第10話〜S級冒険者
S級冒険者。
冒険者ギルドが定める冒険者のランク制度。
その頂点とされるランク。
冒険者ギルドに限らず人類に多大なる貢献、実績、伝説を残した個人又はパーティー、クランに与えられる称号。
【鬼丸のクニツナ】。
それは冒険者ギルドに所属するものたちならば聞いたことのない者などいない、とまで言われるS級パーティーに所属する冒険者の通り名だ。
その名の通り【鬼丸】と呼ばれる、イナホ地方に存在する五つの【ダンジョン】の内の一つの最奥に収められていた、最初のダンジョン攻略者のみが手に入れることのできる伝説級の【神器】を手に入れた冒険者。
僅か15歳にして単独でA級まで登り詰め、その後全くの無名パーティーにて4年でS級に至った人物。
それがクニツナである。
そして鬼丸の収められていた場所を含めた五つのダンジョン。
その全てを攻略したパーティーこそ、後に名を【五剣】とするクニツナの所属するパーティーである。
全員が獲物を魔剣で揃えた、前衛のみの奇抜すぎるそのパーティーは、実のところ一度として全員で組んだことはない。
普段は個々人で活動する変わり者集団である。
たったの五名のみのパーティーであり、そして結成時以降一度として全員の揃ったことがない、全員がばらばらに武者修行に各地に散らばっている、そんな伝説のパーティー。
であるから、クニツナがその森に訪れたことに、武者修行の旅の道中以上の理由はない。
しかし、その出会いは。
【主人公補正】という因果率を歪めるスキルによってもたらされた必然であった。
ユウキという男(女?)を待ち受ける未来は。
アナザーワールドという因果そのものの狂った世界は。
″偶然にも″二人の人間と刀を巡り合わせた。




