表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/206

20 巨木荒ぶる

 私を追ってきたというアイーシャさんだけど、領都からここまではかなり距離があるよ?

 感覚的には100kmくらい。

 

 勿論、残してきた眷属達に具体的なエルフの里までの道順なんか教えていないし、彼女らに聞いても手がかりなんて無かったはずだ。

 しかもつい先程までは、世界樹の結界の所為で、この場所に近づくことすらはほぼ不可能だった。


「どうやって追ってきたのさ……」


「それはマルル様の、(かす)かな残り香を追って……」


「いやいやいや……」


 そんなの犬型獣人のラヴェンダでも、できないよ!?

 途中で転移も挟んでいるんだから、臭いなんて残るはずが無い。

 まあ……魔力の痕跡とかなら、あるいは少しくらい残っているかもしれないけれど、普通はそれを追うことだって難しい。


 ……可能性があるとすれば、スキル「直感」かな……。

 勘に頼って、道順の選択肢を常に正解し続ければ、あるいはここまで到達できるかもしれない……けれど、なんだその奇跡!?

 森の中の道なき道──その選択肢なんて無限にあるんだし、その中から正解を引き当て続ける確率なんて、(ゼロ)にも等しいだろうに……。

 聖女様、女神様に愛されすぎでしょ……。


 でも、このアイーシャさんの参戦は、正直言って大助かりなのも事実だ。


「うん、理解が及ばないところはあるけど、助かったよアイーシャさん!

 ありがとう!!」


「マルル様のお役に立てたのならば、身に余る光栄でございます」

 

 アイーシャさんの力があれば、亡者達を全て消し去ることも、そんなに先の話ではないだろう。

 事実、先程までの苦戦が嘘のように、形成が逆転した。

 そしてついに亡者達を駆逐した頃──。


「クルル!」


 クルルが世界樹の根に絡みつかれて、締め上げられている。

 まあ、元のサイズに戻れば、あっさりと抜け出せるんだけどね。

 しかしクルルでも、さすがに世界樹は倒せなかったか……。


 幹には無数の爪痕が残っているけれど、それも少しずつ(ふさ)がってきているようだ。

 再生能力があるの!?

 しかも頭上から、何か嫌な気配を感じる。


「みんな、上に気をつけて!」


 私がそう叫びつつ、「万能障壁」を展開した瞬間、上から何かが降ってきた。

 それらは次々に、地面へと突き刺さっていく。


「葉っぱ!?」


 そう、それは世界樹の葉だった。

 確かに植物の中には、葉の(ふち)が刃物のように鋭いものもあるし、サボテンのトゲだって元々は葉が変化したものだ。

 葉が武器になるというのも、有り得ない話では無い。

 

 でも、地面に突き刺さるって、どんな硬度と重量があるのさ!?

 これの直撃はちょっとヤバイぞ。

 高層ビルから、ガラスの破片が降ってくるようなものだ。


 たぶんレベルが高い人間ならば、葉の1枚1枚は耐えられるだろうけれど、巨大な世界樹には数万もの葉が(しげ)っていることだろう。

 それが雨のように降り注ぐと、いつまで耐えられるのかちょっと分からない。


 いや──、


「下からも来るっ!!」


「うおっ!?」

 

 今度は地面からも根が飛び出し、私達へ襲いかかってくる。

 その太い根は大蛇のようにうねり、のたうち回った。

 それが何十本とあり、しかも地中でも動き回っているらしいので、周囲の地面はまるで時化(しけ)の海のように波打っている。


 これでは空中浮遊系のスキルを持っていない者は、直立状態を維持することすら難しい。

 最悪の場合、倒れたところを巨大な根に押し潰される──なんてことも有り得る。

 今この場にいる者の中で該当するのは──、


「クルルは安全な場所まで下がって!

 アイーシャさんは、こっちに!」


 私はアイーシャさんを抱きかかえて、空中に浮かび上がる。

 運動能力が高いクルルはともかく、彼女は完全に身動きがとれなくなっていた。


「ふへへ……マルル様と密着して……。

 甘い体臭が……」


 ……落とそうかな、この性女。


「それよりもアイーシャさん、あの木を浄化できる?」


 あの世界樹が魔物化したのも、瘴気を大量に吸収した所為だ。

 それならば、浄化魔法も効くはずだけど……。

 一応エルフにとって大切な木っぽいから、破壊せずに残してやりたい気持ちもある。

 勿論、今まで通りの、誰かを犠牲にするような使い方は許さないけれどね。


「やってみましょう。

 『大聖界』……!!」


 眩い光が世界樹を照らす。

 ──が、世界樹は激しく幹をうねらせ、根や枝を暴れさせた。

 多少は効いて、嫌がっているようにも見えるけれど、さっきよりも元気になっているようにも見える。

 

 ……光合成した?

 いや、まさかな。


「大きすぎて、あまり効いていないようでございますね……」


「う~ん、じゃあこういうのは?

 あのね──」


「それならば……」


 私のとある提案に、アイーシャさんは(うなづ)く。


「じゃあ、お姉ちゃん。

 アイーシャさんを預かってくれる?」


 と、私は抱えていたアイーシャさんを、お姉ちゃんに渡した。


「いいけど、マルルは?」


「あの世界樹に全力で攻撃するから、逃げていてね。

 キララもだよ」


 あの巨木を倒す為には、私の魔力を使い切る勢いでやらないと駄目だろうね。

 今の私の全力がどうなるのか、私自身も知らないので、ちょっと楽しみのような怖いような……。

 とにかく、全力でいくよ!

 ブックマーク・☆での評価・誤字報告・いいね・感想をありがとうございました! 応援に多謝!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] アイーシャさんちょっと変態ですけど、美女ならエロくても許されるのですwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ