25 罪状の確定
突然「聖光」のスキルを使用したアイーシャさん。
勿論、私の指示なのだが、本来は国王の前で許可も無くやっていいことではない。
なので、言い訳開始。
「私は教団より『聖女』の位を賜っております、アイーシャと申します。
緊急事態につき、突然の「奇跡」の使用をお許しください。
しかしご覧下さいませ!
邪悪を清める聖なる光に、どちらが苦しんでいるのかを!!」
今や精霊となったクレセンタ様に、浄化の光は効かない。
片やレイスが取り憑いたクレセンタ様の肉体は、光を浴びて苦しんでいる。
この事実を前にしては、レイスという魔物が城に侵入していたことは最早疑いようも無いだろう。
「畳み掛けて!!」
私の号令で、眷属達が「大浄化」をレイスに向けて使用する。
「ガアアァァァ──っ!!」
この一斉攻撃でレイスは悶え苦しむが、それでもしばらくの間は耐えた。
さすがは魔王候補と言ったところか。
だけどこの攻撃には、カプリちゃんも参加している。
彼女の膨大な魔力を使っての攻撃を受けては、いつまでも耐えられるものではないだろう。
「あ……あぁ……」
やがてクレセンタ様の身体は、弱々しく床に倒れ伏した。
レイスの気配は消えているけど、これで倒せたのかな……?
身体が残っているから安心できないけど、クレセンタ様のものだから残しておきたいし……。
う~ん、取りあえずアイーシャさんからコピーした、「聖域」のスキルで閉じ込めておこう。
これは「家守」と同様に、魔力の壁で防御する術だけど、相手を閉じ込めることもできる。
しかも「聖」の属性を持っているようだから、万が一レイスが動き出しても簡単には抜け出せないだろう。
さあ、一応レイスは片付いたので、残るは第2王子だけだが……。
それは国王の采配に任せるか。
もう第2王子と魔王軍との繋がりは、誰の目にも明らかだしね。
「……残念だ、エルナス。
余は我が息子を牢に入れ、処刑せねばならぬ」
ああ、死刑は確定か。
少なくともクレセンタ様の暗殺は事実だし、第1王子を暗殺した疑惑もあるしなぁ。
まあ、王侯貴族が暗殺という手段を使うのは珍しくないことなのかもしれないけれど、別にそれが公に許されている訳じゃない。
表沙汰になれば、罰せられるのは当然だ。
それ以前に国外の勢力と手を組んで、国に武力攻撃を企てた時点で、普通は極刑だろう。
「ご、誤解です、父上!!
これは私を失脚させようとする者の罠で……!!」
第2王子はこの期に及んでまだ、言い逃れをしようとしていたが──、
「誰か、衛兵を呼べ。
この謀反人を捕らえよ!」
国王はすげない。
「くっ……!!」
第2王子は覚悟を決めたようだ。
ただし、逆の方向へ。
「このぉぉぉぉぉ!!」
「!!」
懐に隠し持っていたナイフを抜き、第2王子は国王へ向かって駆け出した
クリーセェ様は父を庇おうとして反応したけど、私はそれを止める。
「必要無いですよ」
「何故!?」
それは見ていれば分かる。
「なっ……!?」
唐突──まさにそんな感じで、国王と第2王子の間に人影が現れた。
「な、なんだ、貴様は」
「影ながら、国王を守っていた者さ」
それはここ数日、「完全隠蔽」によって姿を隠しつつ国王を守っていたお姉ちゃんだ。
まあ……誰が1番敵に狙われるかと言えば、国王だろうしね。
お姉ちゃんには姿を隠して国王を守ってもらいつつ、可能なら「魅了」のスキルをかけて「第2王子と第2王女の言葉を真に受けず、公正な判断をしてほしい」と、命じるようにお願いしておいた。
だから国王はレイスによる精神誘導、もしくは洗脳にはかからなかったか、かかっていてもお姉ちゃんの「魅了」で上書きされた状態にあり、操られることがなかったという訳だ。
いや、元々クリーセェ様と同様に、国王も精神への影響を防ぐスキルを持っていた可能性もあるけれど……。
そうでなければ、レイスが第2王子を頼るという、そんな回りくどい手段をとる必要は無かっただろうし。
それはともかく、ただの王子がお姉ちゃんに勝てるはずもなく、あっという間に床へと叩き伏せられてしまった。
「ありがとう、お姉ちゃん!」
「マルルのお願いなら、お安いご用だよ」
うんうん、本当に頼りになるよ~。
あとでお礼に、血を沢山吸わせてあげよう。
キスとか、その他諸々でもいいよ!
しばらくして、数十人の衛兵が謁見の間へと駆け込んでくる。
いや……、衛兵じゃない者も混じっているな?
そしてそのまま第2王子を捕縛する──と思いきや、彼を取り囲むだけで、むしろ守ろうとしているように見える。
「ん?
どういうことじゃ?」
クリーセェ様が首を傾げる。
いや、あれは結構ヤバイ状況なんじゃないかな?
レイスの洗脳を受けた連中が、何かをやろうとしているんじゃないの?
しかもまだ洗脳が続いているということは、レイスはまだ生きている可能性があるんじゃ……。
いや、元々死んでいるから、「まだ存在している」というのが正しいか。
……「聖域」で封じてあるクレセンタ様の身体には、これといって変化は無い。
となると、衛兵達に守られている第2王子が本命か!?
「っっ!?」
私が動こうとしたその時、衛兵達から何か半透明の影が浮かび上がってきた。
ゴースト……!?
それらが1つに融合して、1つの姿を形作っていく。
年齢や性別は分からないけれど、人の形をしていることだけは確かだ。
それは巨大なゴースト──いや、あれがレイスの本体!?
今まで分裂して、城中の人間に取り憑いていたってこと!?
クレセンタ様の身体に取り憑いていたのは、別に本体じゃなかったんだ!!
ああ……そういえば、ミーヤ様にもゴーストが取り憑いていたって……。
しかも身体の奥底で、半ば休眠状態になっていたから、存在が感知できなかった──と。
つまり他の者達も、そういう状態だったということだったのか。
そしてレイスの本体は、第2王子の身体を包み込む。
そこに存在の「核」と言うべき部分が、潜んでいたってことなんだね……!?
明日は用事があるので、更新は休みます。明後日と明明後日も歯科とかの通院があるので、間に合わない可能性があります。




