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12 緑の迷宮

 朝になると私達は、エルフの里へ向かって出発した。

 ただ、その里で生活をしていたことがあるチエリーさんも、正確な位置は知らないらしい。

 なので彼女の朧気(おぼろげ)な記憶を頼りにして、深き森の中を進むことになる。


 とはいえ、それでエルフの里に辿り着けるとは、とても思えない。

 エルフの里はまさに隠れ里であり、他種族に対しては隠匿(いんとく)されているのだから──。


 となるとチエリーさんの言う通り、迎えが来るのを待つべきか?

 しかしそれも、相手に気付いてもらわなければ意味が無いし、かと言って目印に派手な魔法を打ち上げても、下手をすれば敵認定されてしまいそうだ……。

 森の平穏を乱すのは、できるだけ()けた方がいいよね……。


 取りあえず、自力でエルフの里に辿り着くことを目指してみよう。

 少なくとも、できるだけ里に近づかなければ、話にならない。

 それ以外の手段を使うのは、自力での到達を諦めてからだ。


 う~ん……それじゃあまずは、「万能感知」で、あえて魔力の流れがおかしいところを進んだ方がいいのかな?

 エルフが頻繁に行き来している道ならば、どんなに足跡などの痕跡を消していたとしても、何かしらの魔力の残滓(ざんし)があるかもしれない。


 あるいは「直感」で、気の向くままに進む?

 それとも、他になにか良いスキルは──、


「──っ!?」


「どうした、マルル?」


「いや、なんでもないよ、お姉ちゃん……」


 そう誤魔化しつつ、私はキララの方をチラリと見た。


 ……いつの間にか従属度リストの中に、「キララ4」ってのが増えている……。

 また「分裂」したの!?

 そして昨晩の内に、何処かに新しい巣を作ったってこと……?

 キララ4だけで巣を作って卵を産むまでには時間がかかるように思えるけれど、実際には「眷属召喚」も使えるから、働き蜂を呼んで既に大きな群れになっている可能性もあるな……。

 

 将来的には、エルフの監視に使えるかも……。

 というか、キララもそのつもりだよね?

 現時点ではまだ、敵対する可能性もあるからねぇ……。


 まあ、実際にエルフに会ってみなければ、どうなるのかは分からないけれどさ。

 その為にも、まずはエルフの里に辿り着かないと……。


「──って、あれっ!?

 お姉ちゃんがいない!?

 キララやチエリーさんも!?」


「グゥ……?」

 

 私を乗せていたクルルはいるけど、その他の全員とはぐれていた。

 ええぇ……同じ道を歩いていたはずだよねぇ……?

 エルフの術中にハマった?

 確かに正しい道順で進まないと、エルフの里には辿り着けないとは聞いていたけど、こんな数歩の差ではぐれるレベルなの!?


 漫画か何かで、こういうシチュエーションを見た経験があるし、客観的に「すぐ隣にいる人間がいなくなるのに、気付かないなんてことある?」なんて思っていたけど、実際に経験してみると、事前に察知して対策することなんてできないものだねぇ……。


 しかしこのまま離ればなれになって、チエリーさんだけエルフに連れ去られる──なんてことになっても困る。

 これは今すぐにでも合流しないと……!


「ほい、眷属召喚!」


「あ……あれ?」


「オラ……一体……?」


『ん!』


 よし、合流できた。


「どうやらちょっと離れただけでもはぐれてしまうような術が、森にかかっています。

 お互いの身体(からだ)を、ロープで結んで進みましょう」


「その方が良さそうだね……」


 なかなか面倒臭い森だなぁ、ここ……。

 ただ、面倒臭いことになったと感じているのは、私達だけではなかったようだ。

 それが分かったのは、半日ほど経過した頃だった。


「よかったですね、チエリーさんの『植物交信』が道を知る手がかりになって」


「そうだべな。

 まさか木々が道を知っているとは、思わなかったべよ」


 道順が常に変化していたらお手上げだったけれど、実際には固定されており、それを草木が憶えていた。

 まあ、植物は動けないので、道順の全容を把握してはいないんだけど、「通りかかったエルフがどちらへ行った」という程度のことは知っていたのだ。

 

 いや、植物に心や記憶があるってのは変な感じだけど、実際にはそこに宿った精霊や妖精が──ってことらしい。

 彼らは宿った植物と共生しており、植物がなければ生きていけないので、ある意味同一の存在なのだという。

 チエリーさんの能力は、そんな彼らと交信できる。


 うん、この調子ならば、確実にエルフの里には辿り着くことができる。

 ……そのはずだったのだが……。


「チエリーさん、止まって!」


「え?」


 私の声で振り向いたチエリーさんの足下に、「ザクっ」と何かが突き刺さる。


「……え?」


 そこには、1本の矢が突き刺さっていた。


「ひえぇ……!?」


 転げるように後退(あとずさ)るチエリーさん。

 そんな彼女に、声がかけられた。

 それも上の方──大木の枝の上からだ。


「二度と来るなって、言ったでしょ……?」


 そこには、まだ若い……のかな?

 少なくともまだ十代の少女に見える、エルフの姿があった。

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