3 売買契約
なんかステータスの中に、知らない名前が増えているんだけど……。
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親密度 クルル 100%
カトラ 100%
エルシィ 100%
従属度 ラヴェンダ 92%
同盟度 キラ 88%
ケヴィン 53%
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この「ケヴィン」ってのは、キャロルさんの本名だよね……?
親密度のカテゴリーに入っていないということは、100%になっても性的に襲われるなんてことはないのかもしれない。
まあ、いくら精神的には女の人でも、今更肉体的に男の人と身体の関係になるつもりは無いし、その方がいいか。
おそらく100%になったら、絶対に裏切られることのない同盟関係が成立するのだろう。
よし、そういうことなら、同盟度は遠慮無く上げていこう。
それにしても、精神的に女性なら、『百合』は効くんだ……。
逆に精神が男性で、身体が女性の場合はどうなんだろう……?
まあ、それはいずれ分かることだから、今は目の前の商談だ。
「あの……この蜂の巣を使って、新商品を作りませんか?」
「あら、蜂の巣で?
普通の蜂の巣から、蝋燭が作れると聞いたことがあるけど、そうではなくて?」
「唇に塗って、乾くのを防ぐクリームです。
冬場は唇が割れて、出血することがありますよね?
あれを予防することができると思います。
その他にも手に使ったり、色をつければ化粧にも使えたりするはずです。
一緒に開発してみませんか?」
「へぇ……」
キャロルさんは、興味を示した。
確か蜜蝋からは、リップクリームとかが作れるはずだ。
作り方はチョコレートのように湯煎で溶かして、植物性の油を混ぜてから冷やして固めるだけだったような気がする。
こればかりは実際に作ってみないと商品化できるか分からないし、この世界にも既に似たような物が存在している可能性もあるけれど、原材料がキラービーの巣だというだけでも、付加価値はあるはずだ。
「面白そうな話ね。
店の奥で、詳しく聞かせてくれないかしら?」
「いいですよ」
その後私達は、色々と話し合った。
私には前世の記憶があるけど、何をどうすればどれが作れるのか……というような知識はあまりない。
それでも今後どういう商品が流行りそうだとか、そういう意見を出すことはできる。
実際に前世で流行ったものを挙げていけば、どれかが当たるはずだ。
そういう情報を、キャロルさんは楽しげに聞いていた。
すると彼女との同盟度は、あっという間にステータスまで確認できるほどに上がる。
どれどれ……。
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・ケヴィン 31歳 女? LV・31
・職業 商人
・生命力 314/314
・魔 力 203/203
・ 力 311
・耐 久 279
・知 力 139
・体 力 315
・速 度 174
・器 用 182
・ 運 123
・ギフト 鉄拳
・スキル
金剛身体
鉄 破 拳
集 気 法
鉄潰蹴り
高速計算
話 術
美 容 法
上流作法
工 芸
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あれっ、結構強いんだけど!?
そして商人らしからぬ、武闘派スキルの数々が……。
これ、どちらかというと、格闘家とかそっちの方でしょ……。
「キャロルさん、昔冒険者をやっていましたか?」
「あら、よく分かったわねぇ?」
あ、やっぱり……。
でも、これだけ強ければ、万が一蜂蜜の秘密を知ろうとした者に襲われたとしても、返り討ちにできそうだな……。
そういう意味でも安心だ。
ともかく、これから商品開発とか色々とある訳だけど、私は冒険者の仕事があるし、キャロルさんだって本業がある。
こうなると事業を手伝ってくれる、従業員が欲しいところだね。
それも私の『百合』の支配下に入って、絶対に裏切らない者が。
「まだ仕事ができる状態なのかは分かりませんが、オークに襲われた私の村の生き残りを雇うつもりはありませんか?」
「どういうこと……?」
私は滅びた村について説明する。
そしてその生き残りが、大変悲惨な状況にあることも。
キャロルさんは、同情的に話を聞いていたけれど……。
「そうね、信用ができて能力的に問題が無いのならば、雇うのもいいかもしれないわね」
OKが出た。
それじゃあ、隣村の村長に預けていた人達を引き取りに行こうかな。
そして親交を深めて、親密度や隷属度を高めれば、裏切ることの無い従業員の完成だ。
なお、彼女達の住む場所などを準備しなければならないけれど、巣箱がキャロルさんに金貨5枚で売れたので資金はある。
金貨1枚は銀貨20枚相当で、日本円にすれば15万円くらいかな?
つまり合計で75万円前後だ。
これだけあれば、準備資金としては十分だろう。
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