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4 序列を決めよう

 おかげさまで、副反応は落ち着きました。応援ありがとうございます。

 ラヴェンダが私に従っていることが不満な獣人達を納得させる為に、私は彼らに実力を示すことにした。

 これはその為に急遽行われることとなった、実戦訓練だ。


 私1人に対して、相手はラヴェンダを含めて7人。

 この一見不公平な戦力差に、獣人達は困惑気味だ。


「え……ご主人、本当にやるんですか?

 無茶ですよ」


 ラヴェンダの言葉に、獣人達は大きく(うなづ)く。

 しかし──、


「私達に勝ち目がありません」


「はあっ!?」


「そっち!?」


 そんなラヴェンダの言葉に、獣人達が驚愕する。


「あくまで訓練だから、思いっきりやろうよ。

 殺すつもりでさ」


「……もしかしてご主人、怒ってます?」


「……怒ってないよ?」


 少年とか、クソガキとか言われたけど、それでいちいち怒らないよ。

 ちょっとむかついたけど。

 ……本当だよ?


「くっ……分かりました。

 お前達、遠距離の魔法戦になったら絶対に勝ち目が無いから、間合いを詰めて近接戦闘を心がけろ!

 全力でかからないと、勝負にならないからな!」


 ラヴェンダの指示が飛ぶ。

 獣人達は訳が分からないという顔だったが、ラヴェンダには逆らえないのか、一斉に戦いの態勢を整えた。

 ただ、状況についていけない所為で迷いがあるらしく、その動きは鈍いね。


 じゃあ、動きやすいように、先制攻撃で危機感を煽るかな。


「なっ、草が!?」


 私は「自然支配」で雑草を操り、獣人達の足へと絡みつかせた。

 これは「自然支配」の使い方としては、無害な部類だと言っていい。

 その気になれば、地面から溶岩を吹き出させたり、空気を押しやって周囲を真空にしたり……等々と、その気になれば即死級の攻撃はいくらでもできる。


 まあ、消費魔力が多くて制御も難しいという問題もあるので、実際には「支配」ってほど何でもできる訳ではないけれど。

 少なくとも天変地異レベルの攻撃だと、連発はまだ(・・)難しい。


 いずれにしてもこれで獣人達は危機感を覚えたようで、私を見る目が変わった。

 身体能力に優れた獣人達は、足に絡みついた草からあっさりと抜けだし、私に向かってくる。

 いや、魔法使いっぽい子だけは筋力が足りないのか、抜け出すのに手間取っているけれど。

 

 さて、先頭は素早いネコ科系獣人の少年か。

 ……女の子だったら、眷属にしてモフったのに……。

 まあそれはさておき、その指先の爪を伸ばした攻撃は、素早さと鋭さこそあれど、威力は無いね。

 これなら色々な防御系のスキルを組み合わせて作った、「万能障壁」で(はじ)ける。


「ぐあっ!?」


 ああっ、爪が生え際から折れた……というか()がれた!?

 さすがに痛そうだから、後で回復魔法をかけてあげよう。


「こ……この!」

 

 次に猪型の獣人……かな?

 そいつが物凄い勢いで突進してくるけど、これは障壁に当たったらその衝撃で死にかねないな……。

 先にこちらから攻撃して、行動不能にさせるか。


 間合いを詰めて、お腹に一撃!


「ぶふっ!!」


 私の一撃で、猪型獣人はお腹を抱えて(うずくま)る。

 さあ、どんどんいくよー!

 各々(おのおの)の武器を振り上げて攻撃してくる獣人達を、私は次々に倒していった。

 ただし気絶させてしまっては、私の実力見せつけることができないので、意識は奪わないように気をつける。


「──!

 おっと」


 土魔法による石の弾丸が飛んできたので、私はそれを(かわ)す。

 術者は……ローブを(まと)った女の子かな?

 先程、足に絡まった草から抜け出すのに、苦労していた魔法使いだ。


 フードとローブの所為で耳や尻尾が見えないから、どんな種族なのかは分からないけれど、獣人の魔法使いってのは珍しい気がする。

 獣人はどちらかというと、高い身体能力を活かした戦い方をする者が多いらしいし、魔力や知力が特別高い訳でもないようだからね。


 それなのに彼女は、先程の場所からほぼ動いていないように見える。

 それにも関わらず、足に絡まっていたはずの草を引き違ったような形跡が見られなかった。

 まさか私の「自然支配」を解除した──?


「ひっ……!」


 私に視線を向けられた女の子は、(おび)えた表情を見せた。

 これから攻撃の標的になるのだから、当然の反応だろう。

 でも、いかにもひ弱そうな女の子の相手に、そんなに酷いことはしないよ。


 ただ、そんな私の考えは相手には伝わらないので、恐怖を振り払うように彼女は、連続して石の弾丸を撃ち込んでくる。

 ふむ……これは意外とレベルが高そうだな。

 私は「万能障壁」で攻撃を弾きながら、彼女に近づいて行く。

 で、私に注意を向けさせつつ──、


「きゃあぁっ!?」


 実際には「自然支配」で土を操り、彼女の足下を陥没させる。

 意表を突かれた彼女は、可愛らしい悲鳴を上げつつ穴に落ち、胸の辺りまで地面に埋まることになった。

 これで暫くの間は、身動きが取れないだろう。


 さあ、残るのはラヴェンダたけだが、彼女の姿は既に無い。

 たぶん「影移動」を使って、影の中に潜んでいるね。

 その時──、


「っ!?」


 何処からかナイフが飛んできた。

 しかしラヴェンダの姿は見当たらない。

 影の中から、直接投げた!?


 それからもあちらこちらの影の中から、ナイフが飛んでくるけれど、()けられないほどではない──と思ったが、避けたはずのナイフ達が、軌道を変えて襲いかかってくる。


 よく見たら、ナイフの(つか)に糸が結びつけてあった。

 これは「操糸」のスキルか!!

 それで鞭のように糸を操って、ナイフに不規則な動きを可能としている。

 

 う~ん、影の中から一方的に攻撃されるこの感じ……。

 敵にしたら厄介な能力だなぁ。

 さすがだよ、ラヴェンダ!!

 明日は用事があるので、更新は休みます。

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