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第12話〜異世界の夜

辺りはすでに日も暮れて、森の中にあるためやや薄暗かった湖の辺りもすっかりと夜の帳が下りつつある。


ユウキがライブを開いていたのはすでに夕暮れ時だったため、辺りが暗くなるのも早かった。


今は焚き火と優しく発光する微精霊たち、そして月明かりだけがここら一帯を照らしている。


元の世界と比較するまでもなく、アナザーワールドの夜には明かりはほとんどない。


代わりといってはなんだが、空は満天の星々に満ち溢れ、巨大な月と元の世界ほどの月が寄り添うようにして淡く照らしている。


二つある月や元の世界ではそうそう見られないような星空、そして湖の辺りを淡く蛍火のように儚く照らしている微精霊たち。


それは異世界人であるユウキにとって、約一週間前にアナザーワールドに来てから現在に至るまで色褪せることなく、スキルなんて関係無く魅了して止まない光景だった。




「………そういうことだったのか」


壮年の男は名をクニツナと言った。


ユウキは無意識に発動していた【魅了】のスキルが無効化されてなお傍を離れようとしないスライム、スモールボア、微精霊たちに囲まれながらクニツナと焚き火を挟む形で対面している。


遭遇した直後はこちらを警戒していたクニツナも、ユウキに敵意がないことが分かると、次いでなぜユウキのような子供が森の奥で、なおかつモンスターに囲まれていたのかを聞いてきた。


言い訳(現状がユウキ自身にも把握しきれていなかったため)も浮かばず、とっさに夜営の準備をしなければと提案した所、クニツナも同意した。


そして木の枝や食べられそうなものを探している間に、クニツナからは姿を見ることができないシルフィーがそれっぽい話を考え付いた。


大まかな内容としては、生まれながらにして持っていた【魅了】のスキルのせいで村を追い出され、自分自身も【魅了】のスキルのせいで朦朧とした意識のなかここまで旅してきたというものだ。


異世界からの転生者やテスターはあまり一般に知られていないため、会ったばかりの人物に正直に話しても信じてもらえるか分からず、ましてや正直に話したところでメリットもないので作り話でお茶を濁した形だ。


ユウキの外見はまさに幼女としか言い様のない幼いもので、辛うじて会話が成り立つかどうかといったものが幸いして、クニツナも深くは突っ込んではこなかった。


彼自身が説明された事柄を自分なりの憶測で補完して納得したことも大きい。


両親の話などはしていないが、幼子が森の奥に一人でいて、村を追い出されて旅してきたと言われれば旅の途中でユウキ以外はモンスターに襲われるか何かして別れる結果となったと想像してもおかしくはない。


ましてや先程までのユウキはモンスターに囲まれていても平然としていたし、今も傍らには小型とはいえモンスターを侍らせている。


ユウキだけであればモンスターに襲われることはほぼないだろうと考えた。


実際ユウキ一人であれば、大抵のモンスターに襲われることはないだろうとシルフィーも言っていた。


それほどまでに重複しているスキルは強力で、大元の原因が【最悪のギフト(幼女化の呪い)】であれば当然のことである。


クニツナの持っている刀、鬼丸を使えば【幼女化】の呪いも無効化することができるのでは?と考えたユウキだったが、しかし伝説級の神器であっても無効化することはできなかった。


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