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1 取り引きの準備

 新章開始です。

「ふ~……」


 昨晩はエルシィさんとカトラさんの2人がかりで可愛がられてしまったけれど、今朝は屋外でクルルに全裸にされて全身を舐め回されるという大事故が発生したので、昨晩の余韻は全部吹っ飛んでしまった。


 ……まあ、そのおかげで、エルシィさんとカトラさんの顔を、照れることも無く落ち着いて見ることができる。

 そんな訳で、起き出した2人にラヴェンダを加えて食事を摂った後、今後の方針を話し合うことにした。


「こういうことがあった以上、キラービーの蜂蜜は斡旋所経由ではなく、信用できる商人に直接納品した方がいいと思うんですが……」


「そうだな」


「それがいいと思います」


 2人から反対意見が出ないということは、斡旋所を通さない取り引きでも特に問題は無いということなのだろう。

 問題があるとすれば、どの商人と取り引きするかだが……。


「信用できる商人を知りませんか?

 できれば女性の方がいいです」


 女性の商人ならば、『百合』の効果で私を裏切ることは無いと思う。

 ただ、この世界での女性の地位はまだ低いみたいなので、男性社会の中で女性の商人が生き残っていくのは難しいかもしれない。

 都合のいい人材は、なかなか見つからないかも……。


「心当たりは……無いこともないな」


 心当たり、あるの!?


「まあ……その……ちょっと、マルルちゃんの希望する条件と合致しているのかは微妙ですが……」


 なにその、もったいぶった言い方……?


「とにかく、会ってみましょうか……。

 でも、取り引きする品の現物があった方が、いいですよね……?」


 そんな訳で、まずは蜂達に頼んだ蜜の採取がどの程度進んでいるのか、それを確認しに行くことにした。




「わ、もう溜まっている」


 蜂の巣のところに設置した巣箱を確認すると、巣箱を設置してから数日で、ある程度の量が集まっていた。

 蜂達が頑張ってくれたようだ。


「ありがとー、みんなー!

 これ、お礼ね」


 私は蜂の巣の前に、買ってきた果物を切って(そな)える。

 前世でスズメバチが樹液や果物に集まってくるという話を聞いたことがあるので、お礼なら果汁でも良いんじゃないかな?……と、思って持ってきた。

 まあ、キラービーが好むかどうかは、ちょっと分からないけど……。


 お、みんな(蜂達)が果物に群がっていく。

 喜んでくれているようだ。

 親密度も上がったかな?


───────────────

  親密度 クルル   100%

      カトラ   100%

      エルシィ  100%

  従属度 ラヴェンダ 92%

  同盟度 蜂の巣   84%

───────────────


 ……って? おおっ!?

 いつの間にか「同盟度」ってのが増えて、蜂達がそっちの方にカテゴライズされている。

 まあ、蜂達とは仲が良いとは言っても、生物的に超えられない壁があるから、恋愛対象にはならないもんなぁ。

 お互いに利用し合う共生関係──まさに同盟と言うのがしっくりくる。 


 そして同盟度は、既にステータスが見られるほど上がっていた。

 やはり動物の雌には、『百合』の効果が大きいようだ。

 

 なお、表示されるのは、女王蜂だけってことになるみたい。

 蜂は女王を頂点とした社会を形成しており、女王抜きでは存在できない為、『百合』の基準ではひとつの巣が1個の生物という扱いになっているようだ。

 結果、巣を代表して、女王蜂のステータスが表示されているらしい。 

 

で、そのステータスだが……、


 ───────────────

 ・蜂の巣 3歳 雌 LV・28

 ・職業 女王蜂

 

 ・生命力 396/396

 ・魔 力 234/234

 

 ・ 力  184

 ・耐 久 221

 ・知 力 85

 ・体 力 317

 ・速 度 298

 ・器 用 56

 ・ 運  82


 ・ギフト ──

 ・スキル

      絶対命令

      眷属強化

      高速飛行

      猛毒生成

      視覚共有

      念  話

      毒 無 効

      風  刃

───────────────


 ……これである。

 クルルに匹敵する強さだ。


 しかもこれ、女王蜂単体の強さであって、巣全体の強さとなると、どれだけのレベルになるのか想像もできない。

 これが私の同盟関係になったとなると、蜂達の力を借りれば、もう敵が数百単位になっても勝てそうだな……。


 で、女王蜂が持っているスキルだけど、気になるのは「高速飛行」。

 これは飛行魔法を習得しないと、使い道が無さそうだ……。

 「自然操作」を工夫すれば、どうにかなるかな?

 このスキルがコピーできるようになるまで、練習しておこう。


 それと「視覚共有」と「念話」は、是非とも欲しいところだね。

 たぶんこれは、遠く離れた場所にいる仲間の見た物が把握でき、そして会話もできるというものだろう。

 もしかしたら、クルルとだって会話できるかもしれない。


 クルルは別行動を取ることが多いから、これがあれば寂しい想いをさせなくても済みそうだな……。


 あ、女王蜂……というか、この巣にも名前をつけてあげなきゃ。

 何がいいかな……?

 キラービーだから、「キラ」……とか?


「ねえ、君達のことを、これからはキラって呼んでいいかな?」


 あ、いいようだ。

 私の周囲をクルクルと、楽しげに飛び回っている。


 ……さて、それじゃあ、蜂蜜を回収していくか。

 確か巣も(ろう)とかの材料になるはずだから、箱ごと持っていこうかな?

 これを空間収納に入れて……それから新しい箱を設置すれば完了だ。


 で、町に戻ったら、早速(くだん)の商人がいるという店に行ってみよう。

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