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14 亡き王女との交信

 幽霊になった第2王女・クレセンタ様に、何故このような状態になってしまったのか、それを聞いてみよう。

 その中に、レイス……遺体に取り憑いた状態はアークリッチと言ったかな?

 そいつを攻略するヒントが、隠されているかもしれないし。

 

『あの……あなたは、既に死亡しているという自覚はありますよね?

 どうしてこんなことに……?』


『それは……』


 クレセンタ様は言いよどむ。

 自分が死んだ時の状況なんて、思い出したくもないか。

 しかし彼女は暫し逡巡した後、意を決したように口を開く。


(わたくし)は……兄エルナスの手勢によって拉致され、この屋敷に運び込まれたのだと思います』


 第2王子に!?

 レイスじゃなくて?

 あいつら、裏で繋がっていたの!?


『私が閉じ込められた部屋に、エルナスが現れました……。

 そこで私は……』


 クレセンタ様は身を震わせる。

 あ……これはラムちゃんの時と同じパターンか。

 ……って、腹違いとはいえ、妹が相手だよ!?

 第2王子は、ちょっと見境が無さ過ぎじゃない?

 

 いや、お姉ちゃんを始め、色々な人と関係がある私も他人(ひと)のことは言えないかもしれないけど、私達の間には愛があるし……!

 ……あるよね?

 『百合』の効果だと思うと、ちょっと自信が無い……。

 でも、深く考えると(むな)しくなりそうなので、考えないようにする。


『ああ、それ以上は話さなくてもいいです。

 大体察しました』


『……はい。

 そして気がついたら私は、このような姿でここに……』


 う~ん、クレセンタ様の話だけでは、彼女が殺害されたのか、それとも陵辱や拷問によって結果的に死亡したのか、あるいは自害したのかはよく分からないけど、その遺体がレイスに使われていることを考えると、最初から殺す目的で拉致された可能性は高いな……。


『あなたの身体(からだ)が奪われているのを、知っていますか?』


『ええ……。

 私の前に私がいました。

 奴らは私の偽物を使って、何かをしようとしています。

 どうかそれを止めて欲しいのです!

 このままでは、国が乱れ、民が苦しむことになるでしょう……!』


 ああ……その為に、私の前に出てきた訳か。

 まあ、『百合』に引き寄せられたというのも、間違い無くあるのだろうけれど……。


 しかし残念だ。

 この人ならばたぶん女王になったとしても、国民にとっては悪いようにはならなかったかもしれない。

 いや……優しいだけでは、国を統治し、他国などの外敵から国を守ることはできなかっただろうけれど、それだけに武力もあるクリーセェ様と協力体制を築くことができていれば……。

 そう思うとやりきれない。


『勿論です。

 あなたの偽物も、そして第2王子も、必ずや討ち滅ぼしてみせましょう。

 それにミーヤ様の安全も、お約束いたしましょう』


『ああっ……ミーヤレスタ……!

 どうか……どうかお願いします……っ!!』


 クレセンタ様は、赤の他人に妹のことまで頼むのは負担が大きすぎると考えて我慢していたのかもしれないけど、私がミーヤ様のことまで引き受けたことには、感極まった様子だった。

 そして衝動的といった感じで、私に抱きついてくる。


「ちょっ……!?」


 勿論実体の無いクレセンタ様の身体は、すり抜けてしまうのだけど、しかしその瞬間、私はごっそりと身体から力が抜けるのを感じた。


───────────────

 ・マルル 12歳 女 LV・56

 ・職業 女神の使徒

 

 ・生命力 282/404

 ・魔 力 294/381

───────────────


 うわっ……今の一瞬で、生命力と魔力がかなり持っていかれた!?

 幽霊の能力、強力すぎじゃない!?

 レイスもこれが使えると考えた方がいいな……。

 接近戦は、絶対に駄目だわ、こりゃ……。


「グゥ……(なんか疲れた)」


 あら、クルルからも吸収している。

 触るだけでこれって、凄い便利かつ怖いスキルかも……。


『あの……あなたが触ると、生命力とかを奪っちゃうみたいなので、生き物には触らない方がいいです』


『ああ、そうなのですね!?

 道理で急に調子が良く……』


 クレセンタ様はペコペコと頭を下げる。

 ……王族が簡単に頭を下げるとか、やっぱり生きていても女王には向かなかったかもね、この人……。


 そんなクレセンタ様だけど、「急に調子が良く」と言っている通り、エネルギーを得て以前よりも姿がハッキリと見えるようになった。

 これならばもう、誰の目にも確実に見えるようになったと思う。


 それに親密度がかなり上昇して、ステータスが確認できるようになった。

 幽霊でも眷属化できるんだ!?

 じゃあ「下賜(かし)」でスキルを付けておこうか。


───────────────

 ・クレセンタ 16歳 女 LV・34

 ・職業 精霊

 

 ・生命力 281/281

 ・魔 力 337/337

 

 ・ 力  0

 ・耐 久 328

 ・知 力 265

 ・体 力 273

 ・速 度 184

 ・器 用 76

 ・ 運  65


 ・ギフト 慈愛

 ・スキル

      宮廷作法

      政 治 学

      魔力操作

      自然支配

      快癒の風

      守りの風

      物質透過

      吸  収

      物理無効

      念  動

      無限再生

      魔力循環 

      万能耐性

      万能感知

      空間収納

      転  移

      念  話

      浄  化

      聖  光       

───────────────


 あら、結構レベルが高い。

 私とクルルから生命力と魔力を吸収した結果、上がったのかな?

 お姉ちゃんも「吸血」で、レベルが上がるらしいし。


 そしてレベルが上がったことで存在が進化したのか、それとも持っているギフトの影響なのか、職業が「精霊」になっているなぁ……。

 たぶん『慈愛』ってギフトは魔物とは真逆の神聖な属性っぽいから、魔物化しなかったのかもしれないね。


 ともかくクレセンタ様は、戦力として期待できそうだ。

 もっと生命力と魔力を与えて、レベルアップさせようかな?

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