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第四十一話 奈落の底へ

「《建築》!」


 木の杭を生み出し一本で二体のスケルトンを貫く。


 背骨がへし折れスケルトンはあっけなく元の死体に戻った。


「《雷刃》! 《雷刃》! くそっ、キリがないっての! こいつらどんだけいるんだよ!」

「カレン、背中合わせで戦うぞ。俺から離れるな」


 あっという間に資材置き場はスケルトンだらけになった。


 あばら骨がカチャカチャと鳴り、剣に槍に斧、様々な武器が四方八方から向けられる。


 一体一体の動きはのろいがこれだけ集まると脅威だ。


 スキルでの反撃が追い付かない。


「今から範囲攻撃をする。もっと俺にくっつかないと巻き込まれるぞ!」

「わ、わかったよ」


 ぐいっとカレンの肩を引き寄せ、大食いワームとの戦いで思いついた新技を試す。


 体に収納した岩を円錐の形に《建築》する。


 さらに同じものを複数生み出し、俺の周囲に展開した。


「貫け! 石のいばら!」

「カッ」

「ココ、コオ……」


 鋭い石の突起がビスケットのように骨を粉砕する。


 乾いた音を立ててスケルトンの群れは地面に転がった。


「すご……一撃じゃん!」

「いや、何体か取りこぼした。残りは任せたぞ」

「オッケー。任された!」


 まだ動いているスケルトンにカレンが斬りかかる。


 青白く光る刃が何度か軌跡を描くと、ようやく資材置き場にいるスケルトンは全滅した。


「よし、戦闘終了。お疲れさん」

「俺一人じゃけっこうヤバかったな。助かったよカレン」

「何言ってんのよあんた一人で十分じゃん。今の技とか魔法使いかと思ったし」

「魔法ほどは便利じゃないぞ。俺の場合は出せる量に限度があるからな。それに一度使うと回収しなきゃならないし」


 石の円錐を《解体》して体の中に収納する。


 威力と速度は問題ないが連続で出すのは難しそうだ。


 全部展開するより一本ずつ出した方が、使い勝手がいいかもしれない。


「もう魔物の気配はないな。出発するか」

「じゃああたしが先頭な。魔物や罠は警戒しとくから休んどいて」

「任せた」


 カレンを先頭に再出発する。


 一応《嗅覚探知》も使っているが問題はなさそうだな。


 ランタンで暗闇を照らしながら歩いていく。


「次広いところに出たらお昼にしよ。あたしお弁当作ってきたんだ」

「おお、そりゃ楽しみ──」


 カチッ。


 十歩ほど進んだ時、スイッチが入ったような音がした。


 んんんん? これってマズい展開じゃないか?


「カレン、俺の空耳だという前提で一応訊いておくんだが、何も踏んでないよな?」

「ごめん……トラップのスイッチ踏んじゃった」

「ばーかーやーろーおおおおぉおおおおおおおおぉっ!?」


 地面に穴が開き、俺とカレンは暗闇に落ちた。


 重力の法則に従い体がすごい勢いで下に加速していく。


「あああああっ! アアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーッ!」

「おおおおおっ! オオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーッ!」


 こ、こここれはシャレになってない!


 《建築》で足場を造るか!?


 いや、落下しながらじゃ正確な場所に出せない!


 じゃあ《紅蓮の双翼》で飛行を……いや、それにはまず小屋か何かを《建築》して……。


「水! もう水見えてるんだけど!」

「くそっ、《建築》! 《ウォーターボディ》!」


 下は池なのか水色が一面に広がっている。


 地面よりはマシだがこの高さだと無事では済まないだろう。


 俺はありったけの木を使って枝の茂った大木を《建築》した。


 枝と葉に《ウォーターボディ》を付与して少しでも衝撃を和らげる。


「体を丸めろ! 直撃するぞ!」

「~~~~ッ!」


 体がプニプニした枝にぶつかり、バキバキと枝が折れていく。


 できる限り速度を殺しながら俺たちは池に飛び込んだ、




 

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