表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
145/206

8 エルフさん強化計画

 チエリーさんと話していると、ある事実が判明した。 


「え、チエリーさんって、まだギフトを授かってないの?」


「んだ……。

 お金が無かったでよ……」


 教団に寄進しないと、ギフトを授かる為の儀式をしてくれないもんねぇ……。

 しかし──、


「じゃあ、私が儀式をしてあげるよ!」

 

 今や私にかかれば、無料でギフトを入手できますよ!

 アイーシャさんからコピーした「天啓」のスキルを使えば、私でも儀式は行えるからだ。


「え……マルルさん、教団の人だっただか……?」


「知り合いがいるだけだよ。

 その人からやり方を教えてもらったの」


「ほぁ~……(すんご)いなぁ」


 そんな訳で、ぱっぱと儀式をやってしまおう。

 私は教団の信者ではないから、正式な儀式の作法なんて知らないし、こだわりも無いのでテキトーにしちゃうよ!


「どう?

 お告げはあった?」


「ああ……『緑の守護者』ってのが、伝わってきただよ」


 チエリーさんは初めての経験に興奮したのか、耳をピコピコ動かしながら答えた。

 くっ……可愛い!


 それにしても、なんだか凄そうなのが出たね。

 それを所持した状態でレベルアップをしたら、レアスキルが手に入りそうだ。


「チエリーさん、これからちょっと森で狩りをしにいきませんか?」


「え……?

 今からじゃ、あんまり時間が無いんじゃ……?」


「『転移』の魔法があるので、そうでもないです。

 それに見せたいものをあるし」


「『転移』を……。

 そういうことなら……」


 そんな訳で、チエリーさんを連れて森へ行くことにする。

 今回はいきなり花畑へと転移した。


「ここは……?」


「キララの仲間の為に、作った花畑だよ。

 チエリーさんなら植物に詳しそうだし、良かったらここの管理も手伝って欲しいかなぁ……って」


「ああ……あの大きな蜂の……」

 

 森で育って虫に慣れているであろうチエリーさんでも、さすがにキララの恐ろしさは理解できるのか、ちょっと口元を引き攣らせていた。

 でも畑を見ると、すぐに真剣な顔になる。


「どうかな、苗の状態?」


「……なんだべ、これ……?

 ちょっと苗が疲れているだよ……。

 肥料をやった方がいいべ」


「ああ、私が急成長させちゃった所為かな?」


 確かに苗が(しお)れているように見える。

 低い気温の所為かと思ったけど、どうやら違うらしい。

 それをすぐ見抜くとは、さすがはエルフだ。


「そんなこと、できるべか!?」


 チエリーさんは驚くけれど、私の「自然支配」を解除できた彼女ならば、おそらく同じことができるはずだ。


「でも、肥料とは言っても、すぐには用意できないなぁ。

 う~ん、回復魔法の要領で、魔力や気を畑に流してみたらどうだろう?

 どうですかね、チエリーさん?」

 

 魔力や気は人の生命活動にも少なからず必要なものだから、それが充実していると怪我や体力の回復も早い。

 だから植物にも、有効なんじゃないかな?

 そもそも「自然支配」で急成長させた時も、それらを使っていたと思う。


「う~ん……どうだべか……?

 ちょっとやってみるべ」


 チエリーさんは土に触れて、魔力と気を送る。

 ただ、肥料でも多すぎれば植物が枯れるように、多くを与えすぎてはいけない。

 彼女はそれを理解しているのか、繊細な力加減で少しずつ……少しずつ、土に力を与えていく。


 ……心なしか、萎れていた苗が真っ直ぐになったような気がする!


「おお……元気になったべ!」


 どうやら成功したようだ。

 この技術を有効活用できれば、農業に大きな恩恵を与える可能性がある。

 そういう研究をする為の部門を作って、チエリーさんに任せるのもいいなぁ。


 その為にもチエリーさんとの「親密度」を上げつつ、彼女が何者かに狙われても自衛ができるように、レベルをあげなきゃね。


 という訳で、レベルアップの為の狩りを、早速始めよう!


「……あ、チエリーさん、お肉は大丈夫?

 食肉用の魔物を、狩ろうと思っているんだけど」


「オラ、肉は大好きだべ!」


 ああ……エルフって菜食主義者のイメージがあったけど、違うのか。

 それともハーフだから?

 とにかくそういうことならば、索敵にかかった大物を遠慮無く狙うことにしよう。


 で、2人で協力して狩りをした結果、親密度も上がってステータスを見ることができるようになったよ。


───────────────

 ・チエリー 52歳 女 LV・18

 ・職業 冒険者

 

 ・生命力 93/93

 ・魔 力 201/201

 

 ・ 力  73

 ・耐 久 84

 ・知 力 149

 ・体 力 98

 ・速 度 81

 ・器 用 85

 ・ 運  84


 ・ギフト 緑の守護者

 ・スキル

      植物交信

      必 中 弓

      照  明

      空間収納

      完全隠蔽

      万能強化

      万能耐性

      万能感知

      万能障壁

      無限再生

      魔力循環

      視覚共有

      自然支配

      守りの風

      快癒の風

      転  移

      直  感

      霊  感

      大 浄 化 

───────────────


 数値で言えば、初めて会った頃のカトラさんと、そんなに大きな違いは無い。

 エルフという種族の特性なのか、魔力や知力は高めな気がするけれど、特別強いというほどではなかった。

 

 ついでにスキルも「下賜(かし)」しておいた。

 今は「下賜」によって与えた「自然支配」に統合されているけど、元々は「植物支配」というスキルを持っていて、どうやらこれで私の「自然支配」を解除したようだ。

 

 また、攻撃魔法や耐性なども、私が与えた上位スキルに統合されているので、彼女が元々持っていたスキルは、「植物交信」と「必中弓」と「照明」しか残っていない。

 授かったギフトによって独自色が出てくるのは、まだまだこれからだろうね。


 取りあえず畑の状態を見抜いた「植物交信」はかなり使えそうなので、「直感」と「霊感」を組み合わせて能力を鍛えてもらおうと思う。

 上手くいけば植物や森に憑いている妖精や精霊と、交信できるようになるかもしれないし、それらを操ることによって、「森の中でならば最強」という存在が誕生するかも。


「さあ、狩りをしながら、色々と魔法を教えるからね!」


 「下賜」したスキルって、本人はステータスを見られないから、持っていることに気付かない場合も多いし、使い方を教えないと活用できないから、これからかなりの訓練が必要だ。


「お、お願いするだ!」


 でもチエリーさんもやる気はあるようで、これは期待できるね。

 いつも応援ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ