5 親密度を上げよう
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私が授かった謎のギフト『百合』──。
その中に「親密度」という項目が出現した。
これはどうすれば上がるのかな?
まあ、親密になれば上がると思うので、お姉ちゃんに対して抱きつくなどのスキンシップをとってみた。
「こら、マルル!
くすぐったい!
あはは、あちこち撫で回すな!」
「お姉ちゃんの肌、やわらかくて気持ちいい~!」
お姉ちゃんって、凄く力があるはずなのに、身体を触ってみると、筋肉の感触はそれほどしなくて、結構プニプニしているんだよね。
特に胸が……おおぅ、ペタンコの私と違って、そこそこある……!
とにかく力は、純粋な筋力で発揮されている訳ではないのだろう。
さすが異世界パワー。
そしてステータスを確認してみると──、
あ、やっぱり親密度が59%から61%に上がっている。
とにかく親しくなればいいんだな。
ふむ……上げ方は分かったけど、上げることのメリットはなんなのだろうね?
勿論、お姉ちゃんが今よりも私のことを好きになれば、更に優しくなってくれるとは思うんだけど、それについては現状でも満足だと感じている。
まあ、結局親密度を上げてみないと、これ以上のメリットの有無は見えてこないなぁ……。
そんな訳でコツコツと親密度を上げていき、70%を超えた頃──。
「それじゃあ、狩りに行ってくるね。
マルル、あまりサボっているところを他の人に見られないように、気をつけるんだよ?」
「うん、お姉ちゃんも怪我しないようにね。
いってらっしゃい」
いつものようにお姉ちゃんを送り出す。
お姉ちゃんは親密度が上がったおかげなのか、私の話をよく聞いてくれるようになっていた。
その結果、必要以上に農作業で頑張っても無駄だという私の考え方にも理解を示し、私がサボっていてもお小言を言わなくなるという、大変ありがたい状態になっている。
ただ、お姉ちゃんは、私の言葉を鵜呑みにするのではなく、
「マルルの考えは分かったけど、他の人がそれを全部理解してくれるとは限らない。
そういう人から見れば、マルルは怠け者のろくでなしだと思われるかもしれないんだよ。
だからせめて他人の前では、ちゃんと働いているように見せなさいね」
と、苦言も呈してくれた。
うん、世間体というやつだね。
なるほど……。
親密度を上げたとしても、私に絶対服従で甘やかしてくれるという訳ではないようだ。
まあ私もちやほやされて傲慢になった結果、色々なところに敵を作って身を滅ぼしたい訳じゃないから、それでいいけどね……。
で、今日も必要最低限の農作業をやったあと、日課のステータス確認だ。
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・マルル 12歳 女 LV・3
・職業 農民
・生命力 32/32
・魔 力 47/47
・ 力 20
・耐 久 22
・知 力 61
・体 力 38
・速 度 27
・器 用 17
・ 運 45
・ギフト 百合
親密度 アルル 73%
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あれっ!?
何もしていないのにレベルが上がっている!?
レベルアップに必要な、生き物を殺すことで得られる「吸収値」──。
それはまったくは稼いでいななかったはずなのに……。
う~ん、なんでだろ?
でもこういう謎の変化の原因って、大抵『百合』だよね?
その関係だと、お姉ちゃんが何かやったってことかな?
実際その予想は正解だったようで、その後も何度か勝手にレベルが上がったけど、その時は決まってお姉ちゃんが狩りで大物を仕留めた時だった。
これはお姉ちゃんが得た「吸収値」が、私にも分配されている!?
凄いじゃん!!
これなら親密度が高い人を増やしていけば、何もしなくてもどんどんレベルが上がって、最強になれるんじゃないの!?
マジでチート能力でしょ、『百合』って!!
私は浮かれていた。
そして以前にも増して、お姉ちゃんとの親密度を更に上げる為に、スキンシップなどを行った。
これは100%になったら、かなり凄いボーナスが付く可能性もあるんじゃないかな?
そして親密度が80%を超えた時、
「あれっ、お姉ちゃんのステータスが見える!?」
私のステータス画面から、お姉ちゃんのも閲覧できるようになっていた。