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第1話〜ようこそ、【アナザーワールド】へ!

昔書いた小説がPCから見つかったので、少しだけ編集して投稿していきます。


読んでやって下さい_:(´ཀ`」 ∠):

『ようこそ、【アナザーワールド】へ!私は【ガイドフェアリー】のシルフィーと言います。これからのあなたの活動のサポートをさせていただく役目を与えられています』


そこはなんとも表現し難い空間だった。


床も壁も天井も存在するが、その全てがセピア色に染まっている、と言えばいいのだろうか。


広いとも狭いとも言えそうな、旧いとも現代的とも表現できそうな、なんの変鉄もないただの部屋。


そんな場所にユウキは立っていた。


直前までどこか別の場所で、何か別のことをやっていたはずなのに、瞬きをしたらその瞬間目の前の景色がガラリと変わってしまったような感覚に、目眩に似た困惑を感じるユウキ。


そしてこの状況でもっとも彼を混乱させるのは目の前にいる少女の存在だった。


『限られた抽選の中、【テスター】に選ばれたことを心より祝福させていただきます!。早速ですが、【アナザーワールド】の説明に入らせて………』


「ち、ちょっと待ってくれる………!?」


さも当然のように説明に入ろうとする少女を遮り、ユウキは激しく動揺する己を落ち着かせようと目を閉じる。


そしてゆっくりと目を開くが、そこに映る光景は変わらなかった。


そこには、いわゆる妖精がいた。


ユウキの目の前に浮かぶ、背中から半透明な翼の生えた直径15㎝ほどの少女は、キョトンとした表情で当たり前のようにそこにいた。


髪は透き通るようなエメラルドグリーンで、後ろでポニーテールのように一つにまとめられたそれは少女の腰の辺りまで届くほどに長い。


幼さとあどけなさを感じられる顔と体つきからして、人間に当てはめればだいたい12、3歳ほどだろうか。


目鼻立ちの造りは西洋風で、翠髪から覗く耳はピンと鋭角にとがっている。


3Dやフォログラムではなさそうだった。


確かにそこにある存在感。


「君は、えっと………何?」


『私ですか?私は【ガイドフェアリー】のシルフィーです』


「ガイドフェアリー?」


『はい。私たちガイドフェアリーは【アナザーワールド】をプレイされる方々の活動をサポートをするために生み出された存在です』


「そのアナザーワールドっていうのは………」


『アナザーワールドはつい最近、創造されたばかりの新規ワールドのことです。説明されたとは思いますが、創造されたての世界は物理法則やバランスに偏りがあったり、いわゆるバグのようなものが発生することがあるので、今回のように【テスター】の方々にプレイしていただいて、本格的に稼働させるのに問題はないかのチェックを行っているんです』


ユウキの問いかけにすらすらと答える少女、シルフィー。


一方で彼はその混乱の具合をどんどん悪化させていた。


ガイドフェアリー?


アナザーワールド?


最近創造された世界?


【テスター】にプレイさせてバグ探し?


それはまるで、ゲームか何かの話のようだった。


しかしこの状況はゲームの中というにはあまりにリアル過ぎる。


セピア色に染まってはいるがなんの変鉄もないこの部屋と、何より自身の感覚の問題。


夢にしては思考はクリアで、五感も問題なくある。


何よりユウキはこんな近未来型の体験ゲームを始めた記憶そのものがない。


VRMMORPGとかいったか、その手のゲームに関してはあまり詳しくない。


どちらかと言うと太鼓を直接リズムに合わせて叩くタイプのゲームの方が好きだった。


試しに頬をつねれば鈍い痛みが走る。


今の科学の力ではここまでの再現は不可能………のはずだ。


「………状況が呑み込めないんだけど、ここってゲームの中?」


『いいえ、違います』


あっさりと否定された。


『アナザーワールドは【管理者】…いわゆる一つの世界には必ず一柱はいる神様のことですね…によって創造された世界です。あなたからしてみれば、ここは異世界になります。テスターをする上でこれらの説明はこちらに移動してくる前に管理者から直接説明を受けているはずなのですが、記憶にございませんか?』


「全く覚えがないんだけど………。っていうかなんかさっきまで何やっていたかの記憶そのものが思い出せないというか」


完全な記憶喪失、というわけではない。


ユウキは自分の名前もその生い立ちも思い出すことができた。


ただこのセピア色の部屋で意識が切り替わった瞬間までの過程が思い出せない。


最後の記憶にあるのは、学校への通学途中、信号待ちをしている時までだ。


『ああ、なるほど』


シルフィーは納得したようにポンッと小さな両手を合わせた。


『一応こちらで遺伝子情報に至るまでトレースして、この世界の規格に合わせて再現したのですが、もしかしたら頭部を破損していて記憶が飛んでいるのかもしれませんね。さすがに上書きするはずの脳がなければ記憶は保存されませんから』


にこやかにとんでもないことを説明された気がする。


トウブヲハソン?


ドウイウコト?


『テスターをやっていただく方は前の世界、あなたにとっては地球ですね。そこで亡くなった方の中から抽選で選んでるんですよ』


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