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第九話 ゴブリン・決戦

 レベルアップと新たなスキルを取得した俺は、対ゴブリン用の罠を色々準備してから就寝することにした


 せっかく寝心地のよいベッドを造ったのに、緊張でよく眠ることができない。


 いつもなら気にしない風の音や虫の鳴き声まで気になってしまう。


 一日目は何もなかった。

 だが二日目。


 体感的に午前三時頃、俺の枕元で木の板がカランカランと鳴った。


 来たか。


 襲撃にそなえて周辺の木に《スパイダーネット》で糸を張り、鳴子を結んでおいたのだ。

 俺の国では鳥から麦を守るためのものなのだが、おかげで相手の接近にいち早く気づくことができた。


 ベッドから跳ね起き窓から敵の数を確認する。

 十……二十……だいたい三十匹はいるな。


 おそらく全員が家の真正面から見える場所にいるはずだ。

 木の位置を動かして家の後ろは壁みたいになっているからな。


「ゴブ、ギィ!?」

「ゴブゴブ……ウ゛ウ゛ッ!?」

「ン゛、ガギゥッ!」


 先頭のゴブリンが柵をよじ登り、その途中で転がり落ちた。


 杭に塗られた《毒の胞子》が効いたのだ。


 ゴブリンにも毒耐性はあるが、拡散させず一点に集中させた胞子の威力は絶大らしい。


 考えなしに突っ込んだ奴からバタバタと倒れていく。


 もうこれで全部終わってくれると助かるんだが……。


「ゴブ! ブブゥッ!」


 隊長だろうか、兜を被ったゴブリンが声を出すと動きが変わった。

 数人のゴブリン丸太を持ち、柵にぶつけだしたのだ。


 一発では壊れないが十発、二十発と打ち続けている内に杭に隙間ができる。


 ゴブリンは小柄な体を生かしてそこから入り込んできた。


「くそ、やっぱそんな簡単にはいかないよな!」


 家を飛び出し戦闘態勢に入る。

 そして、バリスタのように並べておいた杭に《跳躍》のスキルを付与した。


「くらえ!」

「グブ……!?」

「おご、ごぶオオォ……!」


 発射された杭がゴブリンを貫き、押しつぶす。


 残りの数は……あと十三……十二か!


「ギィ! ゴブゥッ!」

「ゴブ! ゴブゴブ!」

「ゴブフゥ! ウウウウ!」

「くっ、くそっ!」


 雨のように飛んでくる投げナイフを《建築》した木の壁で防ぐ。


 その隙にこん棒や槍を持ったゴブリンたちが一気に距離を詰めてきた。


 やっぱり頭を使う相手は厄介だな。


「グク、ゴブウウウウウッ!」

「グフフフ……ッ!」


 勝利を確信したのか醜い笑い声が聞こえる。


 だが、この状況も計算の内だ。


「《建築》レベル2! 潰れろ!」


 敵が五メートル以内に入った瞬間、俺は地面に埋めておいた石壁を動かした。

 左右からゴブリンをサンドイッチするように。


 バコンッと硬いものがぶつかる音が聞こえ、石壁の隙間から緑色の血がこぼれ落ちる。


 かなり敵を接近させないといけないので冷や冷やしたが、上手くいったようだ。


 これで全員倒しきったか?


「ギィ、ゴブガアアァアッ!」


 まだ隊長ゴブリンが残っていたか。

 冒険者から奪ったであろうショートソードを持ってお怒りだ。


 いいだろう。決着をつけてやる。


「《解体》! そして《建築》!」


 石壁を《解体》して巨人の拳のオブジェに《建築》し直す。


 隊長ゴブリンは真正面から斬りかかってくる……フリをしながら後ろ手でナイフを握りしめているようだ。


 だが小細工など関係ない。


 俺は今残っている《跳躍》のスキルをすべてオブジェに付与した。


「巨人の石拳!」

「ゴ、ギヤァアアアアアアーーッ!」


 砲弾のように発射された巨人の拳が隊長ゴブリンを直撃し、緑色のシミに変えた。


 射程距離は二十メートルもないが威力は絶大だ。


「終わった……か?」


 見た感じもう残っているゴブリンはいないが、伏兵が潜んでいるかもしれない。

 とりあえず壊れた柵を直し、《スパイダーネット》を張りなおしておこう。


 そうこうしていると夜が明けてきた。

 夜行性のゴブリンたちはもう襲ってこないだろう。


 たぶん。


 俺は家に戻るとしっかりと戸締りをしてからベッドの下で眠りについた。





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