、遠慮無く」


 私の許可を得たラヴェンダは、私の全身に鼻を近づけて嗅ぎ回る。

 ちょっ、私の股間に鼻を突っ込もうとしないの、この駄犬っ!!


「あっ、向こうから、微かに似た匂いを感じるような……」


「分かったの!?

 それじゃあ、追跡をお願い!」


 さっきの「駄犬」は訂正!

 やっぱり名犬だよ、ラヴェンダ!

 明日は用事があるので、お休みします。明後日は……なんとか間に合うように努力します。

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