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第八話 ゴブリン・対策

 集団で行動する魔物は仲間を殺した相手を絶対に許さない。

 ゴブリンは今日、明日にでも攻め込んでくるはずだ。


 俺は急いで大木を《解体》すると杭を組み合わせた柵を造った。

 ぐるりと家を囲むように先端が鋭く尖った柵が並べられる。


 これで簡単には突っ込んでこられないはずだ。

 

 あと怪我をした時のために薬草も用意しておく。

 傷口に塗れば治りが早くなるはずだ。


 解毒効果のある薬草も欲しかったが、あとは解熱くらいしか見つからなかった。


 しかし、俺一人でどうやってゴブリンたちを迎え討つかだな。

 一対一ならどもかく集団で一斉に攻撃されたらひとたまりもない。


 勝つためには家に到着する前にできるだけ数を減らすことだ。


「よし、やるか」


 俺は他の魔物を倒しもっとスキルを集めることにした。

 低級な魔物でもあつめれば武器になるはずだ。


 とりあえず今使える魔物のスキルはスライムの《自動修復》レベル1、《ウォーターボディ》レベル1、パンサーラビットの《跳躍》レベル1。


 あとはこの間倒した投げ縄のように糸を使う『鳥食い蜘蛛』の《スパイダーネット》レベル2だけだ。


 ゴブリンはレベルが低かったのか、何のスキルも取得できなかった。


 《スパイダーネット》は付与した物から糸の網を射出する便利ならスキルだが、これだけで相手を倒すことはできない。


 新しい武器が必要だ。


 俺は森の中を探索する。


「中々見つからないな……」


 二時間ほど歩き回ったが出会ったのはパンサーラビットに、汚物好んで食す『スカベンジャースライム』果物に擬態する『林檎ダンゴムシ』くらいだ。


 しかもレベルが低すぎてスキルを持っていない。


 少し焦りながら探索を続けていると、歩きキノコという種類の魔物『マタンゴ』を発見した。

 大きく開いた頭の傘からプシュプシュと紫色の胞子を飛ばしている。


 これはチャンスだ。

 毒属性のスキルを手に入れられるかもしれない。


 俺はそろりとマタンゴの背後に近づくと、杭を《建築》して串刺しにした。


「プゥ、シュウウゥ……」


 悲しげな鳴き声を残してマタンゴは息絶えた。

 ちょっとかわいそうな気もするが、こっちも命がかかっている。


 弱肉強食、自然の節理だと思って成仏してくれ。


「《解体》」


 マタンゴがバラバラになると俺の体に収納される。

 すぐ頭の中にスキルが浮かび上がってきた。


 解体『マタンゴ』

 ・スキル《毒の胞子》レベル1、《麻痺の胞子》レベル1、《眠りの胞子》レベル1を取得。


 おお、やった!

 レベル1だが一気に三つのスキルを取得できたぞ。


 これを杭に付与すれば戦いが楽になりそうだ。


 その後は何体かスライムを倒して《自動修復》のスキルを回収、大木や岩を《解体》して少しずつ家に運んだ。


 資材は多いに越したことはない。

 いざという時は元の形に戻して攻撃することもできる。


 そうやって準備を進めていると、頭の中に表示が浮かんだ。


 レベルアップ

 ・スキル《建築》レベル2、《解体》レベル2


 ついにこの時が来たか。

 まあ『建築師』になってからまだ十日なんだけど。


 どう変わったのか試してみよう。

 近くにあった木を触って《建築》のスキルで犬小屋を造ってみた。


 ……うん? 前と変わらないぞ?

 レベル1の時と同じ現象が起こっているだけだ。


 がっかりして頭を掻こうとする。


「ん? んんん?」


 驚きに俺の目はまん丸になった。

 なんと頭を掻こうとする腕の動きに合わせて犬小屋が動いたのだ。


 ズリズリと地面の上を這っている。


「おおっ、すごい! おもしろっ」


 俺が右に腕を動かすと右に、左に動かすと左に犬小屋が移動する。

 手を前に突き出すと同じように前に動いた。


 さすがに上にあげると浮き上がるようなことはなかったが、ぐるぐる回転したり、倒したあとで起こすこともできた。


 まるで魔法使いになった気分だ。


 次は《解体》スキルだ。

 木を解体してから腕を動かすと、材木が同じように移動した。


 これは収納できない資材を持ち帰る時に便利だな。


 それから家に戻った俺は動かせる距離を測ってみた。

 結果はこんな感じだ。


 《建築》レベル2 建築したものを俺の体から五メートル以内なら自由に動かすことができる。

 《解体》レベル2 解体したものを俺の体から五メートル以内なら自由に動かすことができる。


 うむ、さらにスキルが便利になったな。

 これでゴブリン対策が捗りそうだ。





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